血管疾患と関係の深い肥満。睡眠時間と肥満について解説。健康管理編。

管理人
本日もkaradasapo-to.comに訪れて頂き、ありがとうございます。
今回は、血管疾患でもある脳卒中(脳出血や脳梗塞)、心筋梗塞や生活習慣病でもある糖尿病、高血圧などの要因でもある肥満について、睡眠時間との関係について解説をします。

睡眠時間を減らすと太る?

まずは、結論から!
睡眠時間を短くすると・・・
確実に太ります。
こちらの図をご覧ください。
これは、イギリスのCappucioら(2008)による研究で17本の睡眠と肥満に関する研究報告をメタ分析されている結果から一部図を改変したものを示します。

この研究では、
♠通常睡眠を7〜8時間
♦短時間睡眠を5〜6時間
として2群に分けて肥満について検討されています。

グラフを見てわかりますが、通常睡眠群と比較して短時間睡眠群が肥満になる危険性があることになります。

また、大井ら(2011)がまとめた報告内容でも様々な報告内容をまとめて報告しています。
この文献では、閉塞性睡眠時無呼吸症候群とメタボリックシンドロームについても文献を引用してわかりやすく解説されています。
下記にリンクを貼り付けていますので、気になる方はぜひこちらも参考にして下さい。

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短時間だけでなく長時間についても検討されています
6年間にわたって3群に分けて追跡調査を行なった研究が報告されています。
・短時間睡眠群(Short sleepers:5〜6時間睡眠)
・標準睡眠群(Average sleepers:7〜8時間睡眠)
・長時間睡眠群(Long sleepers:9〜10時間睡眠)

短時間睡眠群と長時間睡眠群の両群が標準睡眠群と比較して体重、体脂肪率、胴囲が有意に増加したと報告されており、前述のように短時間睡眠でも増加するが、長時間の9〜10時間睡眠でも体重が増加します。

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ではなぜこのように睡眠時間が減ると肥満に繋がる可能性があるのか?そのことについて、解説を進めたいと思います。

なぜ?睡眠時間が短くなると太る?

1:交感神経の亢進による、コルチゾールの増加

・概 念
コルチゾールとは、興奮することで生成される副腎皮質ホルモンです。
そのため、安静にしている就寝中は生成されにくく、活動をしている覚醒中は生成されます。
コルチゾールの時間的推移
起床してから正午(活動的になった時間)に血中内は上昇
睡眠することで血中内は減少するようになっています。
①:興 奮

②:コルチゾール生成

③:体内で糖新生(糖を作り出す)

④:糖を血中に送ります

⑤:糖の必要な部位(筋肉など)へ糖を送る

⑥:エネルギーの生成
その他の機能は、下記の機能があります。

その他の機能
・カルシウムの吸収抑制
・血圧維持
・抗炎症作用
・胃酸やペプシンの分泌
・免疫機能
などに関わっているとされています。

 

肥満とコルチゾール

前述したように、糖分は活動に必要なエネルギーを生成に必要な成分です。
そのため、夜間に起きていることで神経が興奮していると、コルチゾールが放出され糖新生を行います。
しかし、筋肉を動かしていない(非活動的)状態では、エネルギーの生成が必要じゃない状態なので、コルチゾールによって生成された糖分は血中内に待機することになります。
その結果、血中の糖分が多くなるまたは、脂肪組織として変換され体内に脂肪として蓄積されるようになります。

そして、体重の増加などの肥満へと繋がるようになります。


 

2:甲状腺刺激ホルモン、食欲抑制作用のあるレプチンの低下

レプチンは食欲を抑制する作用があります。
機能は、満腹中枢を刺激する作用があります。
それによって満腹感を感じることができます。
レプチンは食後約20分で血中に増加すると言われています。
よく夜間にある暴食ですが、食事時間を約20分以上目安で食べるとレプチンが放出される時間とタイミングがあって量を控えることができる可能性があるんですが・・・
夜間の暴食の多くは、スナック菓子などを短時間で食べるようなことが多いと思います。
約20分以内の短時間で摂取するような暴食ではレプチンによる満腹中枢が刺激されにくく、つい次の菓子類などに手をつけてしまうようになります。
そして、結果的に摂取量が多くなって肥満に繋がってしまいます。
図引用:Spiegel K, et al : Sleep curtailment in healthy young men is associated with decreased leptin levels, elevated ghrelin levels, and increased hunger and appetite. Ann Intern Med 141 : 846―850, 2004.を一部改変.
図解:左軸は血中のレプチン量、下軸は時間軸、グラフ上の細い線を10時間睡眠群、グラフ上の太い線を4時間睡眠群
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3:食欲増加作用のあるグレリンが増加

グレリンの作用は、胃で産生(胃内分泌細胞)され、脳の視床下部に伝えられ摂食行動を亢進させます。
また、脳(下垂体)を刺激して成長ホルモンを放出します。当然成長ホルモンは体重を増加させます。
そのため、摂食量が増加するようなグレリンは摂食活動亢進と成長ホルモンを放出し、肥満にとっては一石二鳥とも言える肥満促進物質となります。
この、グレリンも睡眠時間が4時間の人と10時間の人では大きく血中濃度に差が出現すると言われています。
また、AM9時からPM9時の起床している間に、睡眠時間が4時間の人のグレリン血中量が、10時間睡眠をとった人のグレリン血中量を下回ることはなかったと報告されています。
図引用:Spiegel K, et al : Sleep curtailment in healthy young men is associated with decreased leptin levels, elevated ghrelin levels, and increased hunger and appetite. Ann Intern Med 141 : 846―850, 2004.を一部改変.
図解:左軸は血中のグレリン量、下軸は時間軸、グラフ上の細い線を10時間睡眠群、グラフ上の太い線を4時間睡眠群

4:覚醒時間と食事の増加

これは、覚醒時間が増加することによって起きている時間が長くなると当然ながら、お腹が空くようになる頻度も増えます。
そして、朝、昼、夜の食事以外にも食事や間食をしてしまう機会が増加し、それらによって肥満へと繋がっている可能性があります。
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まとめ

このように、社会人になってから一気に肥満や太りやすくなったなどは多くの社会人の方が経験されていると思います。
肥満になってしまってからでは、手遅れになる可能性が高いので、今回説明させて頂いたように睡眠時間を設定して生活することを進めます。
また、肥満は冒頭で説明したように血管疾患や生活習慣病のリスクとなるため、健康診断などでそれらの危険性を指摘されている場合は十分に注意するようにして下さい。
本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。
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