モジュラー型車椅子の適応と選択について、このサイトを運営している作業療法士の村中が経験と知識を含めて解説をします。
モジュラー型車椅子とは
モジュラー型車椅子は、『シートの張り具合や高さ、傾き』『座面の高さや傾き』『足を置くプレート(フットプレートの高さ)』『肘置きの高さ』など、あらゆるパーツを利用する個人の体に合わせて調節することができる車椅子のことを示します。
近年では、様々な機能を持ったモジュラー型車椅子が製造されています。しかし、誰でも適応とはなりません。
また、普通型車椅子の適応者がモジュラー型車椅子が楽だからという理由で利用し続けると、体を動かすことが億劫になり体力や筋力の低下に繋がり兼ねません。
そこで、モジュラー型車椅子の適応について、リハビリテーションのプロである作業療法士が経験と知識を合わせて解説をします。
モジュラー型車椅子の適応項目
・Hoffer2の方(手で支えて座位が安定する人)
・座り直しが不十分な方
・股関節や腰に痛みのある方
これらに該当する人が、モジュラー型車椅子の適応の目安になってきます。これらの内容について、一つずつ解説をしてきます。
・Hoffer2の方(手で支えて座位が安定する人)
Hofferとは療法士はもちろん、福祉機器の業者さんも車椅子の選定を行う際にスタンダードに使用する座位の安定性を確認する指標です。
詳しくはこちらで解説しているので、まだ読んでない方は読んで下さい。
Hoffer2のように、手で支えて座っている状態が安定するような場合に、モジュラー型車椅子を選択します。
両手や片手で支えて座ることが可能な人の場合、普通型車椅子では前に倒れこんでしまう場合があります。また、姿勢の傾きを助長してしまう可能性があります。
このような場合はモジュラー型車椅子を使用し座面を傾ける、シートの張り具合を調節することで背中のシートに楽に体をもたれさせることができます。
その結果、前に倒れこむ体を後ろのシートにもたれて安定させることができます。
・座り直しが不十分な人
モジュラー型車椅子は、圧分散を効率的に行い仮に座り直しが不十分であっても皮膚トラブル(褥瘡や床ずれ)を予防することができるからです。
普通型車椅子の記事でもお伝えさせていただきましたが、車椅子上でほぼ垂直に座っていると臀部に体幹の重み分の圧力は臀部に集中することになります。その中でも坐骨や尾骨などと言われる臀部の突起した骨部分の皮膚に対して圧力がかかります。
その結果、坐骨や尾骨付近に圧力が集中し、皮膚トラブル(床ずれや、褥瘡)を助長させてしまう可能性があります。