運動麻痺と言っても様々な症状があるためそれぞれの麻痺種類について説明をします。
麻痺の程度による分類
完全麻痺”Paralysis”
完全麻痺とは英語で”Paralysis”と言います。この麻痺は運動(力を入れて関節を動かすなど)や感覚(触った、触れたなどと言った感覚など)の”両方の機能が完全に喪失する状態の麻痺”のことを示します。
多くは、交通事故や転落などによる外傷性脊髄損傷によって、脊髄を横断様に損傷することで生じる場合が多いです。
不全麻痺”Paresis”
不全麻痺とは英語で”Paresis”と言います。この麻痺は完全麻痺とは異なり一部分的に運動(力を入れて関節を動かすことができる)、感覚が鈍麻、過敏になっている(触られているのはわかるが、病前よりは鈍く感じるまたは過敏に感じるなど)場合など”一部の運動、感覚機能が残存している状態の麻痺”を不全麻痺と言います。多くの神経疾患などで生じます。
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麻痺の容態による分類
弛緩性麻痺”Flaccid paralysis”
症状は、麻痺している部分に力が全く入らない状態のことを言います。多くの場合は外見ではダラーんっと力が抜けている様な状態になります。
実際に弛緩性麻痺を認める疾患
病 名:脳卒中(損傷されている部位が広範囲である場合)
部 位:脊髄(脊髄神経)
病 名:前脊髄動脈梗塞、外傷性脊髄損傷、硬膜外腫瘍・血腫
部 位:末梢神経(炎症・免疫介在)
病名:横断性脊髄炎、脱髄性疾患(急性散在性脳脊髄炎、視神経脊髄炎関連疾患を含む)、急性弛緩性脊髄炎(ポリオ、非ポリオエンテロウイルス脊髄炎を含む)、ポリオ生ワクチン関連麻痺
部 位:末梢神経(免疫介在性)
病 名:ギラン・バレー症候群
部 位:末梢神経(薬物・中毒・代謝性)
病 名:ポルフィリン症、ヒ素系薬物や中毒など
部 位:末梢神経(感 染)
病 名:狂犬病、日本脳炎、ジフテリア、ライム病
部 位:末梢神経(外 傷)
病 名:外傷性神経炎
部 位:神経筋接合部(免疫介在)
病 名:重症筋無力症
部 位:神経筋接合部(薬物・中毒)
病 名:有酸リン酸塩、ヘビ毒、フグ毒、貝毒、アミノグリコシド系薬物
部 位:神経筋接合部(感 染)
病 名:ボツリヌス症
部 位:神経筋接合部(電解質異常)
病 名:高マグネシウム血症
部 位:筋肉(感 染)
病 名:ウイルス性筋炎
部 位:筋肉(免疫介在)
病 名:皮膚筋炎、多発性筋炎
部 位:筋肉(電解質異常)
病 名:低カリウム血症、低リン血症
部 位:筋肉(電解質異常)
病 名:周期性四肢麻痺、横紋筋融解症
部 位:その他(心因性)
病 名:身体症状症(機能性身体症状)
上記表のように部位と、疾患については言われています。
引用:急性弛緩性麻痺症例の臨床鑑別と症状 IASR Vol.41 p19-20:2020年2月号
痙性麻痺”Spastic paralysis”
症状は、筋肉が強張るようになり筋緊張が亢進しやすいまたは、亢進している状態で加えて運動麻痺があり思い通りに動かせない状態を痙性麻痺と言います。
部位:脳(脳神経)
病 名:脳卒中(脳出血や脳梗塞など)、脳性麻痺、重症頭部外傷(事故、転落など)
部位:脊髄(脊髄神経)
病 名:脊髄損傷(不全損傷の場合が多い)、脊髄梗塞
上記表のように部位と、疾患については言われています。
今回は麻痺についての程度による分類や病態による分類について解説を行いました。