今回も前回の記事に続いて失調症についての記事を書きました。
今回までに
「素人でもわかる! 失調症の分類について(大脳性、脊髄性、迷路性、末梢神経性について)」
「運動失調の特徴(小脳の機能説明と小脳性失調の症状について)」
「5分で読める運動失調について(迷路性、脊髄性、大脳性、その他の失調について)」
など記事を連載してきました。これらを読んで失調症の種類やそれぞれの特徴についてポイントを抑えたところで今回は「失調症の評価」についてです。今回は評価スケールというよりは動作で判断するポイントについて記載をしています。ではさっそく失調症の評価について考えて行きましょう。
運動失調の評価
失調症状を呈する患者様は明らかに失調症がない患者様と基本動作(起き上がり動作や寝返り動作など)などで異なる動作を示します。
どのような動作かというと・・・
①動作が大きく、目的動作より大きな軌跡をたどる。
②不安定でぎこちなくなるような動作となる。
この2点がまず大きなポイントです。
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動作時に失調?
なんで動作時に失調が現れるの?
簡単に説明すると、その理由は協調性の低下から揺れが出現しているためです。
このような現象が現れる主な要因と考えれているのは、中枢部(頭頸部、体幹、肩甲帯、骨盤等)が不均等な固定動作(主動作筋と拮抗筋の協調性低下)を行い関節運動の滑らかさが働かなくなっているのに合わせて、末梢部の動作がそれらを補うように動作するためと考えられています。
例えば、手を伸ばす際に失調が現れるのは体や肩周囲などの中枢部が固定されていないために末梢部で大きな揺れ認めるようになります。また、あまりにも末梢部に視線が集中すると、中枢部に集中することなく末梢部に集中をしているため、中枢部の働きが弱く末梢に揺れが大きく出現するようになってしまいます。
このように中枢部と末梢部を協調的に使用する動作として、前述したように基本動作がその活動を行う内容になります。失調症を呈する患者様では通常と異なる力の入れ具合から、四肢の軌跡が揺れるようになるなどの問題が現れます。
これらの基本的な症状の出現機序から考えて動作観察や分析を行うことは非常に重要なことになります。
失調症の患者様で「さっきはうまくいったのに」っというように、うまく動作をできる時と、できない時があるのを臨床現場ではよく目にします。それって一体どうしてなの?
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失調症の動作斑なんで?
失調症の特徴として、以前の記事にも記載しましたが視覚や体性感覚や平衡感覚などの障害を受ける疾患であるがゆえに、動作を複数回実施しても揺れの度合いなどは視覚や体性感覚や平衡感覚などから受ける情報が毎回異なるなるようになる可能性が高く、結果うまくできる時もあれば、動作が下手になってしまうこともあるため動作に斑が現れやすいのも特徴です。
そのため、失調症を呈する患者様にとっては、感覚機能の評価をし十分に行い、寝返り動作で起きる揺れは体幹や頭頸部の影響なのか、肩が悪くその原因として揺れているのかなど、一次症状と二次症状なのかを見極めて介入を進める必要があります。また、これらの動作において失調症を観察する場合は、どの姿勢やどの動作で失調症が出現し、その時の中枢部の動きやそれに伴う末梢部の関係よ症状について観点の重きをおいて、評価することが重要です。
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例)起き上がり動作
では、起き上がり動作を例に失調症患者様の特徴的な動作の見るべき視点について解説をしていきます。
まず、安静仰臥位で寝ているとしましょう。
前述させて頂いた通り体幹部分が協調的に活動することは基本的には困難な状態です。
起き上がる際に失調症のない人であれば、柵の握り、肘をつきながら体は前屈と回旋動作を混ぜながら起き上がるような動作になると思います。
しかし、失調を患った患者様は、思うように体を前屈させることと回旋動作を協調的に行うことができず、柵を持った手で体を引き寄せるように動作を行い肩甲帯から腰背部を固定するような動作となります。そのため、失調症のない人のように体の運動と手や前腕の協調性低下が低下しており、一見力が無いからそのような動作に見えますが通常力が無いだけであれば体は前方へ倒れこむようになり起き上がれない状態となるのが通常の状態になります。
このように失調症を発症した人は、一見何と無く力が無いから腕で代償するように動作を遂行しているように見ますが、実はそのような動作しかできない状態に陥っていることが多いのです。
まとめ
今回は失調症と基本動作の中でも起き上がり動作について着目した内容で記載をしました。動作観察や分析を行う際に失調症の患者様の場合、過剰な努力を行い体と頭部や手足などの協調性について観察を行うことが非常に重要になります。
本日も最後まで閲覧して頂き、ありがとうございます。
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