脳卒中 寝ている状態での姿勢(ポジション、シーティング、支援)について

脳卒中寝いている時の姿勢について

本日もkarasapo.comへ訪問して頂き

ありがとうございます。

今回は記事内容は・・・

麻痺側上肢を寝いている時にどこにおけば良いの?

三角巾の適応「体の横で管理するの?」

「お腹の上に乗せている方がいいの?」

「スリングや三角巾を用いて寝ている方がいいの?」

 

こんな疑問ありませんか?

そして・・・

「足の位置ってどうするといいの?」

などなど、寝いておられる時の姿勢やポジションの方法で何が良いのか本当にわからなくなりますよね。

そこで今回は回復期病院に約8年務めて

様々な患者様と関わった結果から、

姿勢をどのように考えることが良いかをイラストを引用させて頂きながら、

情報の提供を

左右側臥位

仰臥位

について解説を進めていきます。

また、以前日中の麻痺側上肢管理についてお伝えしましたので、それらも参考にスリングや三角巾は寝いている時に使用した方が良いかについても文献的な情報を織り交ぜて解説をしてきます。

まずは、スリングや三角巾についての解説を行い、後に寝いている状態の姿勢やポジションの観察、評価ポイントについて解説を進めて参ります。

では、よろしくお願いします。

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 スリングや三角巾の固定適応

まずスリングや三角巾の固定適応についてですが・・・・・

こんな風に三角巾で固定していませんか?

三角巾固定
三角巾固定
図引用:http://www.tssp.jp/display_item.php?itemNr=5490&cat3Ref=1253

はい!結論から述べるとあまりおすすめできません。

特に脳卒中による麻痺の場合については。

その理由については、日中の利用方法や適応などを解説しているこちらの記事を参考にして下さい。

肩関節の疼痛要因疼痛の発生しやすい内容などについても解説しています。

「脳卒中の三角巾やスリングによる麻痺側上肢管理」

脳卒中 麻痺側上肢の管理方法について

この記事内で解説仕切れていない内容として、

・スリング、三角巾の張力の調節方法

・亜脱臼の確認方法

・就寝時は三角巾やスリングを使用しても良いの?

この3点についてはここで追加で解説をします。

 

 三角巾やスリングの張力の調節方法

下記の手順で行うようにして下さい。

1:座った状態で到着します。

2:手先が肘と並行であること

3:装着後に亜脱臼が整復されているか確認をしましょう。

 肩関節の亜脱臼の評価方法

下記の手順で行うようにして下さい。

亜脱臼の確認方法

手順1:座ってる状態で肘を90°程度に曲げます。

手順2:肘から肩関節の亜脱臼の整復するように、上方へ押します

手順3:検査している肩の肩峰の下端に指を当てます。

手順4:手順2で上方へ押している手を離します。そして、肩峰から上腕骨の距離を指を横に当てて測定します。そして、記録方法として指1横指や1.5横指と判断します。

※脱臼か亜脱臼かなどの判別が非常に医師に相談しても難しい場合については、医師の指示のもとレントゲンの処方が出ればレントゲンで確認を行います。

では、今回のテーマでもある寝ている時です。

 就寝時にスリングや三角巾を着用は良いの?

寝ている時にスリングを使用したり、三角巾を使用し固定すると試すとわかると思いますが、非常に睡眠の妨げになり寝苦しい状態になります。

そこで、よほどの脱臼や疼痛を引き出す危険性がない場合はクッションを用いることをオススメします。

なお、クッションの使用ですが使用方法を間違えると逆効果を生む可能性があります。

先にもし三角巾などで麻痺側上肢を保護や管理する場合について、文献を参考に介入して頂くことをオススメさせて頂きます。

「脳卒中患者の麻痺側肩関節の疼痛に対する三角巾を使用した夜間ポジショニングの効果」

このリンク先の論文では、夜間の疼痛に対して三角巾とクッションを用いた麻痺側上肢保護を行うことで夜間の麻痺側上肢特に肩関節の疼痛について緩和することができたと報告されています。

※注意

あくまでこの研究では夜間の就寝時の疼痛が減少したという結果です。詳しくは論文の方法論を詳しく読んで理解して下さいね!!

