この記事は、リハビリテーションに約10年従事して脳卒中を患った患者様を1000人以上は関わった経験からそれぞれの記事を記載しています。
また、今回は出血に関する症状や予後について知って頂き実際の臨床患者様の症状を的確に捉えて、残存機能の最大限化や症状の改善などに対しての知識として知って頂ければと思い記載しています。
Ⅲb型の被殻(ひかく)出血について
このⅢb型の被殻出血は、前回の『I型』、『Ⅱ型』、『Ⅲa型』の出血とは大きく異なる点があります。
それが、”血腫が脳室穿破している”という点”です。
Ⅲb型被殻出血の画像
Ⅲb型の定義としては、”被殻から内包後脚へ血腫進展し、脳室へ血腫進展している被殻出血”とされています。そのような出血の場合は、下記のようになります。
この図をご覧いただくとわかりますが、右の白丸で被殻から内包後脚方向へ血腫進展、そして中心部分に白の細長い丸があります。これは血腫を表しており、これが”脳室穿破(のうしつせんぱ)”と言います。
今回は、この白い脳室穿破が中心部に位置していますが、これは出血量によって様々です。
この上記の2つの図のように出血量によって様々です。しかし、論文を探しましたが被殻出血より視床出血の場合が今回説明しているように脳室穿破をしやすい傾向にあります。
今回の被殻出血におけるⅢb型はこのような状態になります。
前回の”Ⅲa型:被殻から内包後脚に及ぶ血腫進展の被殻出血の症状と予後”に加えてある特徴的な症状が出現する場合が脳室穿破によって出現する可能性があるので、前回の内包後脚の症状に加えて脳室穿破の症状について解説を行います。
っとその前に脳脊髄液についても少し知っていてほしいので解説をします。
脳脊髄液(cerebrospinal flid:CSF)がある場所
脳には様々な空洞の部分が脳の中に存在します。それを下記の図のうように脳室(側脳室、第3脳室、第4脳室)と言います。
この脳室と言われる場所と、脳を直接包む軟膜とクモ膜の間(クモ膜下腔:くもまくかくう)に脳脊髄液が循環するようになっています。
そして、この脳脊髄液は脳室で30ml、クモ膜下腔80ml、脊髄クモ膜下腔30mlと場所ごとに一定に保たれています。
この場所ごとに一定に保たれていると言うことが、非常に脳出血との関係を悪くします。
ここまで理解してもらった上で、Ⅲb型の被殻出血によって現れる症状の解説に移っていきます。
Ⅲb型の被殻出血によって現れる症状
前項の脳脊髄液について理解してもらえたところで、これに加えて出血した血液が脳内に足されます。そして結果的に、下記の図のように吸収されない出血した血液は血腫となり脳細胞を押し出します。
そして、この型の被殻出血を伴うと前述しているように”Ⅲa型:被殻から内包後脚に及ぶ血腫進展の被殻出血の症状と予後”に加えて、急性水頭症のような症状が出現します。
では、一体どんな症状が現れるかですが、重度の場合は脳圧亢進によって”意識障害”が出現します。そのほかには、嘔吐やめまいなどと言った症状が出現します。
また、記憶障害や失禁などをする場合があります。
基本的に、救急車で病院に到着後に上記のような症状の場合手術を行う場合が、重症度によってありえます。
ここまで説明を行なったように、Ⅲa型の運動麻痺、感覚障害、高次脳機能障害(失語を含む)状態に合わせて、意識障害やめまい、記憶障害など様々な症状が多岐にわたって出現します。
まとめ
Ⅲb型の被殻出血では、脳室部分に被殻出血で出現した血液が進展し脳内圧の亢進を起します。
そして、その血腫は脳を押すようにして脳細胞へ悪影響を及ぼします。
結果、被殻や内包後脚部分で認める運動麻痺や感覚障害、高次脳機能障害などに併発して、意識障害やめまい、嘔吐、記憶障害や失禁などを伴う可能性があります。