本日もkaradasapo-to.comに訪れて頂き
ありがとうございます。
運営管理を行っている作業療法士のUNLです。
本日はスタスティックストレッチにおける鉄則
「伸ばした筋肉を他動的に短縮させるな」
この意味について説明を行いたいと思います。
まずスタスティックストレッチについて
専門的な用語でわからない人もいると思うので
簡単に解説を行います。
スタスティックストレッチとは
このストレッチ方法は
「一定時間筋肉を伸ばすようなストレッチ」
のことを示します。
身近でよくあるのが・・・
・長座で前屈して太もも後面の筋肉を伸ばす
・アキレス腱を伸ばす
このような動作で行い
「一定時間筋肉を伸ばす」
ようなストレッチを今回解説している
「スタスティックストレッチ」
と言います。
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スタスティックストレッチの神経解剖
では、このストレッチの
「神経的なメカニズム」
について解説します。
筋肉が伸ばされると、筋肉と腱の間に存在する
図で説明する筋腱移行部という場所にある
「ゴルジ腱器官」
が「伸ばされてますよ」という感覚を
受け取る場所(受容器)となっていて
筋肉が伸ばされていることを感じ取ります。
そして、「ゴルジ腱器官」は
この「伸ばされている」刺激を脊髄へ送り
・伸ばされるべきなの?
・伸ばされないべきなの?
を判断してもらいます。
この内容を脊髄に伝えるのが
「求心性Ib神経線維」
と言われる感覚を脊髄へ伝える神経線維です。
この神経によって脊髄後角へ
伸ばされいる感覚が伝達されると・・・
脊髄内に存在する
「介在ニューロン」
と言われる神経に判断を委ねます。
介在ニューロンが働くと
脊髄の前角細胞の働きを弱める働きを持つため
「この伸張はストレッチだから伸ばされていいよ」
と判断すると介在ニューロンが機能して
脊髄前角細胞の運動由来の興奮性の働きを抑制します。
その結果・・・
筋緊張が低下するというメカニズムになっています。
これらよりスタスティックストレッチは
「筋緊張を低下させる」
という性質をもつストレッチとなっています。
ここまでの解説で・・・・
脳卒中(脳出血や脳梗塞など)などの
異常筋緊張を伴う疾患では・・・
「筋緊張亢進=ドンドンやればいいじゃん」
と感じる人もおられるかと思います。
それは大きな落とし穴なんです・・・
その落とし穴ついては次項の
「スタスティックストレッチの副作用」
で解説をさせて頂きます。
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スタスティックストレッチの副作用
このストレッチは先に述べた通り・・・
介在ニューロンを利用して
「脊髄前角細胞の興奮を抑制」
するように機能します。
ってことはやるすぎると・・・
運動を行う上で必要な
脊髄前角細胞の働きを抑制することで
ストレッチ後に行う活動によっては
脊髄前角細胞が興奮しずらく
脊髄前角細胞の機能が抑制されて
思うように筋肉を収縮させることができなくなる。
このことによって
本来の筋緊張を発揮させることができず
パフォーマンスが低下する報告が多数されています。
パフォーマンス低下の論文紹介
この論文紹介の他にも様々な研究報告がされている。
また、これらの中には実施時間との関連を述べる論文が数多く存在します。
そのため、スタスティックストレッチは
・適切な時間と頻度
・実施後に軽く自動収縮させるような準備運動を行う
この2つが鉄則です。
ここまでの解説まとめ
・スタスティックストレッチは一定時間持続的に筋肉を伸張させるストレッチ
・介在ニューロンによる脊髄前角細胞の活動抑制を行い筋緊張を緩和させる
・過剰なスタスティックストレッチは筋緊張を低下させすぎて、本来のパフォーマンスを発揮できなくなる
そして、今回のテーマでもある他動的にスタスティックストレッチを行なった筋肉を短縮してはいけないことについて、ここから解説を行います。
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伸張方向と逆方向へ動かさない
Hagbarthら(1985年)は、
手指のMP関節屈筋群に
スタスティックストレッチを行い
効果を研究しました。
MP関節の可動域はストレッチ後に拡大し、
伸張反射の抑制が認められました。
しかし・・・
ストレッチ後にMP関節を他動的に屈曲させた場合は、
・伸張反射の亢進を認め筋緊張は亢進
・MP関節伸展可動域が減少
したと報告されています。
引用文献
また、このことについて
鈴木(2013年)も論文で紹介しており
スタスティックストレッチ後に、
他動的にストレッチと反対方向へ運動
させるのは・・・
スタスティックストレッチの効果を減少させる
可能性があると考えられます。
引用文献
これらより、筋緊張の減少を目的として
スタスティックストレッチを行なった場合は、
ストレッチと逆方向の他動運動は
控えるべきであると思われます。
リハ室などで筋緊張が亢進している患者様に
「課題前に筋緊張を緩和する目的」で
スタスティックストレッチを行うことも多い。
しかし、伸ばしたら反対に短縮させるような動きの
他動運動を行う場面を多々見かける。
しかし、それはスタスティックストレッチの効果を
発揮できない可能性があります。
そのため、スタスティックストレッチを実施後は
他動的に戻すような動作を行わないことが
本来のスタスティックストレッチによる
「筋緊張の減少を獲得することができる。」
そして、スタスティックストレッチで狙う
効果が期待できるのではないかと考えられます。
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まとめ
スタスティックストレッチは筋緊張を減弱させる。
過度なスタスティックストレッチはパフォーマンスを低下させる。
ストレッチを行なった筋を他動的に短縮させると、筋緊張が亢進して本来のスタスティックストレッチの効果を発揮できない可能性がある。
本日も最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。