ぜったい行っておきたい、おすすめ脳卒中後の亜脱臼予防4選

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 肩関節亜脱臼の体験

私は回復期で脳卒中患者様に多くお会いし、

「脳卒中後の肩関節の亜脱臼予防」

について悩むことがありました。

 

突然ですが・・・

脳卒中(脳出血や脳梗塞など)による

運動麻痺による肩関節の亜脱臼を

どう対処していくべきか

困ったことはありませんか?

 

正直、運動麻痺が生じてしまい、

その影響によって生じてしまうため

運動麻痺を大きく改善させない限りは

難しいと思っていませんか?

 

私のようにこんな風に間違った解釈をしていませんか?

 

例えば

肩関節の筋力をあげて治そう

アームスリングや三角巾を使って固定しよう

とか。

 

でもこれは、脳出血や脳梗塞などを患い

重度運動麻痺の患者様にとっては

果てしないことであり・・・

非現実的で最終的に亜脱臼を修正することが

難しいですよね?

 

ここで質問です。

脳出血や脳梗塞後の肩関節亜脱臼って

「筋力だけが関与していない」

ってことをご存知でしょうか?

 

それが今回解説をさせて頂くおすすめの

「脳卒中後の肩関節の亜脱臼予防」

にとても重要な話になります。

 

そうなんです。

亜脱臼の要因を知ることで

予防方法の検討もできるようになります。

 

そのため、まず脳卒中後に肩関節の亜脱臼の要因について知って行きましょう。

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 脳卒中後の肩関節亜脱臼の要因

まずは、ここを理解しましょう。

そうすることで、今回の解説内容がしっかり理解できると思います。

 

脳卒中後の肩関節亜脱臼の要因としては大きく分けて3つあると言われています。

1:棘上筋の緊張力の低下(麻痺などを含む)

2:肩関節(特に肩甲上腕関節)を包む関節包や、肩甲骨と上腕骨を強靭に繋ぎ止めている靭帯の弛緩と伸張

3:大胸筋や広背筋の短縮

 

この3点の内容が大きく考えられています。

引用:脳卒中片麻痺患者の肩関節亜脱臼の検討 猪飼 哲夫

 

でも、この3つの項目の中で、

・亜脱臼を発症してからの時期を検討すること

 

それに伴う導入手順などを考える場合

ここのポイントに重きをおいて考えることで

解決していく方法を見つけ出すことが

できると思います。

 

ここからは、

要因の3項目亜脱臼の経過(時期)を関連づけて

肩関節の亜脱臼を予防できるような

介入方法の解説をさせて頂きます。

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 その1:初期では整復を必ずする

この時のポイントは、

前述した要因2についての内容がポイントとなります。

要因2は・・・

肩関節(特に肩甲上腕関節)を包む関節包

肩甲骨と上腕骨を強靭に繋ぎ止めている靭帯

弛緩と伸張でしたね。

 

患ってしまってからの初期段階として、

随意的に動かすことのできる筋肉は、

運動麻痺の影響により弛緩します。

 

しかし、関節包や靭帯の機能は低下しておらず、

ある一定の張力と緊張具合は保たれている点です。

 

そのため、それらの弛緩と伸張をさせないために、

肩関節に垂直に重力がかかる姿勢(座位や立位)では、

スリングや三角巾を用いて

腕が下方に引っ張られないように固定しましょう。

 

※固定の注意点

あくまでスリングや三角巾といったものでの固定では、常時行うことで他の関節を固めてしまう可能性があるので、あくまで肩関節に垂直に重力のかかる座位や立位での活動場面に限って使用するようにしましょう。

 

さらに、ベッド上で寝ている時は、ハンドタオルを三つ折りにして肩関節から肘関節が後ろに引けないようにしましょう。

 

もし、寝返りなどによってどうしても後方へ引けてしまう場合は、症例の呼吸状態や不快感などを確認してバンドなどによって、腕を体幹に固定するようにするのもいいかと思います。

 

 その2:随意性で固定除去を決める

亜脱臼がいつまでもあるからと言って、

その1で説明させて頂いた

固定は継続的に行いません。

 

固定をやめるタイミングについては

随意性亜脱臼の状態から

決定することが一般的に望ましいです。

 

