自分に合ってます?その車椅子。コンフォート型車椅子の適応と選定方法。

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この記事までに、車椅子の種類である普通型車椅子や、モジュラー型車椅子の適応と選定についてこれまで解説をしました。まだお読みでない方で、車椅子の選定に悩んでいる方はこちらをご覧下さい。
今回の記事では、車椅子のコンフォート型車椅子についての解説をします。
記事内容
・コンフォート型車椅子とは
・コンフォート型車椅子の適応
・コンフォート型車椅子のメリット
・コンフォート型車椅子のデメリット
これらの4点について解説をします。もし購入やレンタルを考えておられる場合は、こちらの記事を参考にしてみて下さい。
では、早速解説をしていきます。

コンフォート型車椅子とは

僕自身も、作業療法士として病院に勤務するまでは『大きな車椅子』程度にしか理解していませんでした。
この車椅子は調節機能がとにかくすごい車椅子です。実際に使うとわかりますが、疾患の後遺症を補ってくれる機能が搭載されていて、非常に優れた車椅子です。
実際のコンフォート型車椅子がこちらです。
コンフォート型車椅子
図引用;LACヘルスケア ネッティーシリーズカタログ
この車椅子は、電動機能こそ搭載されていません。しかし、背張りシートのたわみや、座面の広、車椅子に座った状態で足の角度など、あらゆるパーツの角度や高さを変更することができる非常に優れた車椅子です。
とわ言え、調節機能が多く調節するのは難しいのではないかと思われます。しかし、座面の長さを調節する以外はそれほど調節は難しくありません。
また、介助バー(車椅子を押す人のハンドル)部分に背中のシートを倒すレバーや、座面を傾けるレバーが付いています。そのレバーを握るだけで自由に角度を変えることができます。
このように、簡単かつ多くの箇所を調節できる。多機能を備えており疾患による後遺症が重度な方が、楽に車椅子座位になれるように設計されているのがコンフォート型車椅子です。

コンフォート型車椅子の適応

基本的には下記に該当する人が使用します。
・座ることができない人(Hoffer3)
・血圧低下による意識障害のリスクがある人
・不随運動があり車椅子から転落する可能性のある人
ここからは、これら一つ一つに付いての理由を解説します。

・座ることができない人

座ることができない(Hoffer3)のような方が対象になります。
普通型やモジュラー型車椅子では座ることのできない人にとって、傾きが強く車椅子からの転倒、転落事故に繋がる危険性が高くなります。
コンフォート型車椅子は、モジュラー型車椅子よりはるかに、車椅子の座面や背もたれに角度をつけることができます。また、究極はベッドのようになるまで倒すことができます。こらによって前に倒れるような転倒や転落を防止した車椅子離床を行うことができます。
また、傾いてもこの車椅子を使用している人は意識障害がある可能性もあり、姿勢の傾きを自らの力で修正することができません。そのため、前に体が倒れるとそのまま前に倒れ、車椅子から転落します。
これらのことから、座位がとれないような方が使用するのをオススメされている車椅子です。

・血圧低下による意識障害が出現する危険性のある人

足を上げ、頭を下げる機能があるからです。
疾患によりますが、たまに低血圧によって意識消失をする人がいます。そう言った場合に、足をあげると血圧が戻り、意識が回復します。
この車椅子は、車椅子上フルリクライニングして足をあげることができます。このようなこのは、医師の指示のもとで緊急的する場合があります。
この機能は当然、普通型やモジュラー型車椅子には搭載されていません。そのため、低血圧が出現し意識消失するとそれらを利用している方は、床もしくはベッドまで移動して乗り移りをする必要があります。
それでは、時間がかかってしまいます。そのため、それらのリスクがあることを指示されている患者様の場合はコンフォート型を使って意識障害に備えることができます。

