作業療法士が解説する。痛みは振れば和らぐの?運動と感覚神経の抑制機能。

管理人
本日もkaradasapo-to.comに訪れて頂き、ありがとうございます。
本日は、運動神経と感覚神経の抑制機能について解説を行いたいと思います。

 

運動と感覚神経の抑制?

運動と感覚神経の活動バランスは、運動を行っている時は、『動かすことに対して比重を置いて、感んじると言うことに比重を置いていない』でしょう。

しかし、運動神経も感覚神経も正常な状態です。

こういった場合は、運動神経を優位に活動させて感覚神経を抑制するようにしています。

頭をうった時にその部位をなぜたり
小指をどこかの角にぶつけた時に振ったり
ドアに挟んだ時に振ったり
熱い物を触った時に手を振ったりなど。
このような動作によって痛みがなんとなく和らぐ経験をしたことはないでしょうか?

痛みを感じるのが、感覚神経の役割であり、振る動作が運動神経の役割です。

では一体なんで振れば、その感覚で感じた痛みが紛れるのか?

それが、運動神経と感覚神経の抑制システムを表しています。

 

この現象について、説明をしている論文などがあるので、科学的根拠を述べながらこれらの現象について解説を行いたいと思います。

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運動と感覚神経の抑制メカニズム

感覚から運動までの簡略経路説明

運動を行うまでの一連の流れとして、皮膚、関節、筋肉などから入力される感覚や視覚、聴覚、味覚、嗅覚などから入力されます。その感覚を、それぞれの神経を経由させて脳に送ります。そして、その脳からそれらの感覚情報を統合して、運動方法を考え実際の運動へと脳から筋肉に神経を経由させて運動を完遂させています。

 

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感覚と運動神経抑制システム

感覚を感じて運動を行うのは、統合作用(centrifugal gating)と言われます。

しかし、その統合作用に対して運動を行った際に生じる違和感やエラーの感覚をフィードバックして修正しようとする感覚処理があり、それを干渉作用(centripetal gating)と言います。

また、運動前は筋収縮をしないことによって体性感覚(筋肉が収縮している感覚)が影響を受けないため、運動領域が優位に活動し、運動関連領域から体性感覚領域に対して純粋に統合作用が行われ感覚神経を抑制するようにしています。

そして、運動を行うことによって感覚入力が促進され、干渉作用が生じて感覚神経の抑制が緩和され、感覚を感じるようになります。

このことは、Starr(1985)、Murase(2000)、和坂(2000)、Kida(2006)らによって報告されています。

引用:Starr A,Cohen LG.’Gating’ of somatosensory evoked potentials begins before the onset of voluntary movement in man.Brain Res 348:183-186,1985.

Murase N,Kaji R,Shimazu H,Katayama-Hirota M,Ikeda A,Kohara N,Kimura J,Shibasaki H,Rothwell JC,Abnormal premovement gating of somatosensory input in writer’s cramp.Brain 123:1813-1829,2000.

和坂俊昭,西平賀昭,荒木秀夫:選択反応動作課題に伴う誘発筋電図及び体性感覚誘発電位の変動.体力化学,49:285-294.2000.

Kida T,Wasaka T,Inui K,Akatsuka K,Nakata H,Kakigi R.Centrifugal regulation of human cortical responses to a task-relevant somatosensory signal triggering voluntary movement.Neuroimage 32:1355-1364,2006.

 

これら双方が機能して感覚を受けながら、動作のエラーなどを修正するようになっています。

干渉作用が低下すると運動のエラーなどを感覚情報に基づいて修正することができず、絶えず運動のエラーが生じるような状態となります。

 

また、これらの統合作用と干渉作用は脳波や脳磁場を用いてSEPs/SFEsと言われる波形で、視覚的に検査を行うことが可能です。

この上述の研究方法で、脳科学的に面白い発見が、一次感覚野と一次運動野での抑制機能(centripetal gating)です。

従来は、一次感覚野から一次運動野へ感覚が運動へ変換されるようにしか考えていない場合が多いと思います。

しかし、和坂ら(2001,2003)で報告したように、一次運動野から一次感覚野に対して抑制作用が働く(いわゆる運動活動が感覚活動に対して干渉して活動を弱める)と言った報告をしています。