古田ら(1991年)によると、

・Brunnstrom stageⅠは肘屈曲型を

ゆる巻きの状態で使用する。

・Brunnstrom stageⅡ〜Ⅲは

腋下支持型を使用し固定。

引用:脳卒中片麻痺患者の肩関節亜脱臼に対する装具について

腋下支持型装具の画像

装具着用による亜脱臼整復

引用:脳卒中片麻痺患者の肩関節亜脱臼に対する装具について

これらの方法で

共同運動や連合反応に伴う肩関節の安定を図ります。

 

・Brunnstrom stageⅢ〜Ⅳで

アームスリングでの固定を除去すべきか

固定を継続するかの選択をします。

 

数時間で亜脱臼が発生する場合

再度装着するようにします。

 

また、福井(1977年)、田中ら(1989年)も

随意性と亜脱臼の固定についての検討を行っています。

・福井はStageⅢ

・田中らはStageⅡ〜Ⅲ

の段階で固定を中止できる場合が多いと

考えていると報告されています。

 

これらからもBrunnstrom stageⅢ以降からは

三角巾やスリングによる固定は、

継続するべきか患者様と相談して

決定していく必要があります。

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 その3:いろんな固定方法を知るべき

作成

脳卒中後の肩関節亜脱臼は、前述したように

三角巾やスリングによる固定以外にも

亜脱臼を予防する方法があります。

 

スリングや三角巾の固定方法では、

どうしても頸部に負担がかかる場合や

感覚としては窮屈な感覚を入力させます。

また、スリングや三角巾の固定を辞めなければ

痙縮や病的共同運動を助長する可能性がある

Voss DE(1969年)が報告しています。

 

他にもスリングや三角巾固定

関節拘縮を進行させてしまうなどの

報告が多数されています。

 

そのため、三角巾やスリングを使用するような

重度の麻痺がある場合は他の固定方法を用いて

このような関節の問題や痙縮、共同運動の問題

などから回避する必要があります。

 

 

そこで今回は車椅子で腕をのせるのに

便利な商品があります。

 

RAKUDES®︎社製のハバック 腕置きクッション(HB-U)と言う商品があります。

こちらではこの図のように車椅子に座りながら腕をクッションにのせるような方法でスリングや三角巾以外の亜脱臼整復方法があります。

RAKUDES®︎腕置き

引用:RAKUDES®︎ 腕置き 車椅子用

株式会社フロンティア社製のアームサポートです。

このサポートは適度なくぼみから腕を安定させるような工夫がされています。また、肩関節や肘関節の関節可動域に合わせてエレベーティングやスイング、奥行調節、幅調節が可能な状態で提供されています。

株式会社フロンティア

 

引用:株式会社フロンティアHP

この他にも様々な亜脱臼サポートが現在は作り出されています。

そのため、脳卒中後の肩関節亜脱臼には

三角巾やアームスリングなどの整復以外にも

他の整復方法が可能となっています。

 

そのため、痙性や関節可動域また、

病的共同運動などが出現するような

時期の段階前までには検討を行い

支援をしていく必要があります。

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 その4寝ている時は、バンドによる固定

脳卒中の重度麻痺の方でよくあるのが、

寝ている時に寝返りをすると、

体は寝返っているのに対して

肩甲骨は後退し、上腕骨は後方に引けてしまい、

その状態で仰向けになると麻痺側上肢を

体の下敷きにしてしまう状態になることです。

 

もし、麻痺側上肢の管理方法が適切であり、

寝返り動作時などに腕を気にかけて

管理できる場合であればバンドの固定は不要です。

 

このような現象が起きると、

亜脱臼の要因③で解説させて頂いたように、

引き伸ばされた大胸筋や広背筋は無意識に

腕を戻そうと筋収縮を起こし、

筋短縮を助長させてしまいます。

 

これらから、麻痺が重度で、麻痺側上肢を

うまく管理できない場合は、

図で紹介しているようなバンドで上腕部分

固定できるようなものを使用して、

寝ている際も使用するといいと思われます。

スリングとバンド固定

引用:Yosoo

 

 まとめ

肩関節の亜脱臼には運動麻痺の生じる筋肉の問題もあれば、靭帯や関節包などの問題もある。

亜脱臼についての整復方法はスリングや三角巾などを用いて行うが、随意性の改善を認める場合はそれらの固定についてするべきか、やめるかの検討を行う必要がある。

慢性的な使用は、病的な連合反応や共同運動に繋がる。またそれらによる、関節可動域制限を生み出し二次障害を作り出してしまう危険性がある。

スリングや三角巾での固定方法以外にも、亜脱臼を整復する方法がある。

本日も最後まで読んで頂きありがとうございます。

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