【連合反応の知識を得たい人向け】連合反応の基礎知識を作業療法士が徹底解説【読めば理解することができます】

目次
【keyword】

脳卒中、脳出血、脳梗塞、脊髄損傷、片麻痺、連合反応、共同運動、運動麻痺

連合反応ってどんな症状た現象か知りたい「連合反応って?連合反応の種類って?連合反応と共同運動の違いって?いろいろ教科書や参考書、文献を読んだけど実際どんな風に出ているのかイメージが湧かない。連合反応について詳しく教えてください。」

こんな連合反応の疑問について答えます。

 

記事テーマ

【連合反応の知識を得たい人向け】連合反応の基礎知識を作業療法士が徹底解説【読めば理解することができます】

連合反応を理解する方法

・目標:連合反応の全体を説明できる
・環境:記事を読むまたは、引用文献でOK!
・基礎:連合反応ってなに?
・学習:基礎学習から、臨床応用まで。
・実践:臨床で連合反応を確実捉える

記事の信頼性

作業療法士歴9年。療法士が100人以上在籍する病院で5年で管理職へ昇進。現在は保険外で療法士ができることとして地域でのトレーニング事業として独立し、神経疾患による後遺症に対してトレーニング提供を行なっています。

読者への前書き

・連合反応って一体なんだろう?

・わかりにくい。。苦手だなー。。。。

連合反応は、一本の参考書や教科書などでは詳細に説明を行われているのが少なく、様々な参考書や文献を読んで言葉を繋ぎ、実態を臨床で経験するまでほとんど理解が現状はできません。

この理由は、まず健常な場合は病的な連合反応と言うのは抑制されており、実体験としてイメージがわかないからです。

僕も、この連合反応が机上の勉強ではなかなかイメージができず、学生の鍛錬の場でもある”実習”では本当に苦労したのを覚えています。

ただ、就職してからも必ずと言って良いほど、連合反応の知識は必要です。

・種類や痙縮や共同運動などと分けて、原因分析を行い病的な現象に対してのリハビリやトレーニングなどを考えることが運動麻痺の回復には必要です。

しかし、理解するには本当に苦労すると思います。

そこで、今回連合反応について様々な文献や情報を集約して解説を行います。

 

記事を読んで頂ければ

①”連合反応”について知識を十分に得ることができます

②十分に知識を得ることでリハビリやトレーニングをどのように行えば良いかなどを考えることができます。

 

僕も、冒頭のように学生の頃や、療法士になりたての頃は全く「チンプンカンプン」でしたが、今は療法士として起業して神経疾患のお客様ともトレーニングができていますし、後に解説するような連合反応による二次的症状を出現させることなく関わることができています。

ぜひ、連合反応について理解し明日の実習や臨床に生かして下さい。その行動が目の前の患者様やお客様を救えるきっかけになるかも知れません。


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 連合反応とは?

連合反応の定義とは

ある筋に強い収縮を出現させた時、他の筋に筋収縮を誘発させる現象である。

引用:後藤 淳.筋緊張のコントロール.理学療法基本技術;関西理学3:21-31,2003.

簡易に説明すると、目的の運動に対して『不随意に他の体の一部が反応する』ことを示しています。

例えば、歩いている時の腕振り、重量のあるダンベルを持ち上げる時に歯をくいしばるなど。

歩いている時は単純に、足が動けば歩くことは可能です。しかし、股関節や膝など足の筋肉の収縮につられて腕が動くようになっています。

このようにある動作に付随して、他の部位が無意識に動くような動作を一般的に連合反応と言います。

 

連合反応と:目的動作を見分ける

まずこれでも意味がわからなくなる人がいると思いますので、その点について説明をします。

まずは、この走る動作における目的運動は何かを考えます。

目的動作とそれを効率化する動きを分けます。
走る動作の目的運動は、下肢運動が主です。
上肢の腕振りは行なっても、行わなくても走ることはできます。しかし、走る動作を効率的に行うために、腕振りと言う目的動作と関係ない関節運動をします。
”これを連合反応と言います”。
目的動作につられて、効率的に動こうと反応する現象を示しています。

