本日もkaradasapo-to.comに訪れて頂き
ありがとうございます。
今回は・・・
座位保持、階段昇降、歩行動作などに必要な
股関節の屈曲運動と骨盤について
股関節屈曲時の疼痛について解説を行います。
股関節屈曲運動時に痛みや違和感を感じませんか?
そんな症状に対して・・・
股関節屈曲運動と骨盤後傾運動
を考えることが必要なんですよ。
では、さっそく解説を進めていきます。
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股関節屈曲と骨盤の動き
股関節屈曲は・・・
1:股関節での大腿骨の屈曲
2:腰椎と仙腸関節による骨盤後傾
この2つの運動が協調的に運動し構成しています。
その結果・・・
股関節が屈曲125°までの最大屈曲する
と近年は捉えられています。
この股関節と骨盤の運動連鎖は、多数の報告がされています。
股関節屈曲と骨盤の関係3つの報告
1:Bohannonらの報告
股関節屈曲角度に伴う骨盤後傾の運動を体表面にランドマークを使用し調査。
角度分析はビデオ撮影を行いモニター画面上で角度測定。
結果:股関節屈曲125°の最大屈曲に対して、
1/3〜1/4骨盤回旋運動が関与
していると報告されています。
これは中村隆一らが手掛ける「基礎運動学」にも掲載されいている内容でもある。しかし、この結果が他の研究と異なる結果となっている。
2:小川らの報告
Bohannonらの報告は「映像による誤差があるのではないか」と考えて行われている。
方 法
映像からの角度分析ではなくジャイロセンサーを使用した機器を作製して運動分析を行い測定を行うようにした。
結 果
大腿骨屈曲6°に対して骨盤が1°後傾するとういう結果となりました。
この2つの研究は・・・
骨盤形状の特徴でもある性別までに配慮していない。
・Bohannonらの報告では女性が多い。
・小川らの報告では男性が多い。
しかし、これらの研究から同様に言えること
股関節屈曲=骨盤後傾
が必要であることである。
3:古後による研究では
「股関節屈曲運動における 寛骨大腿リズムおよび寛骨後傾左右差」
について報告をしている。
部位を寛骨に絞り「股関節屈曲運動に伴う寛骨の動き」について着目しています。
方 法
立位でASISとPSISを直線で結びその線が股関節屈曲に伴ないどれだけ変化するかゴニオメーターで測定するようにされています。
結 果
股関節屈曲0°、45°、90°、最大屈曲と屈曲角度が増すことで寛骨の後傾角度が増すことが確認されました。また、股関節屈曲を行なっている側と対側の寛骨も屈曲側の寛骨と比較して約1/2後傾することが確認されました。
その他には、竹井らによるMRIでの股関節と骨盤の動きについての検討など様々な検討が近年ではされています。
ここまでの解説により
股関節屈曲は骨盤後傾が必要
であると理解できたと思います。
そのため、股関節の屈曲運動で疼痛を感じる場合は、
骨盤の動きも介入を進める必要があります。
ここからは股関節屈曲に必要な骨盤の後傾運動の、
・骨盤前後傾のチェック方法
・骨盤が前傾してしまう要因
・骨盤後傾の引き出し方法
この3点について解説をさせて頂きます。
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骨盤前後傾のチェック方法
よく「パッ」と判断する方もおられますが、それは基礎の評価知識があってになります。
では、今回はその基礎の知識についても含めて実際みるべきところについて解説をしていきます。
まずは、骨盤が基本的には
どのような位置関係にある?
