Mirror neuronのAIPそれらに関連する脳細胞と機能について

AIP

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今回はMirror neuronに関与しているAIPについての解説します。

1:AIPの部位について
2:AIPの神経経路
3:AIPとCIPの関係
4:AIPとPFの関係
5:AIPとPMvの関係
6:まとめ

AIPの部位について

頭頂葉拡大解説図

上記の図で示すようにAIPは、頭頂葉内に存在します。

AIPの周囲には、図からもわかるように多くの脳細胞が混在し、神経接続をしています。

そして、AIPは頭頂連合野を構成している一部になります。

一次体性感覚野、二次体性感覚野を除く頭頂葉の部分を示します。

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AIPの神経経路

ここは、先に述べたように頭頂連合野の一部です。

主に視覚や体性感覚の情報が関与する場所です。

そして、それらの種々異なる感覚の統合を行う部位です。

 

さらに、この種々異なる感覚を統合する過程の中で、

制御などを行い正常の感覚に調節する働きがあります。

 

そのため、感覚を統合し運動を作り上げるのには重要な位置にあると考えられています。

 

また、これらを村田(2004年)に整理して図解で説明を行なっているため、用いられている図を下記に貼り付けておきますので神経経路についてはこちらを参照して下さい。

図引用:村田 哲:手操作運動のための物体と手の脳内表現

このように、AIPは主にCIP野、PF野、PMv野と神経学的に連結しており、PF野とPMv野とは相互に神経作用を持ち、お互いの情報を送受信するような経路を持っています。

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AIPとCIPの関係

CIPは、3D Object featureと示されるように

物の特色を3次元で捉える場所

になります。

このCIPで捉えた情報をAIPでどう生かすかと言うと・・・

 

AIP野ではCIPで捉えた物の特色の3次元情報を生かして、どの程度指を開き、手のひらのアーチを形成し、どのようにこの物を掴めばいいかを判断します。

この経路については、Wattら(2000)にAIPの神経機能として報告しており、AIPは物体に合わせた手の運動方法の選択を行いさらに、その手について、近年ではいくつかの心理物理学実験では3次元的な奥行きの情報が手の運動に対して制御的に機能し重要な役割を果たすことが明らかになってきています。

引用:Watt S,J.Bradshaw M,F.:Binocular cues area important in controlling the grasp but not the reach in natural prehension movements. neurophychologia:38,1473-1481.2000.


さらに、Murata、Sakataら(2000年)によって報告されています。内容は対象をサルに設定し、目的は課題は手で物体を操作する際に環境と課題を変更するとこのAIP部分はどのような神経活動を示すかと言う内容で設定。そして、課題は3つの課題を用いて確認をしました。(①物体をつかみ引っ張る手操作課題、②暗室内でLEDのスポットだけを頼りにして手操作課題、③その物体を注視するだけの課題)これらの実験を行なった際に明らかとなったことは、どの運動においても、この形状が異なることによって選択的にAIP内でも活動する部位が異なることから、AIP内で形状に合わせた手の把持方法を考えていることが報告されています。そしてこのAIPの選択的に変化する神経群は、3つのタイプに分けられています。①視覚優位型、②視覚運動型、③運動優位型この3つに分けて視覚か運動かそれとも両機能かなどの状況によって分けて活動するようになっています。

引用:A. Murata, V. Gallese, G. Luppino, M. Kaseda and H. Sakata: Selectivity for the shape, size, and orientation of objects for grasping in neurons of monkey parietal area AIP. Journal of Neurophysiology, 83, 2580–2601, 2000.

これらからもわかるように、AIPはCIPによる物の3次元的な情報を得て、物を掴む方法の判断を行うのに非常に重要な働きをしていることがわかります。

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PFとAIPの関係

PFは、下頭頂小葉を構成する部位の一部です。

Hand stateではOtherとSelfで示されるように、他人と自己の手を判断する場所になります。そのため、自分の手、他人の手、右手、左手などと言った認識と、他人と自己の手の区別を特色から判断します。

このPFの機能と前述したCFとAIPの機能によって

AIPへ手を運動させる際に、ここの位置に物があるから右手で掴んだ方が効率がいいなどと言った判断を行い、運動へ関与するような機能があります。
ではこのPFとAIPの神経が損傷されるとどうなるの?

