入浴中のマッサージって良いの?悪いの?こんなんこと考える時ありません。浴槽に浸かっているとふとマッサージしますよね?これって良いの?そんな疑問について体の仕組みと合わせてご紹介をします。
入浴での体に対しての作用?
まずは、ここから整理しましょう。
・体を温めることによって温熱作用
・浴槽につかることによって静水圧作用
・水分によって浮力作用
この上記3項目が入浴による作用です。
浴槽につかると体の疲れがとれる、リラックスできるなど日本人ならでわの感覚ってありますよね?あれは人間の体に存在する自律神経というものが大きく関与しています。
自律神経って?
人間には体温や呼吸、血糖値調節、血管を縮めたり・広げたり、内臓の消化や心臓動きなど意識しても動かせない神経があります。それを自律神経といます。そして、その神経は交感神経と副交感神経の2種類に分かれます。交感神経と副交感神経は相反する働き(拮抗作用)をします。
・交感神経が働いた場合
瞳孔が広がり、遠いピントが合う、心拍数増加、心臓の収縮力が高まる、血管の収縮が起こり血圧上昇と筋肉への血流供給が増加、気管が広がる、気管支内の分泌物減少、粘稠(粘り気)が強い唾液(ダエキ)の分泌、消化活動(ジュドウ運動)が不活発になる、胆汁の分泌が減弱する、尿が止められる、脾臓(ヒゾウ)が収縮する、アドレナリンが分泌される、グリコーゲンの分解が促進される、膵液の分泌・インスリンの分泌が抑制され血糖値が上がる、汗をかく、鳥肌が立つ
・副交感神経が働いた場合
瞳孔が縮む、近いピントが合う、心拍数減少、心臓の収縮力が低下する、気管が狭くなる、気管支内の分泌物増加、粘稠(粘り気)の弱い唾液(ダエキ)の分泌、消化活動(ジュドウ運動)が活発になる、胆汁の分泌が強くなる、尿が出る、グリコーゲンの合成が促進される、膵液の分泌・インスリンの分泌が促進され血糖値が下がる
また、これらを調節する場所としてホルモン分泌などと関わりの強い、脳の視床下部が調節機能として作用しています。
入浴での体に対しての効果
はじめに記載したこの3つの作用の中でも、温熱作用が大きく体に作用します。温熱作用と自律神経の働きから入浴中のマッサージに関して関連付けて考えますね。
※3つの入浴による作用
・体を温めることによって温熱作用
・浴槽につかることによって静水圧作用
・水分によって浮力作用
入浴による温熱作用とマッサージについて
温熱により体がリラックスしていると考えましょう。その状態で純粋に自律神経が働くと副交感神経が働きます。副交感神経における働きのなかでもこの4つの項目は非常に重要です。
- 心拍数減少
- 心臓の収縮力が低下する
- 気管が狭くなる
- 気管支内の分泌物増加
まず、①②が働くことによって血圧(血液が血管に与える力)が低下します。そこでさらにマッサージを行うことでより副交感神経を過活動にしてしまいます。結果、浴槽から立ち上がった際にのぼせたような症状をきたします。それから元に戻るまで交感交感神経の過活動(活動しすぎる)となり、一瞬でリラックス効果が消えることが考えられます。③④については、気管支が狭くなることで酸素を取り入れようと呼吸が普段より大きくなります。例で言えば睡眠中の呼吸は副交感神経が優位に働いています。また、④の分泌物増加に伴って気管支が乾くほど温めることによってリラックスすると、気管支が菌などに感染しやすくなります。さらにマッサージを行うことで副交感神経の過活動が生じます。その結果、呼吸筋の疲労が生じ、さらには入浴後の細菌感染率が高くなることが考えられます。
どうすればいいの?結論!
結論から話すと入浴中のマッサージはNGです。また、浴槽の温度も基本的には41℃以下が推奨されています。過剰な温熱作用はNGです。急激な温度変化(温かいところから冷たいとこに行く)などの行為は血管に与えるダメージが強く脳卒中(脳出血、脳梗塞)、心筋梗塞などの原因となります。脱衣所を温める、浴槽から出る際にシャワーで浴室を温めた後に出るなどを行いのぼせたような症状を抑えるとともに、血管へのダメージを避けてください。浴槽に浸かることは、自然に普段は血液が流れないような血管(毛細血管の一部)に対しても血液が流れ疲労回復に対してはいいと思います。毛細血管ってどの程度の太さか知ってます?直径5〜10μm(0.000001㎝)です。僕がテレビで見たような毛細血管って手術の拡大鏡を使用してようやく見えるレベルですよ。そりゃ詰まりますよね。しかし、マッサージを行い過剰にその血管に血液を流すと細い血管ゆえ他の太い血管にあった老廃物などがたまりやすくなります。
両方を浴室で行うことにより自律神経の調節機能が破綻するような症状が出る可能生があります。(自律神経失調症)
結論は温めるときは温める、マッサージをする時はマッサージをするようにしましょう。せめて温めすぎる、マッサージをしすぎるなどどちらか一方にとどめましょう。