自分に合ってます?その車椅子。痛いのは適応ではないかも。普通型車椅子の適応を解説。

この記事では、普通型車椅子の適応について解説します。
書こうと思った理由は3点です。

・適当に車椅子を選択している

・適当に借りて失敗している(体に痛みがある)

・重くてうまく使えない

・車椅子の機能を知らずに使っている

このような方が多いのではないかと思い、これらの問題を解決できるようにこのサイトでは記載します。

・普通型車椅子とは

普通型車椅子とは、このような車椅子のことを言います。
このような車椅子は、基本的に支柱の構造で出来上がり特に調節機能などが備えられている訳ではありません。
多くは、ショッピングセンターや病院や役所などの入り口付近で見かける車椅子です。
さてこの車椅子ですが、車椅子が必要だからと言ってどの人でも使える、適応するわけでは無いです。
では、こんな疑問や問題が出てきます。

・この車椅子って自分に合っているの?

・普通型車椅子の適応って?

・よく腰が痛くなるけど大丈夫かな?

などなどの疑問や問題が出てきます。
私も、若い頃の臨床現場では車椅子を選定するのに、車椅子の適応や病態に応じて変更するタイミングは、本当にわかりませんでした。
でも、実際に車椅子に座って座った感触や患者様の病態に応じて、座り直しをしないで過ごして見ると痛みや辛さ、調節することで楽になることや座り直しの大切さを学ぶことができました。
この記事でそんな車椅子の悩みについて解決できるように、普通型車椅子の選定方法について解説をします。


普通型車椅子の選択基準と適応

適 応

①ベットで手で支えることなく安定して座れる。

②座りなおしができる。

③既往歴や持病に腰痛や股関節痛がない。

この3点に問題がない方が、普通型車椅子を使用することをお勧めします。
車椅子の調節を専門とするシーティング学会などでは、「Hoffer簡易座位分類」と言われる評価方法を用いて、車椅子の選定を行うこと推奨されています。

Hoffer簡易座位分類

Hoffer1手の支持なしで安定して座っていることができる。
Hoffer2手の支持で安定して座っていることができる。
Hoffer3座っていることができない
これらの、段階を使って車椅子の種類を表のように選択することがスタンダードです。

車椅子選定 Hoffer座位

※◎・・・適応、△・・・場合によっては使用、×・・・適応外
理由は、車椅子によるトラブルを防止するためです。

車椅子で起こるトラブルとは?

・車椅子から転倒、転落事故などの事故
・圧分散が不十分で床ずれ(褥瘡)ができる
・食事中に姿勢が傾いてうまく食べれない
・腰痛や股関節痛が増悪する。
適当に車椅子を選択すると問題が起きることがあります。これらの問題と前述した適応がなぜ大切かについて、ここからは解説します。

・安定した座位がなぜ必要なのか?

・座り直しが行えるないとダメ?

・既往歴や持病に腰痛や股関節痛がない人なのか?

・安定した座位が必要な理由

普通型車椅子は背もたれのシート張りの強さを調節できません。加えて、座面や足を置くプレートの高さなど個々の身体に合わせて調節ができない車椅子が多いです。そのため車椅子を個人の体に合わせることが難しいです。
そのため、普通型車椅子では自らの体を動かして、車椅子上で安定した座位を保てる必要があります。さらに、車椅子上で体が傾けば体を立て直す必要があります。
このような状態で前述したHoffer2〜3の方が、安全に車椅子上で安定した座位を保つことや、体を傾きを修正することができるか?と問われると基本的には難しい状態です。無理に座り直しや、姿勢を変換するような動作で車椅子からずり落ちてしまうケースも少なくありません。
この他にも、安定して座れないとその傾きを制動できず、車椅子の側方へ体が傾いてしまいます。傾いた結果、ひどい場合は転倒してしまう危険性さえあります。
これらのことから、普通型車椅子は安定した座位を保てる人が適応になってきます。

・座り直しが行える必要がある理由

普通型に限ってではないですが、座り直しは車椅子に座る生活を送る上では非常に重要になってきます。座り直しが行えないと、臀部の尾骨や仙骨と言われる部分に体の重みが集中します。その結果、皮膚に負担がかかり循環障害をきたして、床ずれ(褥瘡)を引き起こす可能性が高くなります。
その他にも、座り直しができないとずっと同じ姿勢になり一部の筋肉や関節に対して、過剰な負担がかかる可能性が考えられます。その結果、関節痛を発症や助長させてしまう場合があります。
さらに、座位が安定せず体の傾きがある場合は傾いた一点に圧力が集中します。そのため、適宜臀部の圧力を抜くように臀部を浮かせたり、姿勢を治せる人が使用されることをオススメします。
また、失禁や失便などにより皮膚状態が悪化しやすい場合や、糖尿などによる循環障害があれば床ずれ(褥瘡)ができやすい傾向になるので要注意が必要です。
これらの問題を解決する方法として、臀部にかかる圧を分散させるために、無意識に臀部を前後に移動させる除圧(ジョアツ)または、プッシュアップ(臀部を軽く上げる)と言う動作が必要です。

・除圧やプッシュアップが上下、前後にできる必要性

後ろに戻るような座り直しができないと、前にずらしてしか圧力を抜く除圧動作ができません。結果、何度も前に臀部をズラして圧を抜くような動作を繰り返します。そして、ズルズル前に滑っていき車椅子から転落してしまうからです。

ただ、背中のシートな張り具合を調節できる車椅子(モジュラー型車椅子)の場合は座り直しがしやすいようにできます。加えて、臀部にかかる圧を背中のシートなどへ分散させてなるべく除圧動作を避けるまたは、負担がかからないようにできます。

これが、普通型車椅子は背中のシートの張り具合などの調節ができないために、座位が不安定な方が利用すると、座り直しや圧分散ができず、皮膚トラブルや車椅子からの転落につながる原因になります。

 

なので、座り直しができる人が普通型車椅子を使います。

・既往歴や持病で腰痛や股関節痛がないこと

腰や股関節などに痛みがある場合で、座っていなくてはいけない時に、その痛みをあなたはどうやって避けたり、緩和したりするでしょうか?

痛みがでた時や、痛みがでそうだなって思ったら体を動かしませんか?

そうなんです。座っている時の痛みは体を動かして、痛みや違和感の出る部位にかかる負担を少しでも軽減しようとします。

しかし、普通型車椅子はある規定の座面や背もたれの椅子に座っている状態になります。そして、その中で痛みを避けるまたは、緩和するように体を動かさなくてはいけません。そのため、車椅子を個人の体にあわせて調節できるモジュラー型の車椅子が、痛みのある人には有利でまた適応になってきます。

もし、前述の座位が安定していて、座り直しも十分にできる場合は、普通型車椅子でも安定した座り直しができ、痛みを緩和や避けるような動きはできるかもしれません。しかし、それらができない場合は、迷わずモジュラー型の車椅子の方が、圧倒的に有利です。

・まとめ

今回は普通型車椅子を選択するポイントについて、3点にまとめて解説しました。
普通型車椅子を選択するには、とにかく座位が安定していて座り直しが十分にできる必要があります。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
普通型車椅子のレンタルや選択方法について解説
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病院に勤めていた作業療法士が、実際の臨床現場で学んだ脳出血や脳梗塞などに伴う後遺症さらに、骨折や脊髄損傷などの後遺症などの情報を提供。また、基本的な医学用語やトレーニング方法などについての知識をわかりやすく解説。

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