これらより、このPFとAIPの神経障害が起こると自分の手や他人の手さらには右、左などがわかりずらくなる症状が出現します。

このような症状の特徴として代表的なものが

「ゲルストマン症候群」です。

この「ゲルストマン症候群」の症状の一つでもある、手指失認、左右失認は左半球の頭頂葉病変と前頭葉病変できたすことがあることがすでに馬渕ら(1995)、三宅ら(1997)、岡崎ら(2007)他にも多数報告されています。これには、今回解説しているCIPとAIPそして、AIPとPMvが線で結ばれていることから考えてもこれらのどこかが損傷されることで、手指失認は発症することが考えられます。
引 用
・馬渕淑子,村上信行ら:左前頭葉病変により,超皮質性感 覚失語と Gerstmann 症候群を呈した 1 例.医療 1995; 49:1050―1055
・三宅裕子,川村純一郎ら:左前頭葉脳腫瘍摘出術後に Gerstmann 症候群を呈した 1 例.失語症研究 1997; 17:233―240
・岡崎哲也,佐伯 覚ら:左前頭葉後側にて優位半球頭 頂―後頭葉の症状を認めた一例.神経心理学 2007; 23: 299(会議録)

AIPとPMvの関係

最後にAIPとPMvの関係による機能について解説を行います。

前述したように・・・

CIPとAIPの機能によって、物の特色を3次元で捉え、物の掴み方を選択して判断する。

そして、PFとAIPの機能によって左手で掴むべきか、右手で掴むべきかを判断して効率のいい掴みかたを計画します。

そして、この2つの経路より得た感覚をAIPからPMvへ送信します。

このAIPとPMvでPMvの機能はどうなるかですが、

CIPやPFとAIPの神経経路で統合された情報に対して、”Grasping neuron Selection of movement”を行う部位で、手を運動させるにあたりどの神経を使用するべきか選択、判断とそれらを元に一次運動野へ情報を送信する役割があります。

このイラストのようにAIPでは「戦略的思考:こんな風にやれば良いと思う」までの感覚的な統合を主に行います。

そして、AIPで統合した情報をPMvへ投射させることで
「調節実行的思考:やり方は色々あるけどどの方法や力加減が良いかなどを選択して使用する神経比や量を決定する

と言ったように、AIPでこんな風に掬うのが良いのは分かったけど、最終的にさらにPMvでAIPの戦略に対して、PMvで調節と実行を行うようになっています。

このことについて、近年の研究では、F5領域においてRizzolattiらのグループが手の操作運動に関連する神経活動を見つけた領域で、いろいろな手の運動の種類に反応しさらに、形状によって反応する波形が異なることから種々異なる把持方法や活動によって活動する度合いが変化することを報告しています。

また、この研究においてさらにMurataらは把持したのちに到達地点へものを運ぶ際に、手指の形も変化するがその身体の動きに合わせて手指の形状が変化することについても、AIPが機能していることが報告されています。
さらに、Murata(2004年)はこの身体運動に合わせて、手の形を変化させる神経機能について、AIPから腹側運動前野(PMv:F5)へのAIPで統合した情報を投射させる神経的な連結があることを報告しています。このことによって、視覚的情報の送信によって手指の把持する形状を変化させ、物品などの運搬動作を物品そのものの形状や素材さらには、重力や慣性、遠心力に合わせて変化させ運搬動作をよりスムーズに行えるように成り立つようになっていると言われています。
引 用
・Selectivity for the shape, size, and orientation of objects for grasping in neurons of monkey parietal area AIP. Journal of neurophysiology, 83(5), 2580-601.
・村田 哲:手操作運動のための物体と手の脳内表現.VISION Vol.16,No.3,141-147,2004.近畿大学.

また、AIPについてこれで行おうと思うと言う実際に選択した内容をEfference copy(遠心性コピー)によって送信して、自己の運動をチェックしているとされています。

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まとめ

AIPはCIPやPFから視覚的な情報や感覚的な情報を得て、実際視覚で捉えた物などの対象物に対して手で掴む場合や、掬う場合の効率的にそれらを行える方法で戦略を考案します。

そして、AIPとPMvとの神経経路でより効率的に掴むまたは掬う方法をさらに選択して決定して実行にPMvが活動して初めて、視覚などの感覚で得た情報に合わせた手の動作を決定して実際の実行に移します。

また今回解説したようにゲルストマン症候群における病態については、AIPまでで情報を統合した情報を受ける、前頭前野のPMvでさらに詳細に方法の調節と選択を行うため、ここが障害された病態においても類似した症状が出現します。

本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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