では、ここからは本題でもある

寝いている姿勢のポジショニングについて

イラストを用いて解説をさせて頂きます。

ポジショニングの参考はニュージランドで紹介されている方法であって、非常にいいと思われるため紹介します。

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 寝いている状態の姿勢保護、支援について

右側臥位編

まず、麻痺している側を上にした状態で寝ている場合です。

この図では左が麻痺側となります。

左側臥位

この図からもわかるように、患者様やご利用者様はしっかり寝返って頂き、十分な非麻痺側の側臥位を作り、図のようにクッションを用いてポジショニングを作ります

重要なポイントは十分な寝返りを行うことす。

そのポイントの理由ですが、

十分に寝返っていない状態での側臥位ではどうしても仰向けの方向に体が引っ張られてしまい背中の筋肉の緊張が高まるようになります。

図引用:Positioning for left hemiplegia

また、仰向けになってしまうことを阻止しようと体が反応するとクッションにつかまるような姿勢となり、クッションに置いている麻痺側上肢は筋緊張が強くなる可能性があり関節拘縮共同運動の強化が進んでしまいます。

また、筋肉の緊張が強くなることで二頭筋(力こぶの筋肉)が強く働いた結果、肩などの麻痺側の上肢痛などの助長に繋がってしまう危険性があります。

そのため、十分な寝返りを行いこの場合、側臥位の状態を安定させることが重要になってきます。

ここまでは、麻痺側を上にした側臥位で紹介をさせて頂きました。

次に、麻痺側を下にした場合の左側臥位の方法について紹介をさせて頂きます。

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左側臥位編

麻痺側の左を向いた左側臥位のポジショニング

次に、麻痺側を下にした側臥位のポジショニングをポイントを押さえて解説をさせて頂きます。

右側臥位

まずは、図のようにクッションを配置し麻痺側へ向くようにします。

この姿勢は、麻痺側の体を左右対称に使い非麻痺側の過剰な筋活動を抑えるためにも非常に有効的な方法です。

ポイント①:肩を引き出す

麻痺側寝返って頂く場合は、図で示すように側臥位になって頂いた後に、少し前方へ引き出すことが重要となってきます。

図引用:Positioning for left hemiplegia

ポイント①の理由

引き出す理由は、肩関節部分には神経や血管などがあり特に肩関節の内転、内旋により圧迫してしまうことが分かっており、疼痛や循環障害を引き起こす可能性があります。

※詳細はQLSの記事へ

そして、もう一つの理由は肩関節に体重が加わり肩関節を圧迫し関節内圧を亢進させ肩の痛みを助長させてしまう可能性があります。

これらの理由から肩関節から肩甲骨の外側縁辺りがベッドのマットレスに触れるようにします。

そうすることで、側臥位でも肩関節にかかる圧力を分散させることができます

 

ポイント②手のひらは上にする

手のひらをできる限り上に向けた状態にします。

肩関節

 

 

 

 

 

 

 

※インピンジメント症候群の解説

ポイント②の効果

手のひらを上に向けるようにすることで、

肩関節部分での肩峰と上腕骨の大結節との接触を防ぐことができます。

手のひらを下に向けている状態では

肩峰と上腕骨の大結節が接触するような位置関係となり肩関節に存在する肩峰下滑液包を圧迫し、ひどくなると棘上筋に対しての負担が強くなり肩関節の痛みを助長してしまう可能性があります

