肩関節の屈曲と外転運動を筋電図的分析によるまとめ記事

肩関節の屈曲と外転運動を筋電図的分析によるまとめ記事

今回は肩関節の屈曲運動と、外転運動についての筋電図による分析をされた結果についての記事を作成しました。

つい肩関節の屈曲や外転運動を行う際の、僧帽筋の抑制についてなど、、、その理学療法や作業療法は本当に肩関節の屈曲運動や外転運動の改善に対して適切であるのかなど。

筋電図による分析を確認することで角度によってアプローチするべき筋肉がわかると思い今回はそれらの肩の運動について記事作成をしました。

今回は肩関節の屈曲と外転運動をまとめた記事を作成し、屈曲と外転運動の筋電図的な比較や理解をしやすくするために、屈曲運動と外転運動をまとめた記事を作成しました。

 

まずは、今回すでに投稿させて頂いている肩関節の屈曲初期(0〜45°)外転運動における重要な筋について、すでに参考として使用させて頂いている文献を用いて解説を行っていきます。

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肩関節屈曲運動における筋電図学的検討

<Electromyographic Study on Shoulder Movements>

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm1964/11/1/11_1_41/_pdf

この研究では棘上筋と棘下筋、三角筋前部線維が今回定義している0〜45°の屈曲運動での関与が強いことが考えられています。

 

<腱板機能の筋電図学的検討  三原ら>

http://www.sf21.jp/18_1_41.pdf

この研究においても棘上筋、棘下筋、三角筋、僧帽筋の筋活動について筋電図による評価を行っています。

棘下筋は特徴的な結果を示しています。

屈曲45°を最大収縮としており、再度屈曲60°で筋活動を認めますが、屈曲90°までは一定の筋活動を維持している傾向となっています。

 

<肩関節屈曲保持における三角筋筋活動 -屈曲角度と各筋線維との関係- 布谷ら>

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/7/0/7_0_81/_pdf/-char/en

この研究では、前述したように三角筋のみの筋電図での検索を行うことなく、より三角筋を前部、中部、後部と3線維に振り分けて筋活動の分析を行っています。

そこで、今回の定義している屈曲0〜45°においては三角筋の前部線維の筋活動の関与が強いことが確認されています。

 

<肩関節挙上運動の筋電図学的検索 朝長ら>

https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu1977/10/1/10_12/_pdf

この研究では前述した2本の研究に加えて、菱形筋の筋活動と僧帽筋を加えて3層(上部、中部、下部)に分けて分析を行っています。

そこで、肩鎖関節を支点として肩甲骨の運動を行うため、菱形筋が屈曲運動での筋活動を認める結果となっています。

また、僧帽筋は、屈曲運動の介入時についシュラグサインと代償動作の抑制のために、肩甲帯の抑制を行いがちであるが、僧帽筋の上部線維が健常者でも寄与していることが確認されています。

 

♦Check 屈曲運動まとめ

これらの文献から肩関節の屈曲0〜45°の屈曲運動においては、三角筋前部、棘上筋、棘下筋、僧帽筋上部が主動作筋として筋活動を行うようになっています。

さらに、肩甲骨の周囲では僧帽筋上部線維と菱形筋の筋活動を認める結果となっています。

ここでリハビリテーション中に重要なのが僧帽筋上部線維の筋活動に関して介入を進める必要があることを理解してほしいと思います。

特に、脳血管疾患での肩関節屈曲運動においては肩甲骨の挙上動作において共同運動からの分離を優先させて抑制させるように介入をしがちであると思います。

しかし、肩関節の屈曲運動においては僧帽筋上部線維が働く必要があるのです。

ここで重要なのが僧帽筋上部線維の過剰収縮をさせることなく運動を引き出すことが必要になるため、全てを抑制するように徒手的に僧帽筋上部の抑制を行うと、肩関節屈曲運動の阻害因子となってしまうことも考えられます。

そのため、上記の内容については理解した上での肩関節の屈曲運動についての介入が必要であると思われます。

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では外転運動について以前投稿させて頂いた記事を参考に上記のようにまとめた文面を文献を用いて解説をして行きます。

肩関節の屈曲運動の0〜45°においては、僧帽筋の上部線維が重要であることは述べました。

では外転運動では一体どうでしょうか?

 

 

肩関節の外転運動における筋電図学的検討

 

<肩甲上腕リズムの臨床応用を考える 福島ら>

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/13/0/13_23/_pdf/-char/en

この研究では座位における肩関節の外転運動を筋電図で比較しています。

その対象の筋肉としては僧帽筋上部、中部、下部で分析されており、肩関節屈曲運動の文面で述べたように僧帽筋の上部ではなく中部線維の筋肉が外転運動においては、初期で認めるような結果となっています。

 

<拘縮肩へのアプローチに対する理論的背景 福島ら>

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/14/0/14_17/_pdf/-char/en

肩甲上腕リズムの臨床応用で考えるについてでは、僧帽筋の筋活動について屈曲とは異なり中部線維が働くことについて記載をしました。

次にこの研究では僧帽筋と同様に働く三角筋についてですが、屈曲運動では前部線維が機能していることについて報告をしました。

しかし、肩関節外転運動では三角筋前部線維より三角筋中部線維がより強く寄与するような結果となっています。

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<肩関節挙上運動の筋電図学的検索>

https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu1977/10/1/10_12/_pdf

この研究では、18から21才までの健常人10名を対象としています。

内容は肩関節の外転運動時に重錘を持ちながら行う動作と、重錘を持っていない状態で行う動作の筋活動について僧帽筋下部線維、棘上筋、三角筋前部、中部、後部、大胸筋鎖骨枝、広背筋、大円筋、菱形筋の9個の筋を対象として分析を行なっています。

この研究では広背筋と三角筋後部以外は0〜60°にかけて全て筋活動を認める結果となっています。

さらに、0〜30°外転までに筋活動を認めるものとして棘上筋と僧帽筋下部、大胸筋が筋活動を行い、30〜60°で三角筋前部、中部線維そして大円筋、大菱形筋が筋活動を行うようになります。

これらは、0〜30°では主動作筋として棘上筋が筋活動を行い、そして僧帽筋下部と大胸筋の両者で肩甲骨の安定をテコのように行い担っていることが考えられます。

そのため、外転運動と言われ三角筋の中部線維と思いつきやすいがこれらの3つの筋肉が初期微動時に肩甲上腕関節での関節運動に合わせて、肩甲骨を安定させるような機能を担わない限りはシュラグサインなどの、肩甲帯が不均衡であるような代償動作を認めるような結果となことも考えられます。

 

♦Check 外転運動まとめ

ここまで文献を元に外転運動についての筋活動を紹介させて頂きました。

肩関節の外転運動は、三角筋の中部線維合わせて棘上筋が主動作筋として作用し、外転運動に対して支持的機能として、僧帽筋中部や大胸筋が肩甲骨を前後で固定し安定させていることがわかります。

これらに伴い、肩関節の安定を図り肩関節の外転運動を可能にしていることがこれらから考えることができます。

 

まとめ

最後まで読んで頂きありがとうございました。

肩関節の屈曲運動で初期(0〜45°)においては、棘上筋棘下筋三角筋前部僧帽筋上部線維の関与がある。

肩関節の外転運動では、三角筋中部線維のみが主動作筋ではなく棘上筋も合わせて肩関節の外転運動を可能にしています。

外転運動時の肩甲帯周囲の筋活動では肩関節運動を前後から安定させるように大胸筋僧帽筋中部線維が肩甲帯を安定させ、肩関節の外転運動を可能にしています。

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