視床出血や梗塞でなぜ、運動麻痺や高次脳機能障害が出現するの?





①視床は核の集合体。核には異なる役割があった!







視床神経核の各部位名称

視床前核(ANT)、前腹側核(VA)、外側腹側核(VL)、後外側腹側核(VPL)、後内側腹側核(VPM)、背内側核(MD)、背外側核(LD)、後外側核(LP)、視床枕(Pul)、髄板内核群、視床網様核、外側膝状体、内側膝状体など
・それぞれの核の役割
・核が損傷するとどのような症状が出現しやすいと言われているか
3つカテゴリーの核に分けられます。

①特殊核:運動と感覚が主役
特殊核に属する核
前腹側核、外側腹側核、後外側腹側核、後内側腹側核
特殊核の機能
特殊核は、感覚と運動機能に関与します。
特殊核に、視床出血や視床梗塞などの範囲が及ぶと”感覚障害”や”運動麻痺”が出現する可能性が高くなります。
それぞれの詳細な神経核の機能


参考文献
・西平賀昭・他:運動と高次神経機能.pp84-95.杏林書院, 2005.
・松波謙一・他:運動と脳.pp135-148,サイエンス社,
・中野隆:視床の機能解剖(1).理学療法 23:628-633,2006
特殊核のまとめ
・特殊核は、前腹側核、外側腹側核、後外側腹側核、後内側腹側核の4つで構成されている。
・運動制御は前腹側核、外側腹側核が関与する。損傷すると運動失調様の振るえとも思われる症状が出現する。
・感覚は、外側腹側核、後外側腹側核、後内側腹側核が関与する。
・自ら物を触って動かして得るような感覚は外側腹側核が関与する。損傷すると物を自ら動かしても感覚が鈍い。
・相手側から触れられて得るような感覚は後外側腹側核が関与する。損傷すると触れられても感覚が鈍い。
・後内側腹側核は頭部、顔面の感覚と味覚に関与する。損傷すると頭部、顔面の感覚が鈍い。多くは噛み合わせなどに違和感を生じる。さらに、味覚についても過敏または鈍麻となり嗜好などが変化する可能性がある。
②連合核:高次脳機能が主役
連合核に属する核

連合核の役割
そのため、視床出血や視床梗塞が連合核に及ぶと
高次脳機能障害を主として出現する可能性が高くなります。
さらに、前述部分の特殊核と連合核を損傷している場合は、両方の症状を合わせた後遺症が出現します。
それぞれの詳細な核の機能
・視床前核
視床前核は、Nicholas D Childら(2013年)が
この理由としては、前核はPapez回路に関与していることが、


エピソード記憶とは『個人が経験した出来事に関する記憶』と言われており、出来事の内容や何をいつ、どこで、どんな思いをしたかなど個人の経験に基づく出来事に関する記憶のことを示します。例:7月13日の朝10時に、渋谷のスタバで同僚Aと席を向かい合わせで、仕事の〇〇の内容について話した。その時は内容が面白くて凄く楽しかった。など
そして、この前核はこのエピソード記憶の構成内容の中でもどこに、どのような方角で、どういった環境でと言う環境の情報を記憶として蓄積するのに非常に重要である可能性が指摘されています。
視床前核を損傷すると・・・
環境が想起できないと会話した内容は覚えているけど、いつ、どこで、どのような環境(席や距離感など)でそれらを行ったかについて記憶として蓄積されません。
よって、その内容についても自ずと感情が付随されにくくなり忘れやすくなってしまいます。
仮にも、例の同僚Aからまた先日と同じところで!っと言われても、先日どこでどんな場所で話したかについても明確にわからなくなってしまいます。
このような、症状を間脳性健忘と言われる場合があります。そのため前核が損傷して記憶障害が現れる場合の多くは、情景などの情報を必要とするエピソード記憶の低下を主訴とする間脳性健忘と言われる症状が現
さらに、動物の実験では、前核には頭位細胞と場所細胞、
例えば街中でのエピソードを想起したときに、
・頭や顔がどちらの方向を向いていて(頭位細胞)
・どこの場所(場所細胞)
・斜めか、まっすぐかなどの街並み(格子細胞)
これら3つの観点から情報や情景を作り出し記憶に対してのエピソ
これらからも、視床前核はエピソードに関する環境や情景などといった外的要因を記憶と付帯させるのに、非常に重要な役割を果たします。
・Anterior nucleus of the thalamus: functional organization and clinical implications.Nicholas D Child et al. Neurology. 2013.
・Vertes RP, Albo Z, Viana Di Prisco G. Theta-rhythmically firing neurons in the anterior thalamus: implications for mnemonic functions of Papez’s circuit. Neuroscience. 2001;10
・Aggleton JP, Brown MW. Episodic memory, amnesia, and the hippocampal-anterior thalamic axis. Behav Brain Sci. 1999 Jun;22(3):425-44; discussion 444-89.
・西尾 慶之,森 悦朗.間脳性健忘.高次脳機能研究31.(3):294-
・視床背内側核