連合反応の種類は2種類ある

健常で出現する連合反応を『生理的連合反応』

神経疾患で出現する連合反応を『病的連合反応』

生理的連合反応

・歩いているときの腕振り
(足=随意運動、腕=連合反応)

・物を持ち上げる時に歯を食いしばる
(腕=随意運動、口=連合反応)

・ボールを蹴る時に腕を広げる
(足=随意運動、腕=連合反応)

参考URL:リハビリテーションのブログ

生理的連合反応とは、このように運動を遂行する上でバランスなどを取りやすく、力を入れやすくするように目的動作をよりスムーズに行えように反射的な反応を示して役割を果たします。

 

病的連合反応

病的連合反応は生理的連合反応とは真逆です。

目的運動を、病的連合反応は妨げます

・着替えの際に、非麻痺側の腕を動かしていると麻痺側の腕が曲がってきてしまう
・方向転換の際に、非麻痺側の足に力を入れると、麻痺側の足首が内側へ曲がるようになる(内反、底屈)・歩行の際に、麻痺側の足を頑張って振り出そうとすると、麻痺している手が曲がる
生理的連合反応のように運動を遂行する上でバランスをとるように出現するのではなく、※1ある一定の方向へ麻痺側手足の筋肉が反応して関節運動を引き起こしてしまう”状態になります。
※1:神経疾患による共同運動の方向へ優位に関節運動を出現させる場合が多い。

 

病的連合反応の神経学的所見:病的連合反応は何が原因で現れるの?好発部位は?

病的連合反応自体の詳しい神経経路損傷は、明らかになっていません。

ただ、一つ言えることとして上位運動ニューロン※1傷されるような疾患の場合は出現する可能性が非常に高いです。

さらに加えると、痙縮を伴っている運動麻痺のある麻痺側の上下肢に出現することが多いと言われています。

※1:上位運動ニューロンとは:運動指令を伝える脳から脊髄前角細胞部分までの神経経路のことを示します。

この病的連合反応は、後藤によっても「上位運動ニューロン障害による運動症状」と言う表で陽性徴候と陰性徴候、筋の変化と言う表で整理されています。
引用:後藤 淳.筋緊張のコントロール.理学療法基本技術;関西理学3:21-31,2003.

中でも、上位運動ニューロン障害の運動症状に関する陽性徴候として下記の表のように整理されています。

上位運動ニューロン障害の運動陽性徴候
痙縮、痙性ジストニア、病的共同運動、病的同時収縮、連合反応

 

また、鈴木ら(2002年)によると「非麻痺側上下肢や上部体幹、腰背部筋群などの過剰な代償活動で、麻痺側上下肢に無意識的に筋収縮を誘発する現象が見られる」と言われています。

参考文献:鈴木恒彦・他:痙縮制御における運動療法.CLINICAL REHABILITATION 11: 907-912, 2002.


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病的連合反応の異質性

病的連合反応は異質性があります。

それは、『同側性連合反応』と『対側性連合反応』に分けられます。

関西医科大学医学附属枚方病院の長谷川によるとこのように報告されています。

非麻痺肢の随意運動によって麻痺肢に誘発される対側性連合反応、麻痺肢の運動によって麻痺肢に誘発される同側性連合反応
この2種類に大別されるとしています。

例:同側性連合反応

・歩行中に麻痺側下肢を振り出す(目的動作)と、麻痺側上肢が曲がる(病的連合反応)

・麻痺側上肢を頑張って曲げる(目的動作)と、麻痺側下肢の膝が伸びる(病的連合反応)

・麻痺側上肢で手提げ鞄を持つ(目的動作)と、麻痺側下肢の関節が伸びたようになる(病的連合反応)

