本日のお題は・・・
解説を行いたいと思います。
結構僕自身も曖昧になりやすい現象ですし、実際どんな現象で、どんなメカニズムで起きているの?って聞かれてわからなくなる場合もありますよね!
今回は伸張反射について、一つ一つ整理しながら解説をして行きますね!
では、早速解説をさせて頂きます。よろしくお願いします。
中枢神経疾患では注意が必要な筋緊張。筋緊張を増加させる因子について。
伸張反射とは
伸張反射ってどうな状態のこと?
まずここを抑えて行きましょう! 教科書的にはこんな風に説明をされます。


伸張反射が出現するタイミング
基本的に、筋肉を伸ばすタイミングで出現します。
その「伸張反射が起きるタイミングは2つ」あります。 ①筋肉が素早く伸ばされるタイミング
(速度依存性の伸張反射) ②筋肉が過度に引き伸されるタイミング
(筋肉が引き伸される筋肉の長さに比例して出現する伸張反射)
基本的にはこの2点の動作で出現します。


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伸張反射を引き起こす動作例
①筋肉が素早く伸ばされる動作例
・歩いている最中に他人に勢いよく腕を引っ張られる瞬間
・予期せぬ躓きによって、足首が引っ張られる瞬間
・交通事故で瞬間的に首や腕などが引っ張られる瞬間などこれら①は瞬間で起きる伸張反射であることが特徴です。
また、反動を付けて行うストレッチもその伸張反射を繰り返してしまいます。
②筋肉が過度に引き伸される動作例
・過度に筋肉を伸張するストレッチ
・転倒や交通事故などで、関節が通常より過度に可動した場合などこれら②は、基本的に瞬間ではなくあくまで筋肉を最大もしくはそれ以上に引き伸ばした際に、筋肉が異常を感じ取り縮もうと反射的に収縮する反射であることが特徴です。
また、動作例や下記の写真で示すように、過度に引き伸ばし我慢をして行うようなストレッチは返って筋肉を硬くするとも報告されています。


伸張反射の身体的役割
伸張反射って必要なの?
伸張反射は、基本的に関節機能や筋肉が断裂しないように体の防御装置としての機能であり、必ず必要になります。
伸張反射による体の防御
・いきなり引っ張られると・・・
引っ張られた方向と逆の動きをして関節を守る。・筋肉を限界まで伸ばすと・・・
筋肉がこれ以上引っ張ると千切れるので、筋肉を収縮させてなんとか弛めようとして筋肉を守る。
このように、伸張反射は筋肉の断裂や関節機能の安定と保護を行うために、身体には必要な反射の一部です。
もし、伸張反射が出現しない場合は
・外力によって、筋肉が無理に伸ばされ、筋断裂や炎症 ・関節も同様に痛みや炎症や損傷など このように、筋肉や関節などの炎症や断裂などを引き起こします。


ここまで説明させて頂いた通り、関節や筋肉の保護を目的としているんです。
しかし、ストレッチなどの本来筋肉を伸ばして関節運動を行いやすくする場合は、あまり伸張反射を引き出すのはオススメできないんですよ! その理由について解説しますね!
伸張反射を頻発させるのは良くない理由
①筋肉が速く伸ばされる
②筋肉が過度に伸張されると
この2点です。と言うことはここまでで、ご理解して頂けたと思います。
このイラストのように、過度な筋伸張を行うと伸張反射が出現します。
それにより、伸張反射を頻発させることになります。
その結果、筋収縮がストレッチ中にも起こり、筋疲労物質を出してしまうことにより疼痛に繋がります。

けどストレッチなどの、筋肉を伸ばしてリラックスしたい時は無理に伸ばすのではなくて、適度に伸ばしていくことが大切なんですね!
ところで、どう言った神経のメカニズムで伸張反射って出現しているんですか?

