作業療法士の定義。作業療法歴11年の現役作業療法士が解説

今回は、作業療法ってどんな仕事?と言う内容について、定義から個人の知識と経験から解説します。
簡単に略歴を紹介しておきます。
・回復期病院で作業療法士8年
・その後トレーニング事業経営3年目
・脳卒中、脊損、脊髄腫瘍など1000名以上のリハ経験あり
・多数学術発表経験あり
・5年で役職まで昇進(法人内療法士100人以上規模)
今回、この記事を記載する理由は前回の作業療法士の一日のスケジュールの解説でも解説したんですが、当然病院や施設などで勤務すると、他職種と連携して患者様に回復してもらうプロジェクト(リハビリや入院生活)を進めます。
そんな中で作業療法って何?を知らないと、全く他職種と連携しても役割を果たせないまま過ぎていくんです。
私も臨床に出た一年目の頃は、ひどかったです・・・。作業療法士って上肢機能のリハビリテーションを実施すれば良いと思っていましたか・・・。
ひどいですよね。
しかし、いろんな経験をしていく中で、やっぱり作業療法士が行う作業療法って、魅力的なんですよね!
僕も学術で発表したことがあるんですが、3症例の高齢者うつ患者に対して本人がやりたい作業をできるように、日常生活の練習と合わせて介入すると相乗効果があってとてもリハ効果を得られやすい傾向にあります。
また、QOLなんかも向上していましたから。
しかし、これはあくまで作業とはなんぞやって理解しないといけないんです。
そこで今回は初歩の初歩ですが、作業療法士協会が出している定義について紹介をします。
これらかこの作業療法が行う作業についても、解説記事を出して行きます。

作業療法の定義

世界作業療法士連盟の定義(1984年)

作業療法とは、一時的であるか恒久的であるかを問わず、身体的または精神的に機能障害、能力不全、もしくは社会的不利になる人々に関与する保健の分野である。専門的な資格を持った作業療法士はそうした人々の職業的、社会的、個人的及び家庭的環境のにーどを満たし、また生活に最大限に参加するのを援助するという目的の元に、機能の回復、および機能を最大限に用いるように促進するために計画された種々の作業活動に患者を参加させる。

日本作業療法士協会における作業療法の定義

(2018年に変更されています。)

・変更前定義(1985年)

身体又は精神に障害がある者、又は、それが予測される者に対し、その主体的な生活の獲得を図るため、諸機能の回復、維持および開発を促す作業活動を用いて、治療、指導及び援助を行うこと。

・変更後定義(2018年)

作業療法とは、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を示す。
ここで、ついでに理学療法の定義がわかりやすいので、紹介しておきます。

理学療法の定義

理学療法とは、身体に障害がある者に対し、主としてその基本的動作能力の向上を図るため、治療体操その他の運動を合わせ、および電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。

このように定義されています。すごく明確でわかりやすいです。後遺症に対して、何を目的で、どんな治療を行うか示しています。
一方作業療法の方は、抽象的でわからない部分が多いのです。それは、作業療法自体が精神科に属している影響も多少あると思います。要約して、とらえて行きましょう!

・変更前定義の要約

身体又は精神に障害がある者、又は、それが予測される者に対し、その主体的な生活の獲得を図るため、諸機能の回復、維持および開発を促す作業活動を用いて、治療、指導及び援助を行うこと。
とても解釈が複雑です。()内に私の要約を示しています。
・身体又は精神に障害がある方
(何かしらの疾患によって後遺症のある方)
・それが予測される方
(予防的観点から)
・その主体的な生活の獲得を図るため
(主体的に退院後に生活できるように)
・諸機能の回復、維持
(後遺症によって低下した機能の回復や維持)
・作業活動を用いて
(治療手段として作業活動(手芸や工作:第2条の2に記載)など)
・治療、指導及び援助を行うこと
(後遺症の治療と指導及び援助を行うこと)
要するに、作業を用いて病気の後遺症に対して治療をしましょう』っと言うところです。
しかし、この解釈では現代では多様化によって、文化も異なり陶芸を行う高齢者も少なくなって治療の一貫として用いることができません。
また、これらを身体障害領域で多なったとしても、効果があったなどとの報告はほとんどありません。
そこで次は変更後の解釈をして行きます。

変更後定義の要約

作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。
作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。
ちょっと、冒頭のスーパーマン感がすごいんですが・・・、解釈して行きましょう!
・人々の健康と幸福を促進するために
(作業療法の対象となる領域で、困った人に)
・医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる
(地域生活において)
・作業に焦点を当てた
(目的や価値を持つ生活行為に焦点を当てて)
・治療、指導、援助である。
(改善や維持を目的に支援する)
要するに『対象者においての、目的や価値(経済的価値、生命価値、美的価値など)のある生活行為に対して焦点を当てて、その行為ができるように支援する』と言ったところです。
まあ、私には冒頭の健康と幸福を促進するなんてのは・・・簡単に語れませんね・・・・。
もし、幸福をタバコや飲酒で感じている対象者がいればそれは、どのように対応するのかもわかりませんから・・・。

まとめ

以前は作業と言われるものを治療の手段として用いると定義されていました。しかし、2018年の改定によって、作業をできるように支援するっと言った解釈に変更されています。
なので、今後は少なくとも身体領域では生活行為に対して重きをおいて療法となっていくでしょう。
本日も、最後まで読んで頂きありがとうございました。
最後に・・・私の作業療法士感を、偉そうに記載してみました。

私の中の作業療法とは
作業療法とは、疾患の後遺症及び支援を希望する対象者に対して、生活の中で目的と価値を抱く作業に対して治療、手段の確立を行い、より充実した生活をできるように貢献する。
こんなところですね。

作業療法の定義
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