他にもKirimotoら(2014)、Nakataら(2003)、Ogataら(2009)が随意運動中に運動を行なっている同側に対して末梢神経を刺激して体性感覚誘発筋電位を記録すると安静時よりSEP振幅値が随意運動中は減少すると報告しています。また、Courtemancheら(1997)は哺乳類の研究で一次感覚野(Parimary somatosensory cortex;S1)の錐体細胞自体の興奮性が随意運動中は低下すると報告し、その結論として随意運動中はS1への感覚刺激の到達までに感覚情報の調節が行われていると報告している。そして、Courtemancheらはこの研究の中で微小電極刺激をM1に対して行なった後に、触覚刺激の入力を行うとSEP幅が減少したことを加えて報告している。さらに、Jiang,Chapmanら(1990)はM1への微小電極刺激強度を変化させて、体性感覚入力を行うことでM1への刺激強度に対してS1の興奮性が強度と相関するか確認を行いました。結果は、M1の刺激入力強度に相関してS1の興奮性は抑制されると報告しています。

引用:Kirimoto H, Tamaki H, Suzuki M, Matsumoto T, Sugawara K, Kojima S, et al. Sensorimotor modulation differs with load type during constant finger force or position. PloS one 9: e108058, 2014

Nakata H, Inui K, Wasaka T, Nishihira Y, Kakigi R. Mechanisms of differences in gating effects on short-and long-latency somatosensory evoked potentials relating to movement. Brain Topogr 15: 211-222, 2003

Ogata K, Okamoto T, Yamasaki T, Shigeto H, Tobimatsu S. Pre-movement gating of somatosensory-evoked potentials by selfinitiated movements: the effects of ageing and its implication. Clin Neurophysiol 120: 1143-1148, 2009

Courtemanche R, Sun GD, Lamarre Y. Movementrelated modulation across the receptive field of neurons in the primary somatosensory cortex of the monkey. Brain Res 777: 170-178, 1997

Jiang W, Chapman CE, Lamarre Y. Modulation of somatosensory evoked responses in the primary somatosensory cortex produced by intracortical microstimulation of the motor cortex in the monkey. Exp Brain Res 80: 333-344, 1990

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これらの干渉作用と統合作用などを説明すると下記の図のようになります。

このように、運動そのものが一次感覚野の脳活動に対して一次運動野に対して干渉します。干渉によって一次感覚野の興奮が抑制されることで痛みや触れた感覚を減弱させます。

このような神経機能によって前述したように、小指を打つ、頭を打つ、熱い物を触った場合などはこれらの現象から、「痛みを感じて興奮した一次感覚野に対して振るなどの動かす運動を行うことで一次運動野から一次感覚野に対して活動の抑制作用が機能して一次感覚野で感じ取った感覚を抑制する」ということになります。

 

これらが、脳卒中のリハビリやトレーニングに関しても波及することで、筆者の私自身は痺れなども改善させることができるのではないか?と感じています。

臨床で実際に、脊髄腫瘍の患者様で痺れを関しているいわゆる感覚活動が主として機能している状態に対して、一次運動野を使うために運動を実施すると痺れの感覚は和らぎました。

しかし、筋疲労感は運動に伴い出現するので、今後は必要な動作獲得を行い効率的な歩行を見つけていくように説明をしています。

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まとめ

一次感覚野と一次運動野は一方向の神経作用ではなく、gatingと言う作用を通してお互いに干渉して興奮と抑制の協調性を保っています。

本日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

明日の臨床で、中枢性の痛みや痺れを伴う患者様やお客様に試してみると、前向きな変化をえることができる可能性があります。

ぜひ、今回引用させて頂いた和坂先生はじめとする論文を読んで頂き、明日の臨床でより良いサービス提供をして困っている患者様やお客様の力になって行きましょう!!

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