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要 旨
今回は脳卒中の前兆と好発部位また、脳出血や脳梗塞が起きる原因と簡単な症状について説明をします。
脳には種々異なる血管が存在します。それらによって脳は維持され、人間にとってとても大切な働きをしてくれています。そんな、脳の病気で怖いのが脳卒中と言われる病気です。この病気は脳卒中について(患者様やご家族様にわかりやすく伝えたい脳出血の症状)で解説していますので是非興味があれば合わせてお読み下さい。
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現在の日本において脳卒中患者は平成26年の厚生労働省調べでは、117万9000人と言われており、死因は第4位まで降下しましたが、後遺症を完全に改善させるのは現在の医療では難しい状態です。この病気は、手術をしても、薬を内服しても後遺症はほとんど変わらず、こうやって投稿している僕自身もいつ起きてもおかしくなく、発症するとその日から運動麻痺や記憶障害などの高次脳機能障害と付き合いながらの生活が待っていることです。
そんな脳卒中が「ある特定の部位」について多いことが知られています。脳の様々な血管の中でもどこでも、発症するのではなく一番発症する危険性が高い発症部位いわゆる好発部位がある程度限局されてきています。その好発部位について簡単ではありますが、僕の知っている知識の範囲内で整理しながら解説します。
脳出血の好発部位
一般的に言われているのが下記の表の通りです。
被殻出血 (基底核) | 36.0% |
視床出血 | 28.7% |
脳幹出血 | 10.4% |
小脳出血 | 7.4% |
皮質下出血 | 12.4% |
その他 | 6.1% |
被殻や基底核部分が約3割強を占めています。次いで、視床という部分になってきます。
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では、一体なぜ被殻や基底核と言われる部分が脳には様々な血管が張り巡らせているのに、好発部位となるのでしょう?
脳の血管形状と好発部位
好発部位がある理由としての一つの要因は、脳の血管の形状と発症する部位に関係性があることです。
脳には無数の血管が存在し、その血管が脳に張り巡らされ、脳の中の様々な場所へ、栄養供給を行うようになっています。通常の手足などの血管とは特徴的に違うのが、手足の血管はほぼ直線で形成されています。
しかし、脳は丸い球状の形をしている事から、血管も脳を包みこむように緑の丸で示すように曲がりながら形成されていることが非常に多いです。
その曲がった血管の形状こそが、脳の血管で出血や梗塞などを発症させる要因となっています。中でも中大脳動脈には穿通枝という被殻や視床、内包など運動の中枢部へ血液供給を行う根幹の血管(幹となる血管)があります。
しかし、その分岐部は緩やかに曲がるのではなく血管の中でも角度をつけて曲がっている人が多く、この部位で発症するまたは脳出血や脳梗塞の原因を作り出されることが多いです。
図1)中大脳動脈で脳卒中が起きやすい
血管の構造問題:Karasapo
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脳の血流速度と好発部位
血管の形状によって被殻や視床部分で好発することは理解できたと思います。加えて血流速度でもそのことが説明できると思います。脳の血管の血流速度を調べた研究が2005年にされており、中根らによるとこのように表のように整理されています。
平均血流速度(cm/sec) | ||
MCA | 55±12 | |
ACA/MCA | 55±12 | |
ACA | 50±11 | |
PCA | 39±10 | |
ICA | 39±9 | |
OA | 21±5 | |
VA | 38±10 | |
BA | 41±11 |
MCA:中大脳動脈 ACA:前大脳動脈 PCA:後大脳動脈 OA:内頸動脈 VA:椎骨動脈 BA:脳底動脈
このように血流速度が測定されており、それぞれの血管によって流れる血流の速度は異なります。表で示すようにMCA(中大脳動脈)が一番血流の勢いがよく速いことがわかっています。この血流速度が速いことと前述した血管の形状で説明した脳の血管が角度をつけて曲がることにより、血管は押し出されるように張り動脈瘤を形成し破裂する脳出血。さらに、その瘤部分には血液中のコレステロールが溜まりやすく、たまることによって血管の壁に張り付きプラークと言うものを作り出します。そして、そのプラーク部分に血小板などが溜まり血栓を作り出し血管内が詰まり血流が途絶えることによって梗塞を起こすことが多くなります。これらによって、好発部位で一番多いのは中大脳動脈の関係が深い血管であることが推測できますよね。
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まとめ
今回は脳出血や脳梗塞の好発部位について血管の形状と、血流速度の関係から解説をさせて頂きました。これらを含めて考えるとやはり血管の柔軟性を担保し、高血圧や高脂血症は回避していく必要がありますね。これらが、前述したような内容に対して根本の脳出血や脳梗塞の原因となるからです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。