・不随運動があり車椅子から転落する可能性のある人

調節機能を使って、車椅子で離床していても不随運動による転倒や転落に至るような事故を防止することができます。
具体的には、不随運動があると約90°の垂直な背もたれの車椅子では不随運動の反動によって前に倒れてしまい、車椅子から転倒、転落する可能性があります。
リクライニング コンフォート 車椅子
そこでこの写真のように、このコンフォート型はリクライニング機能(背もたれが倒れる)とティルト機能(座面が傾く)の両方を使用することで、揺り籠状の姿勢を作り出すことができます。
これによって、車椅子で起きていても前方へ倒れることを防ぎます。また、タイヤが大きいものであれば揺れに対しての制動も抑えることができます。
これらのことから、不随運動が強く出て車椅子から転倒や転落の危険性がある人については適応範囲になってきます。

コンフォート型車椅子のメリット

・体の状態に合わせた調節ができる

例えば、背中が痛いや腰が痛いなどの状態であれば、背もたれを倒すリクライニング機能と、座面を傾けるティルト機能がレバーのみで簡便にその場で調節できます。
それによって疼痛を和らげるような姿勢を簡単に作ることができます。
リハビリ的な観点からでは・・・
退院後は自宅に帰るために、モジュラー型車椅子に変更する必要性がある。
っとなった時に、この角度まで起きればモジュラー型に移行できると目標の設定を行います。そこで日数の経過毎にモジュラー型車椅子に似た角度調節を行い、安定した座位をとることができるか確認をしていくこともできます。
このように、個々の体の状況などに応じて車椅子のパーツ角度や高さなどを調節することができます。

・介助者が簡単にパーツ毎の調節ができます

レバーやハンドルネジ、ロック機構で可動部分は構成されています。その結果、道具もなくその場で様々な調節を簡単に行うことができます。
ただし、あらゆるところが調節できるために、どこがどこの調節をしているかわからなくなる可能性があります。
少しの間触れることでわかるようになってくるので、患者様や利用されていない時に、いろいろ触って操作を覚えるのもオススメです。

・誤嚥性肺炎の予防になる

ヘッドレストと言われる頭を支える部位を調節して、頭部が後方に倒れないようにします。それによって、気管への誤嚥を防ぎます。

コンフォート型車椅子のデメリット

・車椅子が大きい

様々な調節機能やその可動範囲(最大車椅子がベッドのようになる)が大きいことによって、どうしても車椅子自体が大きくなります。

・重量がある

これだけの調節機能があることから、安全性能には十分に配慮が必要です。また、頑丈に作成する必要がります。
これらの結果、車椅子自体の重量(約20kg)が重くなります。

・車には積めない場合が多い

自家用車に積み込むのは基本的に難しいです。もし移動が必要な場合は、近所の介護タクシー業者を探すことをお勧めします。

・段差昇降には不向き

重量が重く(約20kg)、調節角度によっては車椅子の後方に、重心がかかっている場合があります。これらのことから、車椅子の前輪を持ち上げると転倒する可能性があります。
もちろん、後方に倒れるのを防ぐ転倒防止バーが設置されているものが多いです。しかし、万が一もあるのでもし段差を昇降しなくてはいけない場合などは、業者にその旨を伝えて安全に行うようにして下さい。

・利用単価が他の車椅子より高い

これらの多機能な点から、かなりのコストをかけて生産されています。そのため、利用する単価は「普通型車椅子」や「モジュラー型車椅子」より必然的に高くなります。
業者毎に料金が多少異なります。そのため、担当業者などに確認するようにして下さい。

・自己駆動は困難

車椅子自体の重量があり、自分で駆動するには不向きです。

・まとめ

まとめです。今回は、車椅子の種類でもコンフォート型車椅子についての記事を作成しました。

コンフォート型車椅子のメリットと、デメリットについてここまで解説しました。

身体的な後遺症があってなかなか車椅子に座れない状態の場合に、この車椅子を使うことで車椅子に座り、ベッドから離れた生活を作り出すことができます。

本日も、最後まで読んで頂きありがとうございました。

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