車椅子を利用するときに、知っておきたい機能と役割(使用頻度の多い物)

この記事では、基本的な車椅子の設計と、車椅子を使用するにあたって必要とされるスペースについて具体例などを織り交ぜて、解説します。

 

この記事は、病院に8年勤務し約1000名の方に対してリハビリテーションで、関わった経験のある作業療法士が解説します。

 

では、早速解説に移ります。

 

車椅子の基本的構造

車椅子の部品名と用語(使用頻度の多いもの)

車椅子を利用するにあって、知っていた方がいいパーツの名称について解説します。

1.バックサポート(バックレスト)

2.アームレスト

3.フットレスト

4.ハンドリム

5.ティルト機能

6.リクライニング機能

この6個程度は一般的に車椅子を利用するにあたって、療法士や業者とやりとりするのに使用頻度が多く知っておいて損はありません。

では、一つずつどこの場所で、どう言った機能があるかについて解説をします。

 

1.バックサポート(バックレスト)

 

バックレスト

概 要

背もたれを示します。

機 能

座っている姿勢を背もたれがあることで、背中が疲れた時にもたれることで安楽に座った姿勢を保つことができます。

車椅子に特化して言えば、このバックサポートは種類があります。

バックサポートの種類

1.調節機能のないもの

普通型車椅子を言われる、ただ走行の補助として用いるような車椅子には基本的背もたれを調節する機能は備えられていません。

2.背もたれのたわみ調節できるもの

モジュラー型と言われるような車椅子は、バックサポートのたわみ具合を調節できるものが多くあります。

ポイント

背もたれの機能は筋力を補うもの。

調節できるものと調節できないものがある。

調節できる車椅子は、モジュラー型と言われる車椅子。

 

2.アームレスト

アームレスト

概 要

車いすの肘掛け部分を示します。

機 能

肘掛けがあることで、腕を力を利用して車椅子上での座位を安定させることができると言われています。

仮に肘掛けがないと、体の力と足の力だけで座っている姿勢を安定させなければなりません。

 

種 類

この肘掛けでは、跳ね上げることができる種類とできない種類があります。

跳ね上げができるもの

モジュラー型やコンフォート型などと言われる、中等症〜重度の座位バランスに障害のある方が利用される車椅子では跳ね上げができるタイプの車椅子が多くあります。

跳ね上げできないもの

普通型車椅子と言われる、単に移動手段を補助するような車椅子では跳ね上げできるものは少ないです。

 

ポイント

肘掛けがあることで、体と足それに加えて腕の力を使って座位を安定させることができます。

普通型車椅子では、肘掛けを跳ね上げることはできません。

モジュラー型やコンフォート型では、跳ね上げることのできる車椅子が多くあります。

 

フットレスト

フットプレート

概 要

車いす使用中に、足を乗せるプレートのことを示します。

機 能

車いすで移動する場合に、足を置くプレートを利用して足が走行中に絡まらないようにします。また、プレートがあることによって足で踏ん張ることができ、車椅子が走行中の座位を安定させることができます。

以前解説しましたが、このプレートの高さの目安や高すぎると、低すぎるとどう言ったことが起こりやすいかについて解説していますので、気になる方は是非参考にしてみて下さい。

種 類

1.収納機能のみのフットプレート

単純にフットプレートを不必要な時は折り、必要な時は開くと言った収納機能のみがあるものを示します。こちらも、普通型車椅子の場合はほとんどがこのタイプになります。

2.収納と角度、高さ調節できるフットプレート

必要、不必要でプレートの開閉が可能です。また、プレートの角度や高さを調節することができます。角度や高さを調節することで、利用者が力の入れやすい角度や高さに調節することができます。

なお、これも同様モジュラー型やコンフォート型の車椅子の多くでは、基本的に備えられています。

 

ハンドリム

ハンドリム

概 要

手で握り、車いすを自分で操作する際に利用する部品

機 能

ハンドリムがあることで、腕を利用して車椅子を操作することができます。

種 類

1.形状がポールタイプ

形状がポールタイプの場合は、車椅子を前後に移動するのにハンドリムに対して腕で前後に力を入れる必要があります。そのため、ポールタイプのように表面がツルツルの場合は、手でハンドルを握る力が必要とされます。

2.形状が凹凸タイプ

形状が凹凸タイプの場合は、凹凸によってハンドリムに対して腕の力を前後に加えても、凹凸によって滑り止めとなりハンドリムに力を加えやすくなります。

 

ティルト機能

概 要

車いすの座面と背もたれを一緒に角度調節します。

機 能

座面と背もたれを一緒に倒し、前に倒れやすい場合は後ろに倒し、座位能力が高く足で車椅子を操作したい場合は軽度前に倒すことができる機能のことです。

ただし、前に倒すことはほとんどありません。どちらかと言うと座位バランスが不安定で前に倒れる可能性のある人を背もたれにもたれやすくする場合に後方へ倒すような、機能として利用する場合が多いです。

種 類

ティルト機能のない車椅子

普通型には基本的にありません。

ティルト機能のある車椅子

モジュラー型は備えられている場合が多いです。前輪がはまっている部位に、穴が何箇所か空いていればティルトは可能と思われます。

注意として、車椅子の前後輪の高さを調節するのに、前輪部分に穴が開けられている物もたくさんあります。

その点は、注意が必要です。

 

 

リクライニング機能

概 要

背もたれだけを倒す機能です。

機 能

背もたれを倒すことで、足で踏ん張ることが優位になり、背中の疲労を一次的に緩和することができます。

種 類

リクライニング機能のない車椅子

普通型車椅子は、ほとんどがリクライニング機能はありません。

リクライニング機能のある車椅子

モジュラー型車椅子でもあるものと、ないものがあります。コンフォート型と言われる重度な障がいや後遺症のある方が乗る車椅子には基本的に備えられています。

 

まとめ

今回は車椅子を利用するにあたって、使用頻度の多い言語についての部品名と機能名について機能と種類、どんな車椅子に備えられているかを解説しました。

普通型では、調節機能があまり多くは備えられていません。

モジュラー型やコンフォート型と言われる車椅子には、多くの調節機能が備えられています。

巻末に、JIS規格の車椅子の大きさ表を掲載しておきます。

自宅内で車椅子を利用するにあたってはこちらのサイズも、念頭に車椅子を利用するとどうなるか確認することをお勧めします。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

車椅子のJIS規格

手動車椅子
(自走用車いす,介助用車いす)
電動車椅子関連する設計箇所
a.車いすの幅員(全幅)両輪ハンドリムあり650〜650mm700mm程度
片輪ハンドリムなし565〜615mm
両輪ハンドリムなし530〜580mm
b.車いすの全長

標準式950〜1100mm
(介助式)
1000〜1100mm
950〜1100mm
リクライニング車椅子1200〜1400mm
c.車いすの
フットサポートの高さ
100〜150mm100〜140mm
d.後輪車軸の高さ200〜350mm120〜200mm
e.アームサポート形状と高さ標準式座面からの高さ
220〜250mm
座面からの高さ
170〜270mm
f1.車いすの座面高標準式400〜450mm450〜550mm
低床式350〜380mm
f2.クッション厚さクッション厚20〜100mm
g.フットサポート先端から
アームサポート先端までの距離
300〜350mm250〜300mm
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病院に勤めていた作業療法士が、実際の臨床現場で学んだ脳出血や脳梗塞などに伴う後遺症さらに、骨折や脊髄損傷などの後遺症などの情報を提供。また、基本的な医学用語やトレーニング方法などについての知識をわかりやすく解説。

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