筋原性損傷と遅発性筋痛〜症状の経過と筋と神経、運動学習との関係〜

 

 

管理人
本日も、karasapo.comに訪れて頂き、ありがとうございます。
明日からの臨床が疑問を解決して、楽しくできるようにこの投稿についても解説をさせて頂きます。
では、よろしくお願いします。
はじめに
管理人
今回は遅発性筋痛の簡単な概論と、その原因である筋原性損傷の表面的な現象から、随意運動と運動学習に対してどう言った問題を起こすか解説をして行きます。
遅発性筋痛と筋原性損傷
上記の前回、前々回の記事で遅発性筋痛についての解説、徒手的な治療方法の介入について解説を簡単に行いました。
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①まずは、伸展性筋収縮を行います。

②その伸展性筋収縮をしている筋肉を、重量または徒手的な抵抗によって反対方向へ引っ張ります。

③そして、筋原性線維の損傷が起こります(微細な筋断裂)。

④これらの結果、遅発性筋痛(DOMS:Delayed onset muscle soreness)が起こります。
簡単に説明を行うとこのような流れになります。
お客様

そうだった、そうだった。

だから、その伸展性筋収縮をしている筋の力以上の重量や徒手的な抵抗をかけると遅発性筋痛(筋肉痛)が起きるんでしたね!

管理人
そうです!よく覚えていて感心です。
では、次に今回の本題でもある遅発性筋痛に伴う表面的な症状の解説をします。

遅発性筋痛の表面的症状

遅発性筋痛一般的な筋肉痛です。

なので、表面的な症状は疼痛が多いです。

この遅発性筋痛に伴う疼痛は、運動後の約8〜12時間後に発生すると言われています。
引用: Clarkson P.M.Hubal M.J.Exercise-induced muscle damage in humans.Am.J. Phys. Med. Reha.81:S52-S69(2002).
そして、疼痛以外の症状は、下記の症状があります。

1:最大随意力(Maximal voluntary contraction:MVC)の低下

2:関節可動域の低下

3:筋肉の浮腫(筋肉が張る)

4:力を発揮する際に、筋力の程度の変動が大きくなる

5:皮質運動野より上位が原因となった中枢性疲労が亢進する

6:力を発揮している感覚が低下する
1〜3は、筋肉自体の症状。4〜6は、神経的症状。

これらの症状は、遅発性筋痛の前段階である筋原性線維の損傷(Mascle damage:MD)が起きた時点で出現しやすいと言われています。

 

では、次に症状の経過を、筋肉と神経に分けて整理していきます。

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筋原性線維損傷と症状経過

筋肉の変性

まずは、伸張性筋収縮を過剰に行います。

その結果、筋原性損傷を起こします。

遅発性筋痛が損傷後約8〜12時間
で発症します。

①疼痛出現

疼痛から関節可動頻度減少
②可動域の狭小化(関節可動域低下)

③筋肉の浮腫
に繋がると整理できます。
引用:伸張性筋収縮による筋損傷が運動学習に与える影響とその神経生理学的要因 遠藤ら

神経の変性(遅発性筋痛の発症までは、上記の経過同様。)

皮質運動野より上位が原因となった中枢性疲労の出現。

筋力発揮感覚が低下

中枢神経の疲労によって、
最大随意力(Maximal voluntary contraction:MVC)の低下

一定の同一課題を行なっても、毎回で筋力発揮程度にムラが出現し筋活動の変動が増加する(力が入ったり、入らなかったり)

結果、同一の課題を実施しても、課題結果(タイムや速度など)に変動が出現する。
引用:伸張性筋収縮による筋損傷が運動学習に与える影響とその神経生理学的要因 遠藤ら
お客様
へーーーこんな風に筋肉と神経に分けて、筋原性損傷の症状は整理できるんですね!
でも、なんで今回はこんな風に分けて書いたんですか?
管理人

分けて書いた理由は、日々脳や脊髄などの神経疾患に向き合う臨床現場では、ただ、トレーニングやリハビリを、がむしゃらに行う人もいるんです。筋トレ?みたいに。

ただ、たかが筋痛、されど筋痛と捉える人もいます。
神経の症状がトレーニングやリハビリテーションなどにおいては、かえって逆効果になってしまうんです。と気づいてもらうために分けて今回は記載しました。

お客様
なるほど!
では、この神経症状とトレーニングやリハビリと繋げてどう言う、影響があるか教えて下さい。
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筋原性損傷と運動学習

先ほども説明させて頂いた通り、筋原性損傷に伴い下記の様な症状が出現することは理解できましたよね!
(前述記載引用)
皮質運動野より上位が原因となった中枢性疲労の出現。

筋力発揮感覚が低下

中枢神経の疲労によって、
最大随意力(Maximal voluntary contraction:MVC)の低下

一定の同一課題を行なっても、回数毎で筋力発揮変動が増加する(力が入ったり、入らなかったり)

結果、同一の課題を実施しても、課題結果(タイムや速度など)に変動が出現する。
この様に最終的に、同一課題で同じ結果が出せない状態になるってことは、結果にムラが通常より多くでるってことになります。
そして、このムラは神経疾患におけるリハビリやトレーニングに非常に重要な割合を占める、運動学習効果を図ることができない状態になってしまいます。
お客様
え!?どう言うこと?
管理人

この表のように運動学習の中における良くない状態の学習性不使用のメカニズムをTubさんが整理されています。

そして、この※印のついたところがこの学習性不使用と言われる負の学習の肝心なところと言われているんです。

お客様
え?要するに、運動試行の失敗やまた代償方法の学習を図るようにすると、実際必要な動作を行わない学習性不使用となり大脳皮質の本来使う必要性のある脳細胞が縮小してしまうってこと?
管理人
そうなんです。なので先ほど解説した筋原性線維の損傷による、神経症状を出現させると、どうなるか表に当てはめて解説しますね!
こちらの表を確認してください。
Tubらが提唱した、Learned non-usedに対してこのように筋原性損傷の神経症状を当てはめることができます
結果的に、※印のついた負の学習に直結するような仕組みになってしまう状態になります。
また、TMsを使用した皮質脊髄路の研究もされた報告がされています。この内容については、次項で解説します。
お客様
なるほど!筋原性線維の損傷って遅発性筋痛って言って、この筋原性線維の損傷で筋肉の問題と、神経の問題が出現して結果的に効率良く課題ができるようになるような、運動学習の阻害因子になってしまうんですね!
管理人
そうなんです。
なので、筋トレのように行うのではなくて運動学習で麻痺などを効率良く改善させて行くにはこの点についても理解しながら進める必要があるんです。今の現状が麻痺や動作学習などの神経を回復して行く治療やトレーニングなのか?そもそも筋力増強をする治療やトレーニングかによって課題や難易度の設定なども変化します。自分が、患者様やお客様に何を目的として行なっているか考えてサポートしていく必要があります。
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まとめ

このように、筋原性線維の損傷も運動学習においては非永続的ではありますが、脳卒中(脳出血、脳梗塞など)や脊髄損傷などの神経疾患においてはリハビリテーションなどを受けれる時間が介護保険下では限られており、より早期に回復が必要となってきます。
そのため、これらのことは留意してリハビリテーションなどを進める必要があります。
これからの臨床、リハビリを受けておられる患者様が楽しく、充実したリハビリやトレーニングが行えるようにこれからも解説していきます。
本日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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