伸張反射を理解するのに必要な筋線維
下記の図に示すように、錘内筋とは筋肉自体の一本、一本の細かな筋線維のことを示します。よく例える場合は、鳥のササミを湯がくと細くバラバラに出てくる筋線維をイメージして下さい。その一本、一本の中身が錘内筋になります。
主な機能として、筋肉の収縮状況を感知するのを得意としている筋線維と言われています。
・錘外筋とは
下記の図に示すようにこの筋線維は、錘内筋の外側を包みこむように外周に存在する筋肉の線維です。
主な機能として、脊髄から「収縮をしないさい」と言う神経による伝達を受けた時に、関節運動や筋活動を起こす筋線維です。
伸張反射を理解するのに必要な神経
伸張反射に関係する求心性線維神経
①求心性線維:筋肉や皮膚から脊髄を通過して脳に向かう神経
②遠心性線維:脳や脊髄から筋肉や皮膚へ向かう神経
筋肉に関与する求心性線維
・Ia群線維
Ia群線維の役割は、主に筋肉が伸張される速度によってに神経自体の働きも比例すると言われています。
そのため、早く筋肉を引き延ばせばこのIa線維がより強く働くことになります。
・Ⅱ群線維
Ⅱ群線維の役割は、主に筋肉が『伸張される筋肉の長さ』によって『神経自体の働きも比例』すると言われています。
そのため、筋肉が過度に伸ばされるとより多くのⅡ群線維が働くことになります。
・Ib群線維
Ib群線維の役割は、主に筋肉と腱の移行部分にあるゴルジ腱器官と結びつき、筋肉の張り具合(張力)について感知した内容をIb群線維を通して脊髄へ伝達を行います。
腱部分は収縮をすることはありえませんので、収縮ではなく張力を察知します。
・Ia神経線維:「筋肉が早く伸ばされたよ!」
・Ⅱ神経線維:「筋肉が凄く伸ばされて限界だよ!」
・Ib神経線維:「筋肉が張っているよ!」
と言う情報が筋肉から脊髄に向かって伝達されます。
伸張反射に関係する遠心性線維神経
①γ運動神経
この神経の役割は、脊髄からでたγ運動神経は錘内筋の両端と連結します。
そして、γ運動神経が機能すると錘内筋の両端を収縮させます。
その結果、錘内筋の中央部分は引き伸ばされます。
それを察知して前述した求心性神経でもあるIa線維が興奮し、脊髄へ「錘内筋中央部分が引き伸ばされたよ!」と伝達します。
そして後述しているα運動神経が機能して錘外筋が収縮して、その中央部分の引き伸ばされた感覚を緩めるように機能します。
②α運動神経
この神経の役割は、脊髄から錘外筋と連結しており主に下記の錘外筋の説明でも行なったように、基本的に脊髄反射(伸張反射を含む)や脳からの運動指令の情報を筋肉に伝え、筋肉の収縮を促し関節運動を行うように伝える神経です。
これらを連結させるとこの下記の図のようになります。
ではここまでは伸張反射の理解に必要な神経の種類とその機能について解説を行いました。
ここからは、これらの神経のまとめとして
「イラストを用いて伸張反射の神経メカニズムの反応順番」
について解説を行い、伸張反射を理解して頂こうとと思います。
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伸張反射の神経メカニズム
reaction1:筋肉の伸張
この図のように、素早く筋肉がまず引き伸ばされた(反動をつけてリズミカルに行う動作も含みます)とします。
reaction2:Ia神経群線維の興奮
この現象に対して、筋肉がちぎれてしまうといけないから、Ia群線維が興奮をして脊髄にこれらの情報を伝達します。
reaction3:脊髄後角へ
Ia群神経線維から素早く筋肉が伸ばされたことを脊髄の後角(コウカク)が受け取り、α運動神経細胞が興奮します。
reaction4:α運動神経による筋収縮
α運動神経細胞が興奮するとα運動神経を利用して、伸張されている筋肉を縮めて前述しているように筋断裂などを防ぐように、筋肉を収縮させる運動を起こします。
これら一連の流れを伸張反射と言います。
まとめ
今回は伸張反射についての原理や神経機能などについての解説を行いました。
ストレッチを行う際に、過度に筋肉を引き伸ばすことでこの伸張反射が発生します。
解説でも行なったように、筋肉を収縮させることから、頻発にこの伸張反射を出現させると、筋疲労などを引き起こすために、ストレッチ本来のリラクゼーションや体の柔軟性を引き出す動作が逆効果となりますので、過度な筋肉の引き伸ばしは行わず、適度に行うようにしましょう!
本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。