作業療法士が解説する。脳卒中リハビリテーションの流れ。

脳卒中リハビリテーションの流れ

一般的に脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血など)を発症すると、急性期、回復期、生活期を経過してリハビリテーションを受けるようになります。この経過を辿り、後遺症が残存しやすい脳卒中のリハビリテーションは、日常生活動作や社会復帰(復職など)、趣味活動などの障害がある上でその人らしさや生活上の問題を解決して生活の再構築を図ります。

なお、海外では日本のように行政が保険に関わることがない国もあり民間の保険会社でのやり方など様々な方法で支援が行われています。

そのため、急性期治療に早期から退院支援を加えて、入院している日数などの短縮に加えて病前生活に近づけることで意欲も湧いてADLやQOLと言った生活能力の向上を認める場合も少なくありません。

しかし、早期に退院するからと言ってリハビリテーションなどと言った、脳卒中の後遺症に対して向き合わないで良いかと言うとそうではないです。

これは、後遺症があるからではなく回復する見込みが長期的に見込めるからです。3ヶ月目までは全く手が動かなかったけど4ヶ月経過したら動き出したや、歩く速度なども、2年、3年と年経過で変化する場合も多いにあります。

年次でわずかに変化していくのが脳卒中の回復経過の可能性もあります。

そのため、心中は後遺症に対して向き合うことで辛い、しんどいなど落ち込むことも少なくありません。しかし、本当に続けることで新たに獲得できることが多くあります。そのため、どんな小さなことでもコツコツと続けることが大切になってきます。

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急性期から回復期

急性期病院から回復期病院まで流れ

急性期病院とは救急車や手術など、人命を救助するような病院の入院時期を示しています。脳卒中(脳出血や脳梗塞など)を発症するとまず、このような病院に搬送し入院されることがほとんどです。そして、そこで救命処置などが行われます。しかし、ご存知の通りこのような病院には脳卒中だけではなく事故、腫瘍などそのほかの病気によって救命を求める方がたくさん日々見えます。そのため、脳卒中による後遺症は冒頭でも説明したように年次経過での変化の場合なども多くあります。そのため、救命処置が終われば次に身体機能や高次脳機能障害と言われる脳卒中の後遺症に伴うリハビリテーションに特化した病院へと転院をします。

 

回復期病院の選定流れ

この病院の選定方法は、各病院におられるソーシャルワーカーがある程度、次の病院などの紹介を行なって頂けます。また、十分に選定を行いたい場合は早期の段階(急性期病院入院から5〜7日程度)からソーシャルワーカーに相談すると良いと思います。そうすることで、私が以前勤務していた回復期リハビリテーション病院では入院前に病棟や入院費用形態、リハビリテーションの流れや設備見学を行うようになっていました。

回復期病院から生活期

回復期病院の入院期間

回復期病院は急性期病院とは異なり、基本的に障害の程度によって最大5ヶ月(高次脳機能障害の認定許可が降りれば6ヶ月)入院することが可能です。しかし、無駄に長くいる必要はありません。年次経過で変化する後遺症であるため入院期間が長い方が良いと考える方もおられますが、その分病院という環境に対して依存や慣れなどが生じて、実際の社会生活に戻ると酷く体が疲弊したり、外にでるのが怖くなったり、後遺症に対して被害者意識が強くなるなどと言った症状が出現し社会での生活ができない状態になる可能性があります。

 

回復期病院から生活期サービスまでの流れ

そこで回復期病院では基本的に1ヶ月毎に病状の経過や後遺症などの回復経過(リハビリテーション効果など)を医師、ソーシャルワーカーから説明があります。なお、療法士が必要に応じて同席することもあります。なお、この月毎の説明の中である程度の目安(入院初期に設定したリハビリテーションの目標に残り1ヶ月程度で達すると想定される時期)で次の生活期で受けるリハビリテーションなどについての相談がソーシャルワーカーからされます。

そして、いざソーシャルワーカーから生活期の相談があれば実際のサービス内容などの説明が行われます。基本的には住まいの近いまたは、包括的に広範囲で行なっている事業所などにソーシャルワーカーが相談を行い生活期での生活について提案を行います。また、基本的に施設同士での癒着などと言った問題はありません。なので絶対ここでなければという運びになりません。

生活期でのサービス担当などを変更する場合は?

しかし、万が一自分が気に入らなければ、十分でないと感じるようであれば変更することは回復期や生活期などどちらの段階でも変更することが可能です。もし、そのようなことがあれば回復期ではソーシャルワーカー、生活期では役所の介護保険課や身体障害者手帳を管轄する課に相談し変更することが可能です。

なお、生活期での変更は早期であればそれほど身体的にも、精神的にも疲弊することはありません。しかし、ある一定のサービス利用時間(2年や3年など)を経過した後に揉め事が起きて変更する場合は、少し精神的に労力を使う(今までお世話になった恩情などを切らなければならないなど)のであまりおすすめすることができません。

そのため、回復期の段階でしっかりと人員などを患者様である本人様やご家族様が認識する必要があります。

 

回復期病院での生活期担当スタッフとの顔合わせ

この、人員の認識は先に述べたように退院の1ヶ月前程度から担当者会議や退院前面談などが病院側から企画、提案を行われます。その際に、生活期で支援を行うスタッフ(ケアマネージャーや生活期リハビリテーションを行う療法士や看護師、介護スタッフ、福祉機器業者など)などと事前に顔合わせと現状の後遺症に対してどのように工夫(リハ時間や頻度、身体介護支援時間や頻度、自宅の改修や後遺症をサポートする福祉機器など)を提案されます。

回復期病院退院前の試験外泊、外出

また、提案後には保険制度の兼ね合いなどを相談して退院前に福祉機器の業者が自宅の改修方法や必要な福祉機器などを搬入して頂けます。そして、回復期病院に入院中に自宅で本当にこれだけのサービスや改修、福祉機器で生活することができるかなどの確認を含めて試験外泊または試験外出などの方法を使い確認をすることができます。

 

 

これらを経て、実際の生活期と言われるリハビリテーションや自宅での生活再建、施設での生活再建などを吟味します。

そして、回復期病院を退院するような流れになります。

生活期

生活期での流れ

生活期では、回復期で選定したリハビリテーション時間や頻度、身体介護支援の時間や頻度、福祉機器の調合感を確認しながら微調整を行い、より自宅や施設などで安全に楽しく生活を行えるように支援を行います。

また、リハビリテーションでは以前は脳卒中の後遺症は6ヶ月が概ね回復の目安でそれ以降は変化しないとされていましたが、近年はそれ以降も回復することが研究によって明らかにされており回復を目的としたリハビリテーションや生活範囲を広げる方法を模索し支援するリハビリテーションを提供するようになっています。

保険下での生活期の限界

ただし、それらのサービスを介護保険や身体障害者手帳などを用いて制度上で行なっている場合は現在のところ提供時間や頻度などは限られており、回復期病院のように毎日リハビリテーションなどの支援を受けることは困難となっています。そのため、生活期リハビリテーションの中でも自主練習などを積極的に行うことが非常に回復にとっては大切になってきます。

 

引用リンク

日本神経治療学会 Ⅶ-リハビリテーション-

介護保険と身体障害者手帳について

 

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