小脳性失調に対する運動療法:重錘で筋トレ?治らない

 小脳性失調とは 

基本的な症状については、動作時の円滑性の低下を招き、揺れにより目標に到達することが困難な場合や、下肢に失調症状がらわれる場合は歩行中に「かかと」を接地する際に床から受ける衝撃をうまく緩衝することができず、よろめくような歩行となります。

詳しくは運動失調の特徴(小脳の機能説明と小脳性失調の症状について)」を参考にして下さい。

 これらが、小脳性失調の特徴でもある。加えて、リーチ動作時は目標物に到達するまでの間、体幹も不安定な場合が多く目標物までリーチで到達するまでは注意が必要です。

 この症状については抗重力位になればなるほど、前庭系および体性感覚系からの情報処理が不十分となるため、リーチ動作開始時や歩行の一歩目などは非常に危険な場面が多いので注意が必要です。

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 小脳性運動失調の運動療法 

小脳性運動失調の場合は以前の記事にも記載しましたが、深部感覚(運動、位置覚)は基本的に障害を受けることはありません。また、体幹に失調も基本的には現れません。

 しかし、前庭系から受ける情報の処理をうまく行うことができず、しばし体性感覚や視覚の情報に依存しやすい傾向があります。眼振などを伴う疾患であり、代償的に使用する物品については注意が必要です。

 これらから、基本的には体性感覚からの入力を行いながら、めまい等がなければ視覚を用いてフィードバックを行うことが現段階では有効と思われます。また、運動療法を行っていく中で重要なのは、フィードバックされた情報を元に、対象者自身が自分の中で行っている運動課題について良くない部分については修復するような動作を引き出すことが非常に重要となります。

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 なお、小脳失調で伴いやすい眼振については、基本的に注意を行いながら気分が不快にならないように慎重に視覚を用いたフィードバックの方法を考えていく必要があります。そのため、視覚の情報をうまく利用し動作が可能となれば、徐々に視覚から受ける情報について遮断を行いながら難易度の調節を行う必要があります。

 小脳は前述したように視覚や体性感覚などの外部からの入力や感覚に対して揺れの影響を受けやすいため、練習を援助するセラピスト側も注意が必要です。外的刺激の例では大きな声で掛け声を行うことや頻回な声かけを行う場合です。これらは、前述したように小脳失調の方は前庭で受け取った処理に問題があるため、配慮を行う必要があります。どのような配慮を行うかは、リズム良く、処理に問題があるため端的に適切なタイミングで動作の教示を行い柔らかい声でフィードバックを行うことが重要であると考えられています。

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 まとめ 

小脳失調は目的物までのリーチ時に揺れが生じ、その際に体幹での代償動作を行うため、不安定となりやすい傾向にあります。

また、その発症機序としては深部感覚には問題を認めませんが、前庭で受け取った情報の処理を小脳でうまく処理を行うことができない状態で失調症状が現れます。

そのため、体性感覚や視覚の情報に依存しやすい傾向にあります。そのため、初期では体性感覚や視覚を用いた練習を行いながら、徐々に難易度の段階づけとして体性感覚及び視覚からの情報を遮断しながら動作学習を行うとともに、運動学習を進める必要があります。

さらに、小脳性失調の特徴でもあるように前庭で受けた情報処理をうまく行えないことから練習を行うトレナーは大きな声でアドバイスやタイミング等のずれたフィードバックを行うことで動作を遂行するのに悪影響を受けやすい傾向になります。そのため、フィードバックを口頭で行う際は、柔らかい声量でリズム良く、内容を端的にまとめて行うことが重要です。

本日も最後までご覧頂きありがとうございました。

次回は迷路性失調についての記事を再度更新します。

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小脳性運動失調について
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病院に勤めていた作業療法士が、実際の臨床現場で学んだ脳出血や脳梗塞などに伴う後遺症さらに、骨折や脊髄損傷などの後遺症などの情報を提供。また、基本的な医学用語やトレーニング方法などについての知識をわかりやすく解説。

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