目的動作で動かした麻痺側の上肢または下肢につられて、麻痺側の上肢または下肢も同時に動いてしまう。

他にも、同側同時運動(homolateral pattern)とも言われています。

例:対性連合反応

・階段を降段中に、非麻痺側下肢で支えて(目的動作)麻痺側下肢を降り出すと、麻痺側下肢が内側に入る(連合反応)ようになる

・方向転換を非麻痺側で支えて(目的動作)行うと、麻痺側の足首が内側へ入るようになる(連合反応)

・非麻痺側で荷物を持つ(目的動作)と、麻痺側の腕も曲がるように力が入る(連合反応)

・着替え中に非麻痺側の腕で衣類を操作(目的動作)していると、麻痺側の腕や手指に曲がるような力が入る(連合反応)

目的動作に合わせて、「非麻痺側の上肢を動かすと麻痺側の上肢が勝手に動く」、「非麻痺側の下肢を動かすと麻痺側の下肢が勝手に動く」など非麻痺側と麻痺側の左右の上肢または下肢が連動して動くような反応になります。

 

共同運動と連合反応の違い

連合反応は冒頭でも説明したように、目的動作の遂行に必要な関節を動かすと、目的動作に不要な四肢の一部が関節運動を反射的に行います。

しかし、共同運動は目的動作に必要な関節運動を行うと、その目的動作を行なっている腕または足のそれぞれの関節がある一定方向(曲がる、伸びる)に動きます。”

病的共同運動とは

意思に従い運動(随意運動)を行う際に下記のイラストのようにある一定の方向にしか関節運動が起きない状態のことを示します。

上肢共同運動イラスト下肢の共同運動

この共同運動は、運動麻痺の程度と連動しており基本的には随意運動が出現し始める、中等度から軽度で出現します。

例:病的共同運動

・手指を曲げて机上の物をつかもうとすると、肘も手指を曲げる動作に合わせて曲がるようになる。

・机上の物を掴もうと、肩をあげると肘や手指が曲がる。

・歩こうと足を振り出す(股関節屈曲)させると、足は内側へ入り足首が内側へ曲がる。

※通常であれば、青点の方向へ足を振り出すと運動するが、下肢の共同運動に伴い股関節の内転、足関節の内反しが生じます。

 

病的共同運動は、目的動作を行う四肢の関節で出現します。

冒頭で説明を行なっていた運動はあくまで、目的動作に必要な四肢に出現します。

共同運動の神経学的所見

前述で説明したように、共同運動は基本的に麻痺している手足を随意的に動かした際(意思に沿って動かした場合の運動)に出現します。

そのため、基本的に錐体路と言われる神経経路が損傷されて、部分的に再構築されかけている途中段階で発生することが多いです。

また、共同運動は随意運動ができない状態では出現しません。

共同運動自体は、随意運動に伴って出現します。

 

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病的連合反応の種類
『対側性連合運動』『同側性連合反応』について

対側性連合反応とは

健康な手が運動すると麻痺している手にも筋肉の収縮が起こるような反応を示します。

♦ただし、対側性連合反応では…

 「 対称性 」と「 相反性 二種類存在することが確認されています。

片麻痺の患者様に例えると健康な足を内へ閉じるように命じると、麻痺している足も連れて内へ引きつけるような運動をします。
片麻痺の患者様に例えると健康な足をお腹に近づけるように股関節を曲げると、麻痺している反対側の足は伸びるような運動をします。

 

同側性連合反応とは

仰向けで寝ている状態で、麻痺した手を挙げるように命じると同じように麻痺した側の足が曲がるような反応のことを示します。

また、麻痺した手の肘を伸ばすように命じると、麻痺した側の足も伸びるような反応を示します。

なぜ連合反応が起こるのか?