右側臥位

ポイント③下肢は少し曲げる

この図で示すように、麻痺側の下肢は少し曲げた状態にします。

ポイント③の効果

過度に股関節や膝関節を曲げている状態では、骨盤の後傾を助長し猫背などの姿勢を助長させてしまう可能性があります。

図引用:Positioning for left hemiplegia

また、過度に足を伸ばした状態は麻痺特有の連合反応でもある伸展パターンと言われるものを助長させてしまう可能性があります。

加えて、側臥位になっている状態のバランスが不安定となり、寝ている状態でも体全体に力が入り前述したような麻痺特有の連合反応を助長させてしまう可能性があります。

ポイント④右足はクッションに乗せる

太ももの(大腿部)から足底付近までをのせることができるクッションを用いて足をのせます。

ポイント④の効果

骨盤足をクッションに乗せる理由は、骨盤の過度な回旋に伴う体の捻れを予防するためです。

もし、クッションに乗せていない状態では足の圧分散がされにくくそして、前述した骨盤の回旋が加わり体の捻れから座位や立位で同様の体の捻れが出現するようになってしまいます。

そして、その結果過度に麻痺側に体重がかかるようになってしまい座位や立位などでバランスが悪くなってしまいます。

ここまでは、左右の側臥位について解説を行わせて頂きました。

ポジショニングはベッドと体の接触部分の圧分散や、各関節の解剖学的な知識が必要となります。

それらを考えてポジショニングを作っていくことが必要になります。

仰向け編

では、「寝いている時の麻痺側上肢で横?腹部の上?どっちの管理がいいの?」と直接関係する仰向けの状態での上下肢の姿勢について解説を行います。

仰向け

左(麻痺側)上肢はこの図ポジションが一番いいと思われます。

下肢は軽度であれば膝関節は曲げるようにクッションを入れても良いかと思われます。

間違っても足底にクッションを入れ足関節を過度な背屈をするようにはしないで下さい。

 

 

 

 

 

※足底にクッション等を設置して自分で試して見るとわかると思いますが、足底からの感覚入力が逆に下肢の筋緊張を高めるような結果となってしまいます。

ポイント①麻痺手のポジション

まず、今回のテーマでもある麻痺手のポジションについてですが、クッションで管理し体の側方でできる限りポジショニングを作った方が良いと思われます。

理由は、まず腹部に置くことで肩関節ではobligate translationという現象が起こり肩関節の後方組織が短縮を起こすことや、上腕骨頭と関節包が癒着するようになってしまいます。そのため、麻痺手は体速報で管理することが腹部よりは有効であると思われます。また、腹部に置くようにすることで肩関節は内転、内旋位となりQLSの狭窄などを筋の短縮など影響から受けます。

患者様やご家族様にわかりやすくイラストを利用して伝える肩峰下インピンジメント症候群,Shoulder,Impingement,Syndrome

※obligate translationの詳細について(英論文)

※QLSの詳細について

肩関節の痛み OLS QLSSについて

 

 

 

 

 

ポイント②下肢のポジション

前述したように膝下にクッションを入れて、軽く曲げる程度であれば問題はないと思われます。

過度に膝を曲げてしまうと骨盤の後傾を助長させてしまいます。

足関節また、足関節の底屈を促してしまい麻痺特有の足関節底屈を助長させるようになってしまいます。

これらから、もし膝下にクッションを入れる場合は軽く膝を曲げる程度にとどめるようにしてください。

③足底にクッションを入れない

このポイント理由は足底はご存知の通り、触覚に足の中でも優れており、靴が痛いや合わないなど足部は感覚が優位になっています。

そこで、足底にクッションを入れることについてです。

これらの状態を想像すると足底にクッションを入れるとこのような不快な刺激が入ると足を引っ込めたくなります。

そして、足を引っ込めるような反射が起こることで両上肢は曲がるように緊張が入るようになってしまいます。

そのため、可能な限り足底にはクッションを入れない状態で仰向けについてポジショニングを作るようにしていく必要があると思います。

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 まとめ

今回はここまで若干の解剖や運動学などを含めて、ポジショニングについての説明を行いました。

今回のテーマである「寝いている時の麻痺側上肢で横?腹部の上?どっちの管理がいいの?」については、基本腹部での管理は行わないようにすることが普通であることがわかりましたよね。

また、側臥位は左右行う方法があることやそれらのポジショニングについても各ポイントがあることについて理解できたと思います。

ここの知識だけでは解決できない可能性もありますが、少しでも参考にして頂き患者様やお客様に合わせたポジショニングというものを考えていく必要があることが伝われば幸いです。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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