腎臓について

腎臓の位置

腎臓は左右に一つずつ存在します。肝臓同様横隔膜の下に存在し、位置は第十一肋骨第十二肋骨の近くに存在します。

左右で高さが違いますの方が左に比べて低い位置にあります。

理由は右腎臓は肝臓の下に存在するためです。

腎臓は基本的に脂肪組織によって固定されています。しかし、急激に痩せた場合は脂肪組織による固定が不十分となり下降する場合があります。それを遊走腎と呼びます。それにより尿管などのねじれなどが生じる場合もあります。

スポンサードリンク




 

腎臓の大きさと形

腎臓はそら豆様の形をしており、おおよそこぶし程度の大きさになります。

(縦:約11㎝、横6㎝、厚さ3㎝)

重量は約130〜150g程度になります。

形としては内面(体の中心方向)が陥凹(へこみ)、外側面(体の外側方向)は凸状になります。

 

腎動脈・静脈の太さと長さ

臓器が小さいが血管は太く、小指ぐらいの太さがありやや静脈の方が太いです。

動脈右が長く静脈左が長いです。

 

腎臓に流れる血液について

腎臓は1分間に1ℓの血液が流れます。これは心臓から出た血液(心拍出量)の20%であるとされています。これらの血液の濾過(老廃物を取り除く)働きを縦:約11㎝、横:6㎝、厚さ:3㎝程度の大きさの臓器が担っているのです。

 

 

腎臓の働きについて

不要な老廃物(窒素成分など)を尿として排出する。

腎臓で濾過をする場合は尿細管とヘンレ係締(下降部、上行部)、集合管が働きます。濾過とは腎臓に老廃物として間違えて運ばれた体内に必要なものをもう一度血管内に戻し体内に取り込む作業(再吸収)と明らかに老廃物と判断し体外へ排出する作業(分泌)を行い濾過と呼んでします。

近位尿細管では再吸収:水分,Na,K,HCO3-(80%)、アミノ酸(100%)、ブドウ糖(100%)。分泌尿酸、クレアチニン、H+、NH4+、尿素を分泌します。

ヘンレ係締では再吸収:下降部は水分のみ再吸収(約15%)、上後部はNa+、Cl+、K+(約15%)。分泌は特にありません。

遠位尿細管では再吸収:水分、Na+、HCO3-、Mg2+、Ca2+(約5〜10%)。分泌はH+、K+となっています。

集合管では再吸収:水分(4%)、分泌はH+、K+となっています。

腎臓に関わる各電解質の働きについて

ナトリウムイオン (Na+) 

身体の水分量および浸透圧の調節、神経の伝達、筋肉の収縮など

カリウムイオン (K+)  

神経の伝達、筋肉の収縮、心臓の収縮など

マグネシウムイオン (Mg2+)

筋肉の収縮、骨や歯をつくる、酵素の活性化など

カルシウムイオン (Ca2+)

神経の伝達、筋肉の収縮、骨や歯をつくる、血液を固めるなど

クロールイオン (Cl-)

身体の水分量および浸透圧の調節、胃酸の分泌など

重炭酸イオン(HCO3-)

体がpH7.35-7.45の範囲を保つことができるように調整し電解質を調節して血液を弱アルカリ性に保つ。

1日におよそ150㍑の原尿から体に必要な電解質(Na,K,Mg,Ca,Cl,HCO3など)を99%再吸収し、残り約1%(1.5リットル)を尿として出し、からだの電解質の濃度を一定に保っています。例では重炭酸イオン(HCO3-)は水素イオンH+を中和させて、体がpH7.35-7.45の範囲を保つことができるように調整。再吸収されず尿に排出されると体内は酸性に傾きいずれは代謝性アシドーシスの状態になります。症状は、代謝性アシドーシスの人では、吐き気、嘔吐、疲労が起こるほか、呼吸が通常より速く、深くなるなどの症状が出現します。

スポンサードリンク



体液量を調節して循環血液量と血圧調整

体内には水分(体液)が存在します。平均は約60%保有しているとされています。しかし、それらが増加することや減少することは基本的にありません。基本的にはこの60%の内、2/3(20L)が細胞の中1/3(10L)が細胞の外にあります。これが体液調節と循環血液量と血圧を調節する働きに関与しているのです。これには腎臓でレニンという酵素を産生し血液中のタンパク質と反応して強力な血管収縮作用をもつアンジテンシンⅡとなり血圧を上げます。このレニンの作用によって血圧を上げる、血液の循環を正常に保とうとする一連の反応をレニン・アンギオテンシン系と言います。逆に血圧を下げる働きを腎臓は行うことがありそれには、腎臓で生成されるプロスタグランジンが関与しています。体内のすべての細胞は、液体(細胞外液)によって保護されており、細胞外液の塩分などの”電解質”の濃度が少しでも変化すると細胞は生きていけません。腎臓はこの10Lの細胞外液の量と組成、特に電解質を調節して血圧の循環血液量と血圧の調節を担うとともにむくみなどの症状と直結してくるのです。これらが狂い例えばNaがたったの10%だけ急激に低下(正常140→126mEq/L)すると意識消失などに至る場合もありさらに、カリウムが2倍(正常4→8mEq/L)に上昇すれば重篤は不整脈の原因になり死亡に至る場合もあるのです

生理活性物質を分泌(エリスロポエチン、レニン)

エリスロポエチンとは

造血機能(血液を造る)働きを担っておりエリスロポエチンというホルモン分泌をしています。このエリスロポエチンが骨髄に働きかけることで、赤血球の生成が促進されます。 腎臓がこれら造血機能に関わっていることから、腎臓の機能が悪くなっている腎不全患者では血液を作り出す作用が弱くなっていることが分かります。そのため、腎不全患者では腎性貧血と呼ばれる病気を引き起こします。腎性貧血の場合鉄分ではなくエリスロポエチン不足が問題であるため鉄分をいくら摂取しても貧血から改善することはありません。腎臓が関わる貧血では鉄分補給など通常の方法とは異なる治療を行わなければいけません。

ビタミンDを活性型ビタミンDに変換

ビタミンDは、カルシウムとリンの吸収を手伝って骨を丈夫にしたり、遺伝子の働きを調節したりしています。それを腎臓では骨にカルシウムを沈着させるために必要なビタミンDを活性型ビタミンDзに変える働きをしています。

 

腎臓の障害により生じる疾患

尿毒症

代謝性アシドーシス

浮腫

尿崩症

高血圧

心不全

腎性貧血

レニン過剰の高血圧

Ca2+吸収障害

骨軟化

などがあります。

NO IMAGE
最新情報をチェックしよう!

腎臓の最新記事4件

>作業療法士が提供する「Karasapo.com」

作業療法士が提供する「Karasapo.com」

病院に勤めていた作業療法士が、実際の臨床現場で学んだ脳出血や脳梗塞などに伴う後遺症さらに、骨折や脊髄損傷などの後遺症などの情報を提供。また、基本的な医学用語やトレーニング方法などについての知識をわかりやすく解説。

CTR IMG