今回はⅣb型被殻出血についての症状と予後について、解説を行います。
Ⅳb型被殻出血とは
Ⅳb型の被殻出血とは、脳の内包と言われる部位の前部分(前脚)と後部分(後脚)にわたって血腫が進展しさらに、脳の中の脳脊髄液がある脳室と言われる部位に血腫が進展している状態の被殻出血になります(下記の図参照:図1各脳室、図2Ⅳb型被殻出血イメージ図)。
【各脳室の部位参照図】
図1:各脳室部位の解説
【Ⅳb型の被殻出血例イメージ図】
図2:Ⅳb型の被殻出血イメージ図
図2で示すように白い部分が、今回の被殻出血によって血腫が進展している部位になります。
ではこのようなⅣb型の被殻出血が起こると、どのような症状が出現するのかについてここから解説を行います。
Ⅳb型の被殻出血の症状
身体機能
Ⅳa型でも解説したように、運動麻痺は中等度から重度で好発的に発症します。
また、感覚機能も障害される可能性が非常に高いです。
詳細は、『Ⅳa型の被殻出血について』でまとめてありますのでそちらを参照して下さい。
また、下記の視床(AN,NA,VL,DM,VPL,VPM)と尾状核以外の神経に対して症状をきたす可能性があります。
もし、視床に対して影響を与えるような場合の血腫進展はⅤ型の被殻出血になります。
こちらは、Ⅳa型とⅣb型の被殻出血で相違点です。
この脳室への血腫進展は”脳室穿破(のうしつせんぱ)”と言い、これは”Ⅲb型の被殻出血の症状について”で解説を行なった通りの現象が、内包前脚と後脚の症状に足した状態で症状が出現します。
【脳室内へ血腫進展順序】
①脳室に血腫が進展すると脳脊髄液+血液と言うように脳内の物質量が増加
②頭蓋骨に囲まれていて、脳が血腫から逃げれない状態になり脳内圧が亢進
③下記の図のように血腫が脳を押します。
④そして、様々な脳細胞に傷を付けます。
⑤結果的に、”意識”や”呼吸”に対して問題を起こす可能性があります。
具体的には、脳内圧の亢進に伴って
意識消失やめまいなどが出現します。
そして、急性水頭症のような症状も併発し記憶障害や失禁などをする場合があります。
高次脳機能
これも身体機能同様、内包の前脚部分は高次脳機能との関連が強い神経線維が存在しておりそれらを損傷することで高次脳機能障害が発症します。
また、左半球でⅣb型まで血腫が進展する場合は被殻の外側に位置する島皮質の脳細胞に対しても血腫の圧迫する力が作用し言語を理解(言葉を理解する)表出(言葉を話す)などと言った機能に対しても障害を発症させる可能性があります。
まとめ
Ⅳb型の被殻出血は血腫の進展が被殻から内包前、後脚と脳室内に及びます。
症状として、運動麻痺、感覚機能障害、高次脳機能障害(失語症、意識障害を含む)、急性水頭症の症状が出現します。
基本的に、救急車で病院に到着後に上記のような症状の場合手術を行う場合が、重症度によってありえます。