これを知っておく必要があります。
1:腸骨稜
2:大転子
3:大腿骨外顆
通常であればこの3点ポイントを、直線で結ぶ位置関係になります。
しかし、この図のように・・・
腸骨稜の位置が青丸で示しているように
前へ偏移している場合は骨盤が前傾している
と判断をすることができます。
また、他の方法は図で示すようになっています。
・上前腸骨棘(ASIS)と上後腸骨曲(PSIS)の角度は、図で示すように約15°程度とされています。
・ASISへの矢状面軸とPSISへの矢状面軸のこれら2つの線の距離は2〜3横指とされています。
なお、骨盤が前傾、後傾することで腰椎の弯曲についても変化が出ます。
もし、自分で骨盤のチェックを行う場合は、このイラストのように行います。
判定方法:腰に拳が通過するか確認
・軽く腰背部が拳に接触する程度が標準です。
・腰背部部分で拳が余裕で通過する場合は骨盤の前傾に伴う、腰椎の前弯が強くなっている恐れがあります。
・拳が全く通過しない場合は、骨盤が後傾していると判断をすることがでます。
これらを参考に骨盤の前傾、後傾について
しっかり確認を行い骨盤の状態を
把握をするようにしましょう。
今回のテーマでもある
「骨盤の前傾による股関節屈曲時の疼痛」
は骨盤後傾動作が出現していない場合が多いです。
では、どこを見ていく必要があるか解説をします。
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骨盤が前傾する要因
今回は急性疼痛(術後など)の疼痛については除外して考えていきます。
あくまで、他動的に股関節を屈曲させた場合に股関節付近に疼痛を感じる理由について、骨盤との関係に着目して解説を行っています。
竹井らの報告によると
骨盤の前傾には2種類の型が存在ます。
1:後弯前弯型(kyphosis-lordosis posture)
2:前弯型(lordosis posture)
それらの
・「特徴的な姿勢」
・「短縮または過活動筋」
・「伸長または筋力低下筋」
をそれぞれ報告しています。
後弯前弯型(kyphosis-lordosis posture)
・後弯前弯型のアライメント |
頭部前方位、頚椎過伸展、肩甲骨外転、胸椎後弯と腰椎前弯の増強、骨盤前傾、股関節屈曲、膝関節軽度伸展、足関節わずかに底屈 |
・筋短縮、過活動の筋肉 |
頸部伸展筋群、腰部脊柱起立筋群、腸腰筋、大腿筋膜張筋、大腿直筋、前鋸筋、大胸筋、小胸筋僧帽筋上部線維、肩甲挙筋 |
・筋伸張、筋力低下の筋肉 |
頸部屈筋群、上部脊柱起立筋群、外腹斜筋、ハムストリングス(弱化は軽度)、僧帽筋中下部線維、菱形筋、翼状肩甲を認める場合は前鋸筋 |
前弯型(lordosis posture)
・前弯型のアライメント |
骨盤前傾、腰椎前弯増強、膝関節軽度伸展、足関節軽度底屈 |
・筋短縮、過活動の筋肉 |
腰部脊柱起立筋群、股関節屈筋群 |
・筋伸張、筋力低下の筋肉 |
前腹部筋群、ハムストリングスは延長あるいは姿勢の代償に伴う短縮 |
これらの2種類の姿勢に着目して姿勢評価を行い、
これらに当てはまる場合、股関節屈曲時の疼痛は
骨盤前傾という異常姿勢の可能性が高いです。
では骨盤が前傾していることによる、
股関節屈曲運動時の疼痛として考え、
骨盤の後傾を引き出す方法を・・・
前述した竹井らの報告を元に
ここからは解説を行います。
今回は1つの例を用意して、解説を行います。
腸腰筋が短縮し骨盤前傾した場合の対処方法についてここからは解説を行います。
腸腰筋由来の骨盤前傾例
※前述した竹井らの後弯前弯型、前弯型ともに、腸腰筋の関与があり今回は腸腰筋についての解説を行います。
腸腰筋が短縮する要因
腸腰筋の短縮は、座った状態が数時間など連続するような仕事や動作を数十日や数年行うことで筋力の低下とともに腸腰筋自体が短縮するような状態に至ります。
そして、その腸腰筋の短縮は図で示すように、腰痛に合わせて胸背部の疼痛が特徴です。
ここまでの解説でわかるように、
腸腰筋短縮が骨盤前傾を起こした結果
股関節屈曲時に股関節付近に疼痛を感じる
このような場合について、根源は腸腰筋に対しての介入を検討する必要があります。
腸腰筋のストレッチ
「腸腰筋、ストレッチ」
でネットで検索すると・・・
こんなストレッチの図が多数見当たることがあります。
しかし・・・
腸腰筋にストレッチをかけているのに
腰椎の前弯が増強するような方法で行うことは
あまりオススメできません。
この図で説明するように
基本的には横向きに寝た状態で
股関節を後ろに引くように
ストレッチを行うことを
僕はオススメします。
そして、長座などの状態で
体幹前屈を行い骨盤の後傾を引き出すようにしてください。
※注意として
まず腸腰筋の短縮を取り除く。その後に骨盤の後傾を促す前屈のストレッチを行うようにして下さい。
この手順で行わないと、骨盤の後傾を引き出しにくく代償動作として股関節のみの屈曲動作がメインとなってしまいます。
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まとめ
股関節屈曲動作には骨盤の後傾動作が関与します。
骨盤が前傾していると股関節屈曲時に疼痛を招く可能性があります。
骨盤の前傾には、後弯前弯型と前弯型の2種類が存在ます。
これらの両種には、腸腰筋が関与しています。
腸腰筋のストレッチは、腰椎の状態を考慮して行う必要があります。
ストレッチには、手順があります。
本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。