作業療法士が、他動運動の効果を解説(血流、痙性、重さ、感覚、筋力)

管理人
本日も、karadasapo-to.comに訪れて頂きありがとうございます。今回は他動的に動かす時に体の何を考えてやっている?そんな疑問について他動的に動かす効果の一部について解説を行います。let’s go!!

他動運動とは

簡単に説明を行うと患者様やお客様の筋収縮を行わず、療法士やセラピストなどが関節や体を動かし行う運動のことです。
例えば、麻痺にともなって運動を行えない状態に至った際に、関節を療法士などが動かすようにします。
このように、自力ではなくて他者が運動を行うことを他動運動と言います。
で!ここで問題なのが、その他動運動を何を目的でやっているかなんです。
様々な効果があるためしっかり、目的を考えた上で取り組むことが必要です。
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他動運動の目的?

他動運動はざっくり行うのは良くない。

この他動運動において、一切行う必要がないかといいうとそうではないんです。河元ら(2006)ではMMTが段階評価の中で、ZeroまたはTraceの場合に筋力増強のためであれば適応としています。
引用:河元 岩男,溝田 勝彦:運動両方・第2版.神陵文庫,福岡,2006,P130.
こんな風にざっくり決めて行うのは、それぞれの患者様やお客様の症状が異なるため、もっと詳細に他動運動を考える必要があります。また、Traceの場合において他動運動をその部位を対象として実施した場合は、後に解説する通り最大筋力が低下してZeroへと戻り兼ねません。
なので、他動運動の目的を明確に決めて実施する必要があります。

他動運動と血流、痙性の関係

また、イタリアのBrescia大学は下記のようなシステムを用いて、これからロボット支援が始まるにあたり、本当に他動的な運動自体がどのような現象をもたらすかを亜急性から慢性脳卒中患者23名の痙性と血液灌流を分析しています。
内容としては、この装置を麻痺手に対して装着を行い20分使用し機械による他動運動を実施します。また、NIRSと言う近赤外分光法を使用して前腕組織の灌流の変化をヘモグロビン検出するようにしました。
この装置自体は非麻痺側の筋電図を利用して、麻痺手をDisplayでモニター確認を行いさらに、非麻痺側から送られた筋電図を装置内のREHABILITATION SYST.CONTRから送られた情報に基づいてWire Transmission(ワイヤー装置)が作動し麻痺手を動かします。そして、麻痺手を他動的に収縮させるシステムで構成されています。
引用:Hand passive mobilization performed with robotic assistance:Acute Effects on upper limb perfusion and spasticity in stroke survivors.Massimiliano Gobbo,Paolo Gaffurini,Laura Vacchi,Sara Lazzarini,Jorge Villafane,Claudio Orizio,Stefano Negrini,and Luciano Bissolotti. Bio Med Research International Volume 2017. 
この装置を使用した結果、下記の図のようにヘモグロビンの最大変動を認めており血液灌流の最大的な流入を導く結果となっています。
引用:Hand passive mobilization performed with robotic assistance:Acute Effects on upper limb perfusion and spasticity in stroke survivors.Massimiliano Gobbo,Paolo Gaffurini,Laura Vacchi,Sara Lazzarini,Jorge Villafane,Claudio Orizio,Stefano Negrini,and Luciano Bissolotti. Bio Med Research International Volume 2017. 
また、この他にも痙性はMASにて Wrist及びFingerの前後比較で有意差(Wirist:P<0.001、Finger:P<0,05)を認めており、主観的な肩の重さや手部の重さ、関節の硬さなどについても変化を認めたと報告をしています。
血流や痙性、肩や手部の重さ、関節の硬さについては前向きな変化を認める結果ですね。
次は感覚!
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他動運動と位置覚の関係

感覚機能についてはKnowら(2013)の研究報告で、健常者23人の右利きを被験者として、前腕回内外を60回自動運動を行う場合と、他動運動を行う場合で、位置覚を評価し自動運動で行う場合と他動運動で行う場合の位置覚の再現性について研究を行いました。その研究の中で両運動共に、位置覚の再現性は向上します。しかし、より他動的に運動を行なった場合の方が、優位に位置覚が改善したと報告をしています。
引用:OhSung Know,SeungWon Lee,YoungWoo Lee,DongKwon Seo,SangWoo Jung,WonJae Choi.The Effect of Repetitive Passive and Active Movements on Proprioception Ability in Forearm Supination. Journal of Physical Therapy Science.2013 May;25(5):587-590. 
ただし、膝関節に対しての位置覚についてはこの見解は、いい場合もあれば悪い場合もあると報告されています。
これは、上肢ならではな神経単位などが関与していると思われます。
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他動運動と筋力の関係

他動運動とはアイソキネティック(等速性運動)ではありません。アイソキネティックは、筋力に対して前向きな変化をもたらすと報告されています。
あくまで療法士が行う場合の他動運動においての報告です。
村上ら(2008)が健常者39名に対して他動運動を行なっていない場合と他動運動を行なった場合、視覚的に他動運動を注視する群の3群に分けて、それぞれの筋力(最大トルク値、最大トルク発生時間、最大トルク発揮角度)の検証を行なってる。なお、他動運動群は視覚的注視を避けるため他動運動実施中は100マス計算を課した。
結果は、他動運動のみを行なった群は他の群と比較して、最大トルク値が低値となったと報告しています。また、他動運動中の視覚注視群と比較しても膝屈曲筋力は有意差(P<0.05)を認めていると報告しています。
これらの結果解釈としては、他動的な運動に関してもrom stretchが作用して筋肉に対して張力を発生させ、Ib抑制などの抑制作用が働いたのではないかと報告しています。
引用:村上 茂雄,中原 雅美:他動的関節運動が筋力に与える影響.理学療法科学 23(6):737-739,2008.

まとめ

今回は、他動運動についての効果を血流、痙性、筋力、感覚の4つに分けて紹介をしました。
他動運動は血流、痙性、感覚(位置覚)については前向きな効果を与えます。
しかし、筋力はIb抑制によって低下する可能性があります。
単純に関節運動を目的とするだけではなくて、物事を色々な視点で捉えていくことが必要です。
今回説明したように、感覚に対して前向きな影響を与えるのであれば、課題を行う前には必要な可能性があります。また、痙性によってトレーニングの課題に負の影響を与える場合は行う必要があると思われます。
しかし、トレーニング課題に最大筋力を必要とする筋肉を対象として、他動運動を実施するとIb抑制によって課題中の最大筋力は低下する可能性があります。
こんな風に、他動運動一つにとっても、様々な変化をもたらします。
目の前の患者様やお客様は、あなたを信じてついて来てくれます。
なので、一秒も無駄にしない臨床を心がけて、いいサービスを提供して行きましょう!
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