メカニズム的なことについては賛否両論や様々な見解があり、詳しくはできないですが簡単に説明します。

病的連合反応には、「解放現象=Over-flow、release-phenomenonなど」という言葉が多く日本では関連していると考えられている。ここでは、Over-flowという言葉で解放現象を説明していく。

 

その1:各種中枢の分類と役割

①上位中枢

脳や脊髄(皮質下核や連合野など)を利用した運動を行う部位


中位中枢(脳幹と皮質下核、感覚連合野など)
一般的に状況判断や予測に基づく計画性(力の強さや速さ、関節の動く角度などを調節)のある複雑な運動の統合を行う部位


下位中枢(脊髄など)
脳で構成された運動を必要な部位へ神経を介して伝達を行う部位

これらの①〜③が、それぞれが協調的に連動(それぞれが役割を果たすこと)して、働くことによって筋緊張や姿
勢やパフォーマンスの程度など(電気の強さを調節したような働き)の調節を行い目的の運動を成功することができます。

その2:脳卒中に伴うOver flowのメカニズムと意味と原因

脳卒中とは脳の病気であることから当然①上位中枢や②中位中枢と言った脳の部分で何かしらの問題をきたします。

その結果、発症した多くの患者様はこれらの部位(上位中枢や中位中枢)の障害から発症直後は機能破綻に至ります。

下位中枢のみが作動し反射的な動きを引き起こすだけであって、反射的に起きた動きなどの調節機能(反射の程度を調節するなどの働き)はほぼ機能せず過度に動いた状態の運動を招きます。

この過度に動くような状態のことをover-flowと言います

それらは、医療用語では異常筋緊張、痙縮、異常攣縮、連合反応、共同運動などと示す場合が多いです。

その4:Over-flowをもっと簡単に説明すると…

電気に例えて考えましょう。

発電所→電線→コンデンサー(電流の強さを調節するもの)→電線→ブレーカー(一件の家庭の各部屋に必要な電流調節)→テレビというように電気も神経と同じように、自宅まで運ばれ始めてテレビという役割を果たすわけです。では、発電所を上位中枢、コンデンサーを中位中枢、ブレーカーを下位中枢に置き換えて考えてみましょう。 ・発電所が燃えました。当然テレビは電流が来ないので映りませんよね。
・コンデンサーの一部分が壊れました。これも当然テレビは映りませんよね。
・ブレーカーの一部が壊れました。ある部屋のテレビは映る。ある部屋のテレビは映らない。または、漏電してある部屋で火災が発生するかもなど過度な電流が流れることが考えられます。この3点のように電流の調節ができなくなるのと同じで脳卒中でもこのような現象が起きて電流を調節することができない状態をOver-flowと言います。このようにOver-flowで説明したように、このような調節機能の破綻した脳卒中においては、歩いているだけで腕が上がる、あくびをすると手が伸びるなど通常抑制されている機能が抑制されない状態で現れます。それを連合反応と呼びます。

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連合反応の評価方法

よく 連合反応  筋緊張  痙 縮 の区別や整理をできずにいるセラピストも現在の世の中では少なくないことが事実です。

ではそれぞれの意味を整理し評価方法について簡単に紹介をします。

まず今回もこのHPで紹介しているように連合反応についておさらいと簡単な説明をします。

連合反応とは

 健常な場合でも必ず寝返りや歩行などの動作中に体や腕、足を使用してバランスをとり効率良く筋活動を起こし動作の遂行をしている反応のことを示します。
しかし、連合反応が何かしらの脳の障害で機能破綻すると前述したような動作が思うようにできず、バランスをとることや筋活動を効率良く活動させることが困難となる病的連合反応と言われるものが出現します。
そして、違和感のある歩き方や腰痛や肩関節痛、頸部痛、膝関節痛などの二次的障害に繋がっていくのです。

連合反応の評価方法

連合反応の評価は視覚的に基本動作(寝返り、起き上がり、座位保持、立ち上がり、立位保持、歩行)の動作分析を行いそれらの異常な反応について病的連合反応として分析する方法が正しいと思われます。

その際の観察部位について前額面、矢状面と様々な視点で観察をする。荷重をかけている向き(前後、左右、麻痺側・非麻痺側など)を観察し連合反応が出現する姿勢分析を行います。

まとめ

連合反応については、未だはっきり解明されていない内容であり現象のみしか説明をすることができないことが事実。引き続きこの分野については考えていきたいところ。

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連合反応について
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