脊椎、脊髄の解剖1(医療者や患者様、学生向けに環椎、軸椎の解剖と機能的役割について解説)

脊椎とは

脊柱とも示されることがあり、主に体の軸となる骨です。それらの骨一つ、一つを椎骨といい、それらの間に椎間板をいう衝撃や脊椎の曲がり度合いによって柔軟に動く役割を果たすものがあります。基本的に脊椎は首の部分と頚椎といい、胸部分を胸椎、腰部分を腰椎、骨盤付近を仙骨といい、尻尾の部分を尾骨と言います。

それぞれの椎骨の数は全人類同じであり、下記のイラストのように定められています。

脊椎の全体構造

 

 

 

 

 

 

 

 

 

左側の図は右側方から見た図であり右側が前方になる

右側の図は前方から見た図

図引用:脊椎とは

頚椎が7個、胸椎が12個、腰椎が5個、仙骨5個(成人では1つの骨になる)、尾骨3個(成人では1つの骨になる)で構成されています。

これらの部位には短略した英語表記があり頚椎から、頚椎=C、胸椎=Th、腰椎=L、仙椎=S、尾骨=Coと決まっています。

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脊椎の役割

 脊椎は先にも説明した通り体の柱としての役割をもっており体の軸となります。基本的には体の支持、体幹運動の軸とされています。また、脊髄と言われる脊椎内を通る神経の損傷から保護役割さらには、脊椎は直線ではなくそれぞれの部位で弯曲(頸部は前弯、胸部は後弯、腰部は前弯、仙骨・尾骨部分は後弯)しており、地面から受ける衝撃を緩衝する役割を担っています。ではこれらの脊椎について各頸部、胸部、腰部、仙骨、尾骨について解剖的な視点から特徴について解説をしていきます。

今回の記事では頚椎の中でも上位頚椎について解説をし、後にそれぞれの部位記事を投稿していきます。

 頚椎について

椎骨画像

引用:フットネスの勧め

頚椎は7個の椎骨で構成されており、上から環椎(C1)、軸椎(C2)を上位頚椎と言い、頚椎3〜7番目を中下位頚椎と言います。頚椎は頭部との連結および肩との連結が強い部分であり頭部の運動や肩関節の運動の根幹ともなります。特殊な形態をしている環椎と軸椎について解説をしていきます。

後方から環椎と軸椎をみた写真図

環椎と軸椎の写真図

 

 

 

 

 

引用:トレンドの樹

写真のように上の環椎が下の軸椎にかぶさるように存在しており、奥の中心に見える歯突起(しとっき)と言われる突起部分を中心に環椎が可動し左右へ首を回す運動を可能にしています。

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頚椎と頭蓋骨の連結

後方からみた環椎と軸椎の靱帯連結図

後方からみた環椎と軸椎の靱帯連結図

引用:Spalteholz HANDATLAS DER ANATOMIE DES MENSCHEN VON WERNER SPALTEHOLZ

後方から見た頭部と頸部の筋肉連結図

 

表 層

後方から見た頭部と頸部の筋肉連結図

 

 

 

 

 

 

 

 

中 層

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深 層

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表層、中層、深層画像引用:Rauber-Kopsch解剖学

図で確認できるように、頭蓋骨と環椎、軸椎は多数の強靭な靱帯によって頭部と頚椎が連結するような形になっています。それらに加えて多数の筋肉によっても連結されておりより強固に連結されています。これらにより可動範囲の広い頭部と頸部の運動を可能としながらも協調性と安定性と丈夫さを保つようにしています。

環 椎

 

 

 

 

 

 

 

 

環 椎

 

 

 

 

 

環 椎

 

 

 

 

 

 

引用:Bio Digital一部改変

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環椎の役割

環椎は、後頭部の頭蓋骨と接しており頭蓋骨を支える役割をしています。それに伴い頭蓋骨と一番連結の強い骨でもあります。また、後に解説する軸椎(頚椎2番目)との環軸椎関節を構成しており、その関節を中心に頭部を回す(回旋運動)に非常に重要な役割を持って生かす。

環椎に存在する関節

 

環椎後頭関節

 

 

 

 

 

正中環軸関節

 

 

 

 

 

 

環軸関節等の構成図

 

 

 

 

 

 

 

 

青線正中環軸関節 赤線外側環軸関節

引用:Bio Digital一部改変

環椎には3つ関節があります。

環椎後頭関節、外側環軸関節、正中環軸関節があります。

これらはそれぞれ働きが違うものの前述してい流ように頸部のような可動範囲の広い関節運動を構成するには必ず必要な関節です。

それぞれの関節の役割はとして、環椎後頭関節は後頭骨と関節を構成しており頭部の前屈(頭部を前に倒す)や後屈(頭部を後ろへ倒す)の運動時に主として働く関節です。外側環軸関節は、環椎(C1)の下関節面と軸椎(C2)の上関節面で構成されており、環椎のなだらかな凸面(環椎下関節面)に対して軸椎のなだらかな凹面(軸椎上関節面)が凸面を包みこむように構成されており、ゆるい関節包で覆われています。そして、その環椎の凸面を中心に後に解説する正中環軸関節の回旋運動の補助的役割を担う機能的な関節です。正中環軸椎関節は、頭部の回旋運動で中心的役割を行い頭部の回旋運動が可能となるような働きをしています。詳しくは下記図を参照してみて下さい。

環椎と軸椎の回旋図

 

 

 

 

 

引用:Bio Digital一部改変

軸椎

軸椎の役割として特徴としては、環椎でも前述させて頂いた内容の正中環軸関節の中心的役割を歯突起と言われる軸椎特有の突起で担っていることです。歯突起は一見頭蓋骨と連結していないように考えてしまうかもしれませんが、歯突起から歯尖(しせん)靱帯や翼状(よくじょう)靱帯と言われる靱帯で連結しており頭部の過剰な回旋運動に対して制動するような働きをしています。

また、環椎では異なり、軸椎は頚椎の3番目との連結を持っており、環椎や軸椎での回旋運動を行うとともに左右への側屈運動も協調的に実施するところでもあります。

頸部の側屈運動図

骨解剖による頸部の左側屈

 

 

 

 

 

 

 

 

骨解剖による頸部の右側屈

 

 

 

 

 

 

 

 

引用:Bio Digital一部改変

まとめ

今回は脊椎についての基本的な構造の解説と頚椎の環軸椎について解説を行いました。頚椎の動きは回旋や側屈運動を含む非常に可動範囲の広い関節であり、頭部との連結が非常に重要で人間の視覚範囲を広げるような重要な働きを担っています。是非リハビリテーションや徒手的介入を行う場合は、今回用いた図などを参考に実施して頂きたいと思います。

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