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脳機能っていまいち部位は分かっても、機能って読み解くのが難しいですよね。
そこで今回は上頭頂小葉と下頭頂小葉についての連投を行なっています。
今回は下記の記事に続いて
完全無料!これでわかる!下頭頂小葉の縁上回の機能と道具使用の関係
「完全無料!縁上回と注意機能の関係編」
と題しまして縁上回と注意機能の関係についてイラストで神経回路の説明を行いながら、文献などの情報から内容の整理をしていきたいと思います。
では早速解説を始めます。
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縁上回の位置
縁上回の位置については下の図を参照して下さい。
緑点丸で囲っている部位が縁上回の存在部位になります。
そして、縁上回に関わる神経経路は
太い赤線で示しています。
合計3本の神経が
出力経路として機能。
また、フィードバックする神経が
島皮質からの神経となっています。
縁上回の機能
完全無料!これでわかる!下頭頂小葉の縁上回の機能と道具使用の関係の記事でも解説しましたように、縁上回には道具使用における企画的な役割があります。
それともう一方で・・・
「注意機能の役割」
があります。
その注意機能の中でも縁上回は
・空間注意機能
・視覚、聴覚を統合した注意機能
この2項目の役割を果たします。
今回は空間注意機能について解説をさせて頂きます。
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空間注意とは
Mesulam(1985年)は
「外界と個体との空間関係の中で、意識を適切な対象に集中し、また必要に応じて移動していく過程の総体である。」
と報告しています。
要するに、
景色と人とで空間関係が構成される。
その景色の中で必要とする動作を行う場合に
注目したい対象物に対して注意を向けます。
このように
ある目的動作を行う上で、
空間に存在する物体などに対して注意を向ける
機能のことを・・・・
空間注意と言います。
例「机に置いたパソコンで文字の入力を行う時に、キーボードと画面を確認する」
この時の机に置いたパソコン=景色
パソコンで文字入力を行う=必要とする動作
空間に存在するキーボードと画面を確認する=空間注意
この例からもわかるように、空間注意を向けることができなければ、必要とする動作は一部は可能であるかまたは、実施することが困難な状態となります。
そのため、脳出血や脳梗塞など脳神経を損傷するような病気によって空間注意が障害されると様々な生活を送る上で支障をきたします。
この空間注意においては、左側の空間注意障害、
「左半側空間無視」
と言われる現象が非常に多く発症します。
また、右半側空間無視と言われる病態はほとんど出現することはありません。
では、なぜ左側の空間注意だけが損傷されるのかについて、解説を行います。
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なんで?左半側空間無視が多いの?
石合(2016)は、「言語と空間性注意の神経心理学」において
「右大脳半球は空間注意において優位であり、左右の空間に注意を向けることができる」
「左大脳半球は右空間にしか注意を向けられない」
と左右の大脳半球における空間注意について説明をしている。
このことにより
右大脳半球=左右の空間に注意
左大脳半球=右の空間のみに注意
ようするに・・・
右大脳半球でしか、ほとんど左側の空間注意を行なっていない
このことにより、仮に左大脳半球が損傷されても右半球は左右の空間に注意を向けることができることから、左大脳半球の損傷による右麻痺患者様では、空間の注意機能障害というものが起こりにくいです。
そのため、右大脳半球の損傷により左麻痺患者様の場合、運動麻痺と合わせて左空間の注意障害を発症する場合が多くなります。
石合 純夫『言語と空間性注意の神経心理学』特集:脳機能解剖の多次元解析2016
左半側空間無視の神経解剖
縁上回と注意機能については、空間無視を中心として多く報告されています。
では、どう言ったメカニズムでこの縁上回の注意機能が関与して空間注意機能の構築させているか説明します。
空間注意の神経ネットワークとしては、Mesulamの報告により神経ネットワークが多く支持されています。
この報告に基づいて、図で示すように石合はNeural network of spatial attention and lesion sites of unilateral spatial neglectとして、図で示すように整理しています。
そして、このSMG部分が縁上回を示しています。
図からも理解できるように、
縁上回は後頭葉から受け取った情報(視覚情報と聴覚情報など)を統合して、前頭葉に送信し感情や判断などを生み出し、実施の行動へ繋げるような神経的な役割をになっています。
しかし、このSMGが損傷されると
それらの情報の統合をうまく行うことができず、
左側の空間に対して優位な右大脳半球の損傷の場合
左側空間注意に著名な支障をきたしてしまいます。
ここからは、豆知識ですが・・・
縁上回以外でも左半側空間無視を発症します。
もちろんネットワークに含まれているから、
当然であると思われる方も少なくないと思います。
単純にそのように考える場合は、
前頭葉のpIFG部分が損傷された場合どう考えますか?
基本的に視覚情報の統合まではうまくいっているので、問題ないのでは?
ではそんな疑問についてここからは、
空間注意における半球間抑制について研究報告を用いて解説を行います。
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左半側空間無視と半球間抑制
セントルイス・ワシントン大学のCorbettaとShulmanら(2011)による損傷による左右均等のバランス制御が破綻(半球間抑制)の研究内容が有名です。
左図が健常な状態です。
右図が半側空間無視を呈した症例
の脳機能を示す図です。
この右図はTPJ(側頭頭頂接合部:Temporo-parietal junction)と言われる部分が病巣になっている症例の、脳機能を示しています。
健常の場合は
ほぼ左右均等にそれぞれの脳細胞と神経が活動を行い、
背側経路による活動電位の抑制機能を使用して
左右均一にバランス良く機能するように調節を行います。
左半側空間無視を呈した症例の場合、
左右均等になることはなく
左半球(非損傷側)からの抑制機能が強まり
右半球機能の抑制が強くなってしまいます。
その結果、
右大脳半球の脳活動が低下し
縁上回以外の部位でも
軽度から重度の左半側空間無視を
発症してしまいます。
まとめ
今回は脳卒中の中でも、縁上回と空間注意について左半側空間無視について神経解剖的な視点を含めて解説を行いました。
また、治療方法について解説なども今後行いますね。
練習の構成内容としてどの介入方法に対しても使えるのでこちらの構成方法について一緒にリンクを貼り付けおきますので、もしよければ一度確認をして見て下さい。
本日も最後まで、読んで頂きありがとうございました。