患者様やご家族さまにわかりやすく伝えたい脳出血の症状

最終更新 平成30年8月23日

Karasapo

 

僕が臨床現場で発症してしまった患者様本人やご家族様に質問された際に、説明している内容を踏まえ、一般の方にもわかりやすく脳出血について解説をしていきます。

 

脳出血について

脳出血とは、脳の血管がにかしらの影響で破れてそこから血液が漏れた結果、脳を血液が押しつぶすことによって様々な後遺症を見出す病気のことです。

 

では、脳出血を理解する上でまず脳についてご理解して頂きたいたいので脳について簡単に説明をします。

 

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脳について

 脳とは、千数百億個にもなる細胞があり、生活に必要な細胞が詰め込まれたいわば宝箱みたいなものです。

 その細胞と細胞をつなぐ電線みたいなものが存在し、細胞と細胞を繋げて人の感情や運動などを作りあげています。つなぐ電線は医療現場では神経線維と言われており、それは推定で現在は約100万キロと言われています。地球一周の距離が約4万キロと言われているので地球を25周まわると先ほど説明した神経繊維と同じ長さがになります。

ただし・・・・・

これら全てを使って人間は生きているわけではなく、これらの数パーセントしか実際は使用していないと言われています。

 

脳にはどんな働きがあるのでしょう?

 未だ解明途中であるものの、手足を動かす機能、触ったものの触感を感じる機能、注意力や集中力、判断力、感情、記憶力などここでは説明しきれない働きをしています。

 しかし、これらの働きは「手足を動かす機能はここ!」「記憶力はここ!」などと一定箇所におおよそでそれぞれ振り分けられていることが近年の研究からわかってきています。

 

 これらの説明からもわかるように脳にはたくさん細胞があり、それらを繋いでいる電線があって、記憶力や手足の動きなど人間に必要ないわば司令塔的な役割をしていることがわかったかと思います。 

 

 しかし、この細胞が生き生きと動き続けるには様々な栄養素が必要なのです。それを運ぶのが血管になってきます。いわば細胞まで栄養を運ぶのに必要な川みたいなものです。現実世界でも川が氾濫すると多くの命が失われしまうのと同様に脳においても血管が氾濫するとその細胞たちは働けなくなってしまいます。そのため、血管は脳の細胞にとってとても重要な役割を果たしているのです。では脳の血管ってどんな風にあるのと疑問が湧くと思いますが簡単に図を引用して解説します。

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脳にはこのように動脈が張り巡らさられている

図引用:MEDLEY 未破裂動脈脳動脈瘤

脳にはこのように静脈が張り巡らされている

図引用:脳の血管

これらの図でお伝えしたように脳には様々な動脈と静脈が存在します。この図はあくまで大きな血管であり、これらのほかにも細い毛細血管が脳全体に張り巡らされておりそれらが脳のあらゆる場所の細胞に栄養を運んで不要物を取り除くようになっています。

ここまでで脳の大まかな仕組みと血管についてはイメージして理解できたかと思います。

 

では本題の脳出血についてです。

 

脳出血とは

 これまで説明してきた血管のどこかが破れて血液が漏れ、脳の神経細胞や繊維に何かしらの支障をきたす病気になります。

 

血液が漏れてなぜ細胞は死ぬの?

 脳は硬い骨で衝撃などからの危険から守られています。例えるのであれば、いわば卵みたいなものです。その卵に殻が割れないように一本外にホースが出ておりそこから水を入れると行き場を失った黄身はどうなるでしょう・・・??

