車椅子から転ぶような、事故を防ぐためにすること。浅座り編。

車椅子を利用するにあたって、いろいろと問題があります。

具体的には、車椅子からずり落ちる、座った勢いが良くて後ろに倒れるなどが特に多くあります。

私も病院に勤めていた頃から、このようなことが度々あるのを経験しています。

また、このような事が起こると、ひどい場合は骨折や痛みなどが現れる場合があります。

また、多くの車椅子ユーザーの方は、足が不自由なために使用している方が大半です。

そのため、よほど転んだ場合の訓練をしていないと、転んでしまうと立ち上がることが自力ではほぼ不可能です。

ただ、車椅子からずり落ちるまたは、後方に倒れるなどのトラブルは基本的にはある場所を確認していれば、事前に防ぐことは容易にできます。

今回の記事では、浅座りによるずり落ちる危険性を、予防する方法について解説します。

では、具体的にどのように防いでいくのが良いか、解説します。

1.車椅子からずり落ちる要因

ずり落ちる場合の要因は、5点です。

1.クッション選定が不適切
2.車椅子の座面角度が不適切
3.フットプレートの高さが不適切
4.除圧動作能力とシーティングが不適切
5.安全ベルトを使用していない

などです。

これらを適切に行えば、通常は起こりません。

ここからは、1つ1つ深掘りしながらどうすれば良いかについてや、工夫点を紹介していきます。

1.クッションの選定

クッションの臀部部分がゲル、大腿部後面(太ももの裏側)がウレタンになっているクッション。
または、エアークッションなどを使用すると良い。

近年は、多機能な車椅子クッションが多くあります。

なかでも、臀部が接触する場所は柔らかく沈み、大腿部後面(太ももの後面)が接触する場所は少し高反発な形態になったクッションがあります。

このような、臀部の接触部分が窪むクッションは、前部分(大腿部後面)が高反発になっていることから、アンカー的な役割を発揮します。

その結果、前へ滑らなくなります。

2.車椅子の座面角度

後ろに軽度傾くように、座面角度を調節すると良い。
※転倒防止バーがあることが前提になります。

よくあるんですが、後ろにもたれてもらうのに背もたれだけ倒すような調節をする人がいます。

背もたれだけを倒すと、横から見るとわかりやすいですが、滑り台のようになります。

そうなんです。余計に臀部は前に押し出されるようになります。

その結果、浅座りになり、ずり落ちるようになります。

しかし、座面角度を軽度傾ける(Tilt機能)を使うことで、前にずれる力に対して、後ろに下がるような力が働きます。

そして、前に行く力と、後ろに行く力が拮抗し中間を保つようになり、浅座りにならないと言った結果を出します。

3.フットプレートの高さ調節

車椅子に座った状態で、股関節と膝関節が90度屈曲して、プレートにしっかりと両足底が接地すると良い。

フットプレートの高さを調節することで、車椅子からずり落ちるような前向きの力に対して、両足でしっかりと踏ん張ることができます。

踏ん張ることで、力は拮抗し臀部が前に滑るような現象を抑止できます。

それが、車椅子に座った時に股関節と膝関節が90度屈曲し、両足底がプレートにしっかり接地している状態です。

仮に、股関節や膝関節の屈曲角度が弱いと、ずり落ちる力は強くなり、過度に突っ張るような力が必要になります。

また、股関節と膝関節の屈曲角度が強いと、車椅子の後方へ重心移動しすぎて、背もたれのシートに過剰に圧がかかります。そして、その圧は逃げるように臀部方向へいき、浅座りになりやすいようになります。

なので、基本的には股関節と膝関節が車椅子に座っている時に、90度屈曲している姿勢にプレートの高さを調節することをオススメします。

4.除圧動作能力とシーティング

除圧動作能力が不十分な人には、自己の除圧動作では除ききれなかった圧が、分散できるようなシーティングを心掛ける。

仮に圧が分散できるシーティングをしていないと、頻回に十分ではないまたは、ずり落ちるような危険を伴う姿勢に崩れていきやすくなります。

例えばですが、会議などでも時間の経過と共に、お尻が痛くなり、楽な姿勢になろうとドンドン臀部を前にズラし、過度に背もたれにもたれる人をみたことがないでしょうか?

まさに、座り直しが不十分な方は、座れば座るほど臀部に違和感や痛みを感じます。また、十分にしっかり座り直すような除圧動作ができない方ですと、除圧動作をするたびに臀部が前へ前と、ずれていってしまいます。

そのためにも、除圧動作が不十分な人には、なるべく除圧動作が少ない回数で済むような、圧分散がよくできるシーティングを心掛けることが大切です。

5.安全ベルトを利用する

車椅子用のシートベルトいわゆる、安全ベルトを利用し浅座りから、車椅子からのすり落ちを予防します。

車椅子の安全ベルトとは、下腹部付近をベルトで固定します。

下腹部付近をベルトで固定することで、車椅子で座っている状態で臀部が前にずっていかないようにします。

その結果、浅座りになることがありません。

まとめ

今回は、浅座りをどう予防し、車椅子からの転落を防ぐ方法についてここまで解説しました。

もし浅座りになりやすく、車椅子からずり落ちるように転落しそうな人がいたら、今回紹介した方法で対処できるか検討してみるのも良いと思います。

本日も、最後まで読んで頂きありがとうございました。

車椅子から転ぶような、事故を防ぐためにすること。浅座り編。
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