・Clark, D. L. & Boutros, N. N.: The brain and behavior : An introduction to behavioral neuroanatomy. Blackwell.Science, Malden, 1999, pp. 119-129.
・Burruss, J. W., Hurley, R. A., Taber, K. H., et al.: Func- tional neuroanatomy of the frontal lobe circuits. Radiolo- gy, 214 : 227 ─230, 2000.
・福武 敏夫:左視床背内側核梗塞とsociopathy-
・視床背外側核(下記リンク参照)
視床背外側核の役割について知りたい方は、下記画像をクリックすると記事を読むことができます。
・視床後外側核(下記リンク参照)
視床後外側核の役割について知りたい方は、下記画像をクリックすると記事を読むことができます。
・視床枕(下記リンク参照)
視床枕の役割について知りたい方は、下記画像をクリックすると記事を読むことができます。
このように、嘉戸(2006年)
『視床後部の視床背部外側核、視床後外側核、視床枕などの神経核は立体認知や感覚の統合、眼球運動に関係が深い』
とされています。
参考文献
嘉戸 直樹:視床の機能とその臨床応用.関西理学療法,6;47-49.2006.
・
③非特殊核:感覚を分別して調節する。
非特殊核に属する核
髄板内核群、視床網様核
非特殊核の機能
・ McAlonan,K.Cavanaugh,J.Wurtz,R.H.Guarding the gateway to cortex with attention in visual thalamus. Nature, (2008)456(7220), 391-4.
・Byoung-Kyong Min.A thalamic reticular networking model of consciousness March 2010Theoretical Biology and Medical Modelling 7(1):10.


結 果
血腫量が10ml以下では、54.9%で社会復帰可能または、一部社会復帰可能まで回復で可能。死亡率は5.9%であったと報告されています。
しかし、血腫量が31ml以上になるとADL3の介助生活を行うことができるようになった症例は11.3%であった。また、死亡率も82.8%へと跳ね上がる結果になりました。
死亡率に限って報告すると11〜20mlの出血患者は34.7%、21〜30mlの出血患者は53.5%となっています。
◆ 4 結論
・脊髄または他の皮質から視床に接続した神経は、
視床は先に説明した通り、
その核の区分は、下記図の通りです。
視床前核(ANT)、前腹側核(VA)、外側腹側核(VL)、
細かく分けるとまだありますが、
このように複数の核が集まり1つの複合体になったのが視床です。
これらの核にのびた神経が接続して視床で伝達情報を処理します。
書物によって、多少異なる場合がありますが、
特殊核の役割
感覚機能と運動機能に重要と報告されています。
後外側腹側核や後内側腹側核は、
外側膝状体は視覚、
後内側腹側核
三叉神経視床路→後内側腹側核→中心後回側面
後外側腹側核
脊髄視床路、内側毛帯→後外側腹側核→中心後回内側3分の2
前腹側核
黒質と淡蒼球→前腹側核→放射状に運動前野、補足運動野の領域6
外側腹側核
黒質と淡蒼球および小脳歯状核→外側腹側核→
外側膝状体
網膜→外側膝状体→後頭皮質の領域17
内側膝状体
下丘(上丘を経由)→内側膝状態→上側頭回(聴覚皮質)
連合核の役割
記憶機能と情動機能の重要な役割をしていると報告されています。
視床前核は、
Anterior nucleus of the thalamus: functional organization and clinical implications.Nicholas D Child et al. Neurology. 2013.
前核はPapez回路に関与していることが、
動物の実験では、前核には頭位細胞と場所細胞、
例えば街中でのエピソードを想起したときに、
頭や顔がどちらの方向を向いていて(頭位細胞)
どこの場所(場所細胞)
斜めか、まっすぐかなどの街並み(格子細胞)
これら3つの観点から情報や情景を作り出し記憶に対してのエピソ
そのため前核が損傷して記憶障害が現れる場合の多くは、
西尾 慶之,森 悦朗.間脳性健忘.高次脳機能研究31.(3):294-
連合核を構成するもう一つの核が、背内側核と言われています。
背内側核は、
そして、前核は後帯状回、

そして、脊髄からきた神経はそれぞれの核を通過した後に、
もし、
しかし、この連結している大脳皮質は、
こちらの図をご覧に下さい。
具体的には、こちらの図をご覧下さい。
視床のそれぞれの核が、