 

 殻を破り外へ出たいけど殻で守られていて出れない黄身は潰れていまいそうなのが想像できますよね?脳出血もこれと同様の現象が起きることで起こってしまうのです。そのため、行き場を失った細胞は丸だったのがだんだんと楕円状に変形し潰れてしまうのが分かると思います。そして、脳の細胞は死んでしまうのです。これが脳出血の怖いところなのです。ひどい場合は、卵でいうとどんどん水を入れていくと、殻とホースのつなぎ目から卵の白身もしくわ黄身が漏れてくるのがわかると思いますが、脳も同様に頭蓋骨の底にある穴から脳が飛び出し致命的な状態となってしまうのです。そのため、より早期発見が必要になることを知っておいて下さい。

 

脳出血の好発部位

ここまでで、説明させていただいた通り脳出血は大変怖い病気なのです。ではここからは脳出血を発症してしまった患者様やそのご家族様に向けて部位の発症頻度と僕自身が知っている発症部位別の大まかな後遺症について説明をしていきます。

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1:被殻出血 

 

 脳出血の全体60%を占めています。主に被殻出血単体で小さな出血に関してはそれほど症状が重篤に現れることは稀であり、出血量が手術適応の30ml以上になることで著名に症状を認めます。主な症状として運動麻痺、眼球・首の運動障害、平衡感覚障害、バランス能力低下(姿勢制御)、筋緊張障害などがあります。

図引用

スキルアップ堂 脳を騙すことによる効果とは?自信やモチベーションアップに繋げる方法

brain

参考文献:被殻出血に対する外科治療の意義:機能予後と今後の展望 藤本ら 脳卒中35:71−78,2013

参考HP:脳の構造と部位別の機能についてわかりやすく解説

 

2:視床出血

 

図引用

脳を騙すことによる効果とは?自信やモチベーションアップに繋げる方法   

brain

 脳出血の全体15%を占めています。視床は感覚機能(触れた感じ、温かさ・冷たさ、関節の運動方向など)のあらゆる機能の中枢部分であるため、出血が起きると感覚障害が主として現れます。ただし、感覚は感情などとの結びつけが強く人格などが変化することもしばしばあります。また、視床出血が広範囲に及ぶ場合は、図で示すように視床の付近に存在する被殻や内包など運動を中心とする場所にまで影響が波及することがあり運動麻痺を生じる場合も少なくありません。

3:小脳出血

図引用:スキルアップ堂

 脳出血の全体10%を占めています。小脳は運動における協調性を持たせる役割をしており、滑らかな運動を行うことができるようにしている。この症状を代表的に研究したのがフルーランの鳩に対する研究であり、小脳が障害された鳩は飛ぶことはできるが飛ぶ羽の動きはぎこちないことを発見した。もう一つ大切な役割をになっており、小脳は記憶との結びつけが強く一度行った運動を覚えておくことができる(運動学習)機能をもっている。そのため、小脳出血が起きると運動はぎこちなくなり、一度行った運動のコツや感覚を覚えるのに通常よりはるかに時間を要するようになります。ここで示す運動とは手足だけでなく目の動きなども振るえが出現するような症状(眼振)などが出現してきます。

内容参考文献:1生11 運動系 Ⅲ 小脳・大脳基底核

4:脳幹出血(橋出血) 

図引用:脳の構造

 脳出血の全体5〜10%を占めています。脳幹とは点赤線で囲んだ部位を総称し示しており、生命の維持にはとても重要な役割を果たしている場所になります。脳幹で出血が起きるとまず小脳とは少し異なりますが運動がぎこちなくなります。また、ひどい出血の場合、麻痺が現れます。しかし、ここで出血した場合は運動や感覚の障害が両手足に現れる確率が高く四肢麻痺という形になることもあります。他には眼球の動きの障害や延髄などが出血で潰されることがあると呼吸ができなくなるなどといった症状が現れます。

 

このように脳出血は発症すると様々な症状をきたし我々の健全な生活を奪うとても怖い病気です。

 

 患者様、ご家族様への希望 

 発症された患者様やご家族様に治療者から伝える希望として、前述したように脳にはたくさんの細胞が存在します。しかし、実際使用している細胞は脳の数パーセントにすぎません。今まで使用していなかった細胞をつなぎ合わせるように僕ら医療者は治療などを行います。生かせるところを最大限に生かし、少しでも患者様やご家族様が満足できる生活ができるようにこれからの医療業界においてもますますの発展を祈ると共に日々僕自身も臨床現場で一日一日後悔しない治療の提供ができるように行動するのみです。

最後まで読んでいただき

   ありがとうございました。

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