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今回は脳卒中にはかかせない
錐体路ってご存知でしょうか?
『錐体路』と言う言葉は、リハビリテーションや脳外科などでは凄く使用頻度の多い言葉です。
また、運動麻痺の理解にはとても重要な役割を果たしている神経です。
しかし、この錐体路の理解は非常に複雑で難しいです。私も学生の頃は、全くイメージできずに苦労しました。
そこで今回は、学生の方でも錐体路のイメージができやすいよう、図解を用いて錐体路について整理しましょう。
錐体路と言う言語の示す意味
結局、錐体路ってなんのかよくわからないですよね。
一つずつ整理して理解して行きましょう。もっと知りたい人は他の錐体路に関する内容も是非読んで下さい。
錐体路とは
神経のことなの?筋緊張が亢進するの?麻痺が出現するの?様々な疑問がありますよね。
まずは、「錐体路」という言葉の意味を整理しましょう。
錐体路が示す言葉の意味
よく神経線維の知識と混合して、小難しく考えてしまう人も少なくないと思います。
錐体路とは文字の通り「路」という感じが付きます。
「路」は訓読みで「みち」と読みます。
『みち』が示すように、錐体という名前を付けた「神経の通るみち」であると整理しましょう。
そこで医療の現場において
そもそも錐体路って?
こんな風に言葉が飛び交うと、新人のスタッフや患者さん、家族は混乱してしまいます。
さらに、医師から
こんな説明をされると・・・
そして画像を見せて、
ここが皮質下で・・・
などと専門用語を使って説明されると、さらに訳が分からなくなる人が多いです。
錐体路ってもっと簡単に理解し説明してほしいところです。
冒頭の説明通り、錐体路は神経が通る『路:みち』です。
なので、こんな風に簡単に説明をしましょう!
この道路は運動を司っている神経が通っていて、ここが
血腫で通行止めになるようになってます。
なので運動麻痺が出ています。
このように、錐体路の説明をするときはあまり専門用語を使わずに、『みち』と言うキーワードで説明するとわかりやすいかと思います。
錐体路と神経
錐体路には何が通っている?
前述の説明のように、錐体路は基本的に運動神経線維が通っています。

運動神経の表現には様々な表現の仕方があります。
例:上位運動ニューロン、外側皮質脊髄路、前皮質脊髄路など
この例の3つの中で、正式に神経線維を示しているのは上位運動ニューロンのみです。そのほかの、外側皮質脊髄路や前皮質脊髄路は、錐体路同様で神経の通る『路:みち』を表してるにすぎません。




錐体路の種類
錐体路は2経路存在することが知られています。
②外側皮質脊髄路
ここで試験等でややこしくなるのは皮質核路(皮質延髄路)が錐体路と言われるかです。
結論から述べると基本的には錐体路ではありません。
※注 意
しかし、ネット上で「錐体路」と検索すると皮質核路が含まれて表示されることがあります。
一般的には錐体路は延髄腹側部に存在する錐体部分を通過する神経を示しており、前皮質脊髄路と外側皮質脊髄路の2本とされています。しかし、試験等では要注意です。
皮質核路が「錐体路だ」、「錐体路ではない」と言われる理由
皮質核路(皮質延髄路)場合は、延髄の錐体部分を通る神経と通らない神経の2種類が存在するから、ややこしくなる。
・錐体を通る神経
(舌咽神経、迷走神経、副神経、舌下神経:脳神経Ⅸ〜Ⅻ)
・錐体を通らない神経
(動眼神経、滑車神経、三叉神経、外転神経、顔面神経:脳神経Ⅲ〜Ⅶ)
があり正しくは・・・・錐体路+皮質核路と分類することが正式です。
※試験等の設問で、「錐体路を2つ選択しろ」みたいな設問の場合で、前皮質脊髄路と皮質核路しか選択肢にない場合は皮質核路を選択するべきだと思います。しかし、前皮質脊髄路と外側皮質脊髄路が選択肢にある場合は、皮質核路は錐体路とは考えられていないと思いますので、試験等では注意が必要ですね。
錐体路と錐体外路
錐体路の機能について
錐体路という「みち」には、先に説明した通り運動神経線維が通るようになっています。
この錐体路は、主に随意的な運動(意志に伴った運動)との関与が強い運動神経線維が通っています。
Delwaide1994年、Woolsey1971年に猿における錐体路の研究報告があります。
・内 容
猿の第4野の破壊と合わせて、延髄錐体路もしくは外側皮質脊髄路の切除を行い、錐体路障害を起こしました。
・結 果
痙縮に伴う筋力低下、巧緻性低下、筋緊張低下、腱反射低下という症状が出現し、意図した動作を行えなくなったと報告しています。
決して筋肉が硬くなるなどの症状ではなくあくまで、筋肉を意識的に動かすことができない「運動麻痺」の状態に陥ることをご理解して下さい。
臨床現場において上司から錐体路が障害されているからとか、神経の再編に伴い病的に連合反応が起こり筋緊張が強くなり、それらに伴い痙縮が強くなる程度の説明を受けることはあっても、それでは神経については十分に理解したとは言い難いのが現状です。
純粋に錐体路だけが影響を受けるのは少ないですが、ほとんどの純粋に錐体路だけが障害されると一見弛緩様の麻痺(ダラーんと腕がぶら下がるような麻痺)が出現し、錐体路障害の象徴とも言えるでしょう。
まとめ
錐体路が一体何かわかったかな?
簡単に言えば神経の通る「みち」であり、体や手足などを動かす運動神経が通っていることはわかりました。
そう!まずはそのことを理解しましょう。けど、なかなか純粋に錐体路だけに脳卒中が発症することは少ないんです。近日中になぜ錐体路だけを障害する純粋な脳卒中が発症しないかを解説しますね。ここまで読んで